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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
最終決戦

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帝王レクス


どのような強化をされているのかは傍目に見てもわからない。でも言えることは、メモリーの二枚挿しから得られる効果は一枚のそれを遥かに凌駕するということだ。


フェイツェイお姉ちゃんがそれをするけど、一枚と二枚では戦闘能力に2~3倍の差は普通にあると言っていた。

練度が上がれば上がるほど、その差はむしろ開いて行くということだったから、2枚挿しの相乗効果が如何に高いかがわかる。


『Slot Absorber』、『思い出チェンジャー』を使う面々では最もシンプルで効果的な強化だと言える。


「『思い出チェンジャー』か。ジジイめ、また厄介なのを作った」


強化変身されたのを見て、ショルシエは悪態をつく。アイツにとって、強化変身の1つや2つなんて有って無いようなものだろうに、そもそも手間が増えるのが嫌、労力が増えるのが嫌。


その程度のニュアンスだと思う。それくらい、私達の単純なステータス総合値には差がある。


「育ての親なんでしょ? 少しは敬ったり、言う事聞いたりしたら?」


「はっ、残念だったな小娘。あのジジイは私にとって都合が良かったから利用しただけだ。あの時は復活したばかりで力が殆ど無くてな。弱ったフリをすれば、バカな連中は施しをするだろう?」


ショルシエはかつて、ピット博士というミルディース王国でも随一の研究者に拾われたという経緯があるらしい。


森でボロボロになっているところを、研究素材を収集しに来ていたピット博士に保護され、研究所に連れ帰り、研究員の間で面倒を見ていたとか。

その時に様々な知識をショルシエに教え込んで、次々と知識をモノにしていくショルシエに期待を寄せていたという。


その結果が、クーデターによる旧王国の崩壊というのだから、いたたまれない。


善意で行った人助けが、救った少女の本性が『獣の王』というバケモノであり、自分がその手助けをしてしまっているなんて、誰も予想しなかったことだと思う。


その手法は人間界でも利用され、私達が【ノーブル】という存在を知るまではショルシエは魔法省に勤める研究員として在籍していたという経緯もある。


魔法省での研究にはピット博士たちから入手した知識がさぞかし役に立ったことだろう。


「……ホント、噂以上のクズっぷりだよね」


ルミナス自身も恩があるピット博士。彼がいなければ、ルミナスはおろかメモリースターズの面々は誰一人としてこの場におらず、私達魔法少女の装備もここまで短期間で強化されなかった。


『バーストモード』はピット博士とクルボレレお姉ちゃんのお父さんの発案らしいことを考えれば、その功績は大きい。


「利用価値があったと評価してやっているんだ。むしろありがたく思ってほしいところだがな」


「人の善意を利用して、他人に悪意をぶつけるヤツに褒められたって嬉しくないよ!!」


少しでも歯車が違っていれば、ルミナスとショルシエは義理の姉妹のようになっていたのかも知れない。

そんなことを頭に過るけど、そもそもショルシエがクーデターを起こさなければ、私達がここにいることも無い。


絶対にそれは無いけど、同じ人に保護され片方は利用し、片方は慕ったこの埋めようのない溝は2人の間に確実にあるもの。


生き物レベルで決定的な思考の違いを見せつけられながら、ルミナスは自分の武器である銃の引き金を絞って、魔力の弾丸を発射する。


「弾けろ!!」


今までなら真っ直ぐ進むだけだった弾丸は、ルミナスが操る粒子にぶつかると弾けるように細かく分裂し、広がって行く。


『希望』のメモリーは確か砂属性を持っていた。この技は砂属性の粒子に光属性の魔力をぶつけて、細かく、不規則な弾幕を張れるものらしい。


一発の威力は下がるだろうけど、弾幕を張るのに撃つ弾数が減るのは良いことだ。それだけ他に選択肢が取れるようになる。

選択肢が増えるっていうのはそれだけで良いことなんだよね。相手が予想しなきゃいけない択を増やすことは、戦いの基本だ。


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― 新着の感想 ―
ショルシエ自体が異世界からの影響で滅びの存在に変質してるから、しょうがないよね。
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