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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
魔法少女アリウムフルール

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それぞれの魔法少女

魔獣の急襲。極稀にあることだけれど、まさか今日この日にこの身でその災害とも言える暴力を経験することになるとは思いもしなかった


真白さんが席を立ち、紫や碧と一緒に買って来たシューズを買い物袋の中に戻しながらお喋りをして、真白さんが戻って来るまでそれぞれが選んだドーナツのどれから先に食べようか、なんて考えていた矢先


轟音と共に窓ガラスが割れ、辺りに飛び散らかる。日頃の魔獣との戦闘で場慣れしている私達は、すぐについていたテーブルをひっくり返して飛び散るガラス片から身を守る盾にする


何が起こったのかと理解する間もなく、割れたガラス窓を引きちぎる様にして大きさは3mはあるだろう、ゴリラのような魔獣が姿を現した


魔獣が出た、それを周囲にいた人々が認識した瞬間、店内にいた人がまず大慌てで逃げ出す。何事かと訝しんでいた人も、店内にいた人の話を聞いて大慌てで逃げ出す。客も店員も、大人も子供も関係ない

此処にいては殺されてしまう。魔獣とは今まで人類が培って来た科学技術ではほぼ歯が立たない人喰いのバケモノ


人類兵器で殺すなら、Cですら戦車で四方を包囲し、砲弾で殺すのではなく火薬の炎で焼き殺すのが最善だと言われている

何より、その魔獣のせいでこの10年で人類が生活できる範囲は急速に狭められてしまった。ある程度の規模の街はともかく、住民の少ない村落はあっという間に蹂躙されたか、殆ど捨てる様にしてその土地を手放している


それ程に魔獣は人類の天敵だ。そして、私達魔法少女がその魔獣の天敵である


「とりあえず相手するには場所が悪い。外に出るぞ」


「脱出、変身の後に誘導、撃破で行きましょう。朱莉さんは、脱出の後雛森さんと合流してください。恐らくこちらに向かってるはずです」


「……分かった」


この場で変身するにはリスキーだ。魔獣が近過ぎる上に民間人を戦闘に巻き込む危険性もある。この場をどうにか離れて、その後に魔獣を誘導してから戦闘を始める碧と紫の判断に私は賛成だ。そして、私が戦線から外れるのも


「間違っても戦闘に参加するなよ?」


「分かってるわ。私の魔力が全然回復してないのは、私がよく分かってる」


先日から続いている謹慎は、一応もう間もなく解除はされる。ただ、肝心要の魔力の回復がまだ万全とは言えなかった

万全なら、魔力は1日の食事と十分な休息と睡眠で殆ど全快にまで回復する


ただ、私はその魔力を数日に渡ってほぼ空っぽにし続けたのだ


魔力は基本、体力と同じだ。極限まで体力をすり減らすと、それを万全まで回復させようと思ったら長い時間の休養が必要になる

魔力を殆んど空っぽにした状態で数日間訓練を続けた私は、極度の疲労で魔力そのものが回復しづらい傾向にある


現在の回復量は体感で5割。魔法少女として戦闘行為をするには、心もとない魔力量だ


「よし、じゃあまずは脱出するぞ。物音を立てるなよ」


冷静になれば成る程身に染みる自分の情けなさに辟易しながら、私達は散らばったテーブルなんかに身を隠しながら、魔獣に気が付かれない様に外に出られる場所を探す


幸い、魔獣は入り口から離れて行くようにゆっくりと進んでおり、逆側を進む私たちとは入れ違うような形だった

その最中、私達は吹き飛ばされた物の隙間に隠れるように横たわっているおばあさんを見つけた


「あぁ、クソッ、この忙しい時に……!!」


「碧ちゃん、そう言う言い方は良くないと思うよ。おばあさん、起きてください。おばあさん」


気絶しているおばあさんの意識を確かめながら、この状況での救助者の発見に悪態をつく碧を紫が諫める


元々歯に衣を着せない率直な物言いが特徴的な碧だけど、悪い方に言えば何も考えずに発言しているとも言う

仮にも私達は救う側だ。それが救助者を見つけて悪態をつくのは世間体が悪すぎる


「んん……。なんだいお嬢ちゃん達……」


「ボケてないでさっさと逃げるぞばあさん。朱莉、反対側抱えろ」


「分かった。ごめんねおばあさん、説明してる時間がないから」


まだもうろうとしているおばあさんの肩を支えて立ち上がると、そろりそろりと移動する

あと少しと言うところで、状況を把握し始めたおばあさんが声を上げるが、構っている暇は無い


私達はおばあさんを連れて屋外まで脱出し、反対側の東棟ショッピングモールまで避難させる


「よし、これで行けるな。朱莉、こっちは頼むぞ!!『激流変身!!』」


「お願いね!!『ジュエルセット、アメジスト!!マジカルチャージ!!』」


「うん、二人もしっかりね」


脱出も完了し、救助者も無事に保護。後は問題の魔獣を倒すだけ。いつも一緒に戦っている魔法少女、アズールとアメティアの背中を見送りながら、私は自分に出来ることをするべく、携帯電話を取った


「――ギャアァァォ」


それを空から眺める視線があると気が付かないまま


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