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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
最終決戦

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レッドゾーン


こういう相手にはじっくりやらざるを得ないんすよね。能力もさることながら、本人も何をするかわからないっすから。


どういう性格や思考のクセを持っているのかもわかりません。ヘラヘラとしている様子はありますが、実際の腹の中は全て打算で動いている可能性だってありますし、ランダム性の能力だって嘘かもしれません。


言い出したらキリが無いですけど、そういう読めなささをチェッドは持っています。


相手に行動や思考を読ませない予想させないっていうのは勝負の世界ではめちゃくちゃ強いカードなんです。


プロのスポーツ選手でさえ、裏をかくようなトリックプレーがぶっ刺さる事があるように。


コイツは何をしてくるかわからないと思わせる。それ自体が強力な戦術になるんすよ。


「ドうしたぁ? 来ないのか?」


「……」


「このくらいで怖気付かないでくれよ。まだまだ試したい事が山ほどあるんだ。さぁ!! ほら!! 早くっ!!」


警戒し一定の距離を保ちながら無視を決め込む私達。急かすチェッド。見え見えのカウンター狙いに飛び込むわけにもいかないっす。


「焦らないと、死んじまうぜぇ!!」


足首を掴まれ、床に開けられた穴に引き摺り込もうと強く引っ張られたのを、足に雷属性の魔力を纏わせて無理矢理引きちぎります。


ニーチェもほぼ同じように対応。行動不能は避けたところでチェッドが自分の身体を網のように広げて僕達に覆い被さろうとしているのを回避。


それでも追ってくる幾つのもの手足に背筋にぞわぞわとした毛虫を見た時みたいな感覚が走ります。


普通にキモいです。やっぱり、あの見た目すらフェイクってわけですか。


「最初から嘘っぱちってことね」


「サぁねぇ。なにぶん俺も生まれたばっかでよぉ。わかってることと言えば俺は成功、らしいぜ」


「何が成功なんですか?」


「ソれを考えるのはお前らの仕事さぁ!!」


最初の虎みたいな見た目と気持ちの悪い7つ目の頭も、何もかもが最初から嘘っぱち。チェッドに特定の元の姿なんて無くて、常に不定形。

形なんて有って無いようなもので、肉体を好きに変化させることも出来るとかですかね。


だとするなら、触れたら発動する能力のランダム性も嘘っすかね? そっちはまだ本当の可能性もありますけど……。


「ホントめんどくさいわねコイツ!!」


文句を言いながらしつこく追って来るチェッドを両手に持ったふた振りの剣で迎え撃つニーチェ。

僕も勿論、蹴って殴って対応しますけど、触る度に何かが起こるので本当にやってられないっす。


こうやって色々なリソースを奪って、優位を保つのがチェッドの戦い方って見て良いですね。戦闘狂でも、理詰めの方。ただナイフを振り回すんじゃなくて、ちょっとずつちょっとずつ。


真綿で首を締めるみたいに僕らが雁字搦めになっていくのを待っている。


「私達を!!」


「舐めんじゃねぇですよ!!」


それを大人しく、指を咥えて待つだけだと思ってたら大間違いっすよ。


僕が脚を、ニーチェが剣を振りかぶって雷属性の魔法をぶっ放して周りを丸ごと吹っ飛ばします。

雷属性最強って言われてる2人が揃いも揃って大人しいと思ってんですか? 僕は、こっちに来てから一回も本気で戦ってないんっすよ。


『本気で戦わない』ように言われてましたからね。僕はずっと、カトルを相手にしている時もその時の7割くらいで戦っていました。


そして、紫ちゃんと真白さんからは今度こう言われています。


「ニーチェ、本気で行くっすよ」


「やっとね。全く、暖機運転が長いんじゃない?」


「いきなりギアを上げたら身体が追い付かないんっすよ」


『本気でやって良い』、だそうです。7本尾に本気でやって、どこまでやれるのかちょっと楽しみっすよね。

ニーチェも同じ。こっちに来てからは本気でやってないっす。轟雷と豪雷。ちゃんと僕らは最強の一角。未だに実感無いっすけどね。


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― 新着の感想 ―
あり得るのは7つの尻尾だけが“本物”で身体がスライムを被せただけとかいうパターン。 尻尾以外をどれだけ攻撃してもスライムだから再生能力を上回る攻撃をしないとダメージにならないとか。 更に本物の尻尾を隠…
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