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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
最終決戦

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最終決戦


「ちょっとスタン、しっかりしてよ」


降下を終え、帝国首都の隅に着地した私達は路地裏に身を潜めながら少し時間を喰っていた。

スタンが腰を抜かしてしまったのだ。立てない程では無いものの歩くには支障があるくらいの軽度なモノ。


緊張からのモノなのは間違いないんだけど、出鼻から挫かれて私は呆れ気味だ。


「まぁまぁノワールちゃん。普通ならあんな高さから飛び降りたらこうもなるって」


「あぁ、鳥人の俺だってあんな高さから急降下は背筋がぞくぞくしたぜ。坊ちゃんの反応は至って普通だろうよ」


不満を漏らす私を昴さんとリベルタさんがそれぞれ宥めに来る。そりゃそうなんだけどさ、ここに来て腰を抜かすのは止めて欲しいわね。

これが敵陣のど真ん中だったら全員死んでるわよ。一応、私達が最も確実で安全なところに降ろしてもらったから良いものの、これでは作戦そのものが破綻しかねない。


「2人とも、正しいのはノワールの方だから大丈夫だよ。リリアナさんもありがとう。もう大丈夫だから」


「あまり無理はしないでくださいね」


「それじゃ、鼻の下伸ばしてないで行くからね」


エルフのリリアナさんに介抱されていたスタンが大丈夫だというから、私はずんずんと裏路地を進んでいく。


全く、だらしがないんだから。もうちょっとしっかりしてくれなきゃこっちの身がもたないわ。いつまでも守られているだけの王子さま気分では困るのだ。

私達は戦いに来たんだから。


「坊ちゃんの彼女、おっかねぇな」


「僕のせいで虫の居所が悪くなっちゃったみたいだ。ごめんよ」


「無駄口叩いてないでさっさと歩く!!」


こそこそと小声で話しているリベルタさんとスタンを注意して、私は足早に進んでいく。遊んでる暇は無いっていうのに、緊張感の無い男どもめ。


イライラしていると苦笑いしながら昴さんとリリアナさんが私の隣にやって来る。苛立っている私のフォローに回っているのは明白だ。

戦闘経験が私よりも少ない彼女達にそんなフォローをさせるくらい、冷静じゃない私の体たらくにも溜め息が出る。


お姉ちゃん達なら、こんな感情に易々と乗ることは無いと思う。


「その、ごめんなさい。余計なことをしてしまったですか?」


「ううん。リリアナさんは悪くないよ。大体スタンが悪いから」


「リリアナさん、美人だからねぇ。男の子は気にしちゃうよね」


私のイライラの原因の一端に自分の行動があると感じていたらしいリリアナさんが控えめに私に謝罪して来る。


エルフ、と言うだけあってファンタジー作品でありがちな容姿端麗なその姿はそんじょそこらのレベルの美少女なんて蹴散らすのは必須。


昴さんの言う通り、男じゃなくたって見とれるレベルだと思う。ウチの姉妹の中で一番美少女の真白お姉ちゃんと同じレベルだ。

背だって高いし、千草お姉ちゃんと真白お姉ちゃんの良いところを合体させたような、絵に描いた美少女って感じ。


私も別に美少女って言われてるのは自覚してるけど、リリアナさんに比べたら私なんてちんちくりんだと思う。

昴さんだってかっこかわいい系の顔してるし、なんか考えてたら自信無くなって来た。


「……大丈夫だよ。別にスタン君のこと取って食べたりしないから」


「私も男の方はよくわかりませんし……」


「ちょ、そういうのじゃないから。ほら、ちゃんと集中集中!!」


こそっと2人に耳打ちされてそういうのじゃないことを否定するけど、昴さんはニヤニヤしてて全然信じてないなコレ。

リリアナさんはこういう話には疎いのか、不思議そうに首を傾げている。


……そういうところも男子受け良さそうだよなあと良くない考えが頭に浮かんだのをさっさと頭の隅においやって、後ろを大人しくついて来ている男2人に八つ当たりしながら、私達は脚を進めた。


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― 新着の感想 ―
某第一空挺団(通称、狂っている団)みたいに激しい訓練をしているのならともかく、普通末っ子王子がいきなり実戦で降下しろというのは無理ですって(笑) 失禁、気絶しなかっただけで褒めてあげてもいいくらいの偉…
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