帝王レクス
「魔法少女どもの新兵か。悪くない魔法だが、私には届かんぞ」
土埃から現れたショルシエは誰もが分かっていた通り、無傷。私達の戦力を冷静に分析している様子だけど、こんなのは小手調べ。
全員がまだまだ実力を出し切っているわけじゃない。当然、私もね。
「5秒稼いで!!」
「了解!! シルト!!」
「任されました!!」
ただほんの少し、時間がかかる。その時間をメモリースターズの面々に稼いでもらう。飛び出したのはシルトメモリー。身の丈程の盾を構えて飛び出して行く。
ショルシエからしたら、良い的だ。弱い奴が盾1つを持って突っ込んで来るなんてカモも良いところ。
片手をかざし、その暴力的な魔力を振りかざして攻撃すれば吹き飛ぶ。
「だっりゃあぁ!!」
というのがショルシエの予想だっただろう。だけど、シルトメモリーは盾で魔力を受け止めると、弾き返してしまった。
あのショルシエの魔力をだ。膨大過ぎるとまで言える魔力はその辺の強力な魔法より単純威力は上だと言うのに、無傷で弾き返して見せるのはかなり凄いこと。
凌いだ後は盾の影からブラザーメモリーとルミナスメモリーが飛び出し、それぞれが攻撃を仕掛けていく。
反撃されるなんて思ってなかっただろうショルシエが苛立たし気に向かって来る魔法を振り払うったところで私の方の準備も出来た。
「行くよ!!」
【待ちくたびれたぞ!! 気合を入れい星の子よ!! さぁ我が名を讃え、呼号せよ!!】
「アステラアァァァッ!!」
アステラの名前を呼んで、身体中に星属性の魔力を活性化。全身にを巡らせたそれはキラキラと銀色の模様になって私の肌の表面に現れる。
一番魔力が集中している目から、全身に星属性の魔力が生き渡ったことを認識した私は更に次の段階へ向かう。
「『バーストモード』!!」
体表に張り巡らせた魔力を噴き出し、魔法技術研究所から新しく支給された装備。『スターアサルト』に充填、起動させると私の背中や肘、脚などに装甲のように装着される。
特に背中のそれは星属性の魔力の銀色のキラメキも相まって、光の翼のようなものになっっている。
見た目どおり飛べる。魔力をスラスターにした飛行形態で、私の移動能力を飛躍的に上昇させるための装備だ。
「コケ脅しを!!」
「だったら、試してみたら?」
飛び上がった。私を見て、ただ見た目だけが変化したと判断したショルシエが構えるより先に『31式狙撃銃・改』の引き金を絞り、魔力の弾丸を発射。
距離の近さもあって即座に狙っていた手に着弾した魔力弾はショルシエの持っている魔力装甲を貫通して差し出そうとしていた右手を吹き飛ばした。
「っ?!」
「驚いてる暇はないんじゃない!!」
そのまま私は動き回りながら次々と『31式狙撃銃・改』の引き金を絞って魔力弾を撃ちまくる。
今までは反動などの観点から再発射までに時間が必要だった『31式狙撃銃・改』だけど。このバーストモードの飛行形態なら、各種スラスターによる空中姿勢制御によって地面に寝そべって撃っている時より遥かに軽い反動で狙撃出来る。
取り回しのしにくさも飛んでいるから当然解消。飛び回って連射も出来る狙撃兵なんてチートも良いところだけど、ショルシエ相手にはこれでも足りないくらいだと思う。
「僕も忘れてもらっちゃ困るんだよね」
【必殺!!】
「『ケーニッヒシュヴェルト』!!」
私にばかり気を取られていたショルシエが、懐に飛び込んで来たスタン。もといブレーダーメモリーが振り下ろす剣の直撃を受け、両断された。




