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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
最終決戦

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最終決戦


逆を言えば、昴の技術は高嶺流の系統に近いのかも知れない。高嶺流の魔法は古い形式の魔法らしく、大気中の魔力あるいは体内の少量の魔力を使って魔法を発動する技術体系だとは聞いている。


昴は知っての通り魔法少女ではなく、あくまで普通の人間。戦う時はメモリーという外部の魔力タンクを使って魔法を行使しているハズだけど、少量は自分の魔力や大気中の魔力も補助的に使っているのかもね。


じゃなきゃ、ああやって普通の人間には絶対に出来ない動きは出来ない。だって駆け上がった高さは1mとか2mではなく、ほぼ二階建ての建物の屋根付近まで上っているわけで。


筋力とかでどうこう出来るものじゃないよね。同じことを変身せずにやってみろと言われたら正直私は自身無いよ。


「つまり魔法少女からしても大将は特別な存在ってことか」


「昴さんの才能も加味すると無限の可能性はあるよ。真白お姉ちゃん達は昴さんにそこを期待しているんだと思う」


「昴はそこも理解してますよね。私だったら緊張で身体がガチガチになると思います」


そういうところも肝が据わっているんだよね。とにかく、昴さんはメンタルが強い。精神的に折れる様子が全く無いのは強みだよね。


またあっちにこっちにと走り回っている昴さんを私達はそれぞれ評価しながら、進んでいく。

皆から評価が高くて、精神的にもタフな昴さんはまさにメモリースターズのリーダーと言うに相応しいだろう。


「見習いたいものだね。絶対に諦めないっていう心持ちはリーダーには必ず必要な素質だから」


「王様の兄貴に歯向かおうなんてのも大概だと思うけどな。俺はその覚悟が持てること自体がすげぇと思うぜ、坊ちゃん」


「……ありがとう。あ、そこの路地を左に曲がって欲しい。もうそろそろ着くよ」


スタンは正直まだ不安で、自信が無いところがあるんだと思う。スタンにとってお兄さんの帝王レクスは自分よりも遥かに優れた人だという認識は変わっていないと思う。


それを自分が覆さなきゃならない、越えなきゃいけないというプレッシャーと兄への疑念やまだ信じていたいという気持ちがそうさせる。


でもスタンは歩みを止めてない。迷いそうになっても、前に進めている。覚悟が揺らいでいる訳じゃないのはスタンの良いところでリベルタさんがそれを褒めていた。


男の子の友情、的なのかな? まだ会ったばっかりでそんなのあるかは分からないけど基本的に私達って女所帯だしね。少ない男性陣は仲良くなりやすいのはあるかも。


スタンも照れくさそうにしながら、次の道順を指示していた。どうやら間もなく着くらしい。最初の私の焦りは何の意味も無いくらい、スムーズにそして安全に私達の作戦は遂行されていく。


「なんだか本当に観光しただけでしたね」


「皆の仲が深まってある意味ちょうど良かったよね!!」


「うお?! 大将、後ろからでっけぇ声はビビるから止めてくれよ」


大通りから一本入った路地に入ったところで人助けに奔走して回っていた昴さんもしっかり合流。大通りから外れたとあって、人通りはぐっと減って昴さんが人助けに奔走するようなことはもう無いかな。


突然背後で声を出されたリベルタさんはびっくりして大きな声を出しているけど、あんまり大声は止めて欲しいなぁ。

ここから先は隠密行動。人混みから外れて、王城の壁の中に入るあの秘密の入口から入るわけだからね。


私とスタンを除く3人もヤケクソ気味に認識阻害能力を付与されまくった装備を素早く着込んで、また移動を始めた。


「さて、あともう一息――」


あと一息で最初の難所を超えられる、そうスタンが鼓舞して先に進もうとしていた時だった。

お腹にまで響くような地響きが帝国の首都全体を揺らすようにズンッと鳴り響いたのは。

最初は地震かと思った。でもその後が続かずにそうじゃないとすぐに気が付く。


何が起きたのか理解しようと周囲を見渡して。


「あれ!! お城が!!」


帝国の政治の中心地。象徴でもある王城の一部が土埃を上げながら崩れ落ちていく様子が私達の目に飛び込んで来る。


「兄上っ!!」


それにたまらず飛び出したスタンを追いかけて、私達は作戦を放り投げて王城へ一直線へ駆け出した。


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― 新着の感想 ―
昴に大量の高圧魔力を浸透させて、魔法少女に改造するしか(笑) 「お前を魔法少女にしてやろうか!」 王城が… ショルシエの攻撃で往生したとか?
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