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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
魔法少女を捕獲せよ

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奇妙な噂

諸星邸の浴室はシンプルに広かった


ちょっとした銭湯くらいの広さはある。個人宅でここまでやる必要は無いと思うのだが、そう言えば脱衣所もやけに広かった


建物は欧米風なのだが、ところどころ日本臭さと言うか大衆文化っぽいのは何というか少しチグハグな感じもする


「やっぱりお風呂は皆で入れるくらい大きくないとね!!」


と思っていたのだが、どちらかと言うと光さんの考えがぶっ飛んでいるだけっぽい


大人数で入るのは銭湯や温泉位なもので、世界的に考えても、日本的に考えても、風呂とは基本的に一人で入るもののような気がするのだが、世間一般の常識を光さんに当てはめるのがバカらしくなって来るので、この考えはさっさと放棄した方が良いと思う


「しかし軽いな。ちゃんと食べているのか?」


「食べてるわよ。細いのは元々よ」


「それにしたって細すぎな気もするが、よっと、じゃあ後は美弥子に任せるから」


俺をシャワーの前に座らせた千草は、美弥子さんにその場を引き継ぐと、ササっと離れて行く。代わりに近付いて来たのは、同じようにタオルで身体を包んだ美弥子さんだ


「さ、真白様。お手伝いさせていただきますので、しっかり前を向いていただけますか?」


「えっ、いや、流石にそれは自分で……」


「私のお仕事ですので、遠慮なされると私が困ってしまいます」


「む、むぅ……」


そう言われてしまうと渋々主張を引っ込めざるを得ない。それで美弥子さんはご飯を食べている訳で、それを恥ずかしいからと断るのは失礼なことだと思う


そうして渋々ながらも大人しくなった俺を見て、「良い子ですね」なんて一言言うと、シャワーを手に取りお湯の勢いと、温度を調整しながら、ゆっくりと俺の身体へとお湯を掛けて行く


「お湯加減はどうですか?」


「もうちょっと、熱い方が好み、です」


「かしこまりました。……このくらいで構いませんか?」


個人的に丁度いい具合の温度になったので、首を縦に振ってこたえると、美弥子さんはまたニッコリと鑑越しに笑いながら、再びお湯を掛けていく


誰かにこんなお世話してもらうのなんて、何時ぶりだろうか。基本、看護介護をする側の人間なので、こう言う事をすることには慣れていても、されることには全く慣れていない


なんだか、少しこそばゆい


「綺麗な赤毛ですね。ハーフの方で、ここまで綺麗な赤の人はとても珍しいと思いますけど」


「どうなんでしょう?そもそも同じ髪色の人に、会った事が無くて」


赤毛は欧州の限られた地域でみられる髪色だ。俺の母親はスコットランド出身と話は聞いているが、それ以上の詳しい話は生憎知らない


知らない理由は、まぁなんだ。そもそも聞く前に亡くなってしまったから、としか言えない


「……大変不躾なご質問をお許しください。この髪色は、真白様のお母様譲りでしょうか」


「あははは、さっき泣いた時に多分言ったんですよね?気にしなくて良いですよ。そして、髪色は美弥子さんの予想通り母譲りです」


申し訳なさそうにする美弥子さんだが、もう15年以上前の話だ。悲しさはもちろんあるが、15年も経てば、そう言った暗い感情も風化していく、代わりに父親との軋轢は年々深まっていく一方だが、俺はアイツを許すつもりは一片たりともないので、このまま音信不通のままで何の問題もない


それに、鮮明には覚えていないが、母も美しい赤の髪を腰まで伸ばしていたことを覚えている。母譲りの赤毛は、俺の中でちょっとした自慢だ。それもあってか、髪質には割と気を配っていたりもする


「……奥様の受け売りになってしまいますが、私も真白様に必ず味方いたします。千草様も、墨亜様も、まだお見えになっていませんが、旦那様もきっと貴女の味方です」


その髪を、少しずつ濡らしながら、美弥子さんは静かに告げていく

必ず、アリウムの、真白の力になると。味方で居続けると


「ですから、この後お身体が良くなって、この家を出て行かれましても、何時までもお帰りをお待ちしています。真白様が帰って来て良い場所は、ここにあります。無茶と無理だけは、どうかなさらないでください」


耳に届いた震える声は、俺の頭にしっかりと響いた。ただ、無茶と無理は保証できそうにないから、少し困るかな


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