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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
決戦に備えて

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女王


「あー、疲れた……」


「おおよそ国王が出す言葉と姿勢じゃないな」


ミルディース王国の復興と私が女王になることを宣言し、広く民衆に知られるようにあの後はテラスから降りてパレードをやったりと慣れないことをやったせいでヘトヘトだ。


笑顔で手を振ってるだけって思うけど、その笑顔で手を振ってるのが物凄く疲れる。何事も同じことをずっとやり続けるっていうのは体力的にキツイんだなぁと実感した。


頬が痛い。引き攣って震えてる気がする。


「ねぇ、演説おかしくなかった?」


目下の不安はさっきの演説におかしなところは無かったかってことだよね。講習とかは山とやるし、発表とかそういうのはやるけどさ。

あれだけの人の前で偉そうに演説なんてしたことない。アレで正解だったのか不安で不安で仕方ない。


「私達に聞かれてもなぁ。それこそ花園に行ってプリムラさんに聞いてきたらいいんじゃないか?」


「そんな気楽にほいほい行ってたら怒られそうなんだよねぇ」


「だろうな」


こんなことで泣き言を言って花園に行こうものなら逆にお説教は確定だ。優しいお母さんでも王としてのこととなれば普通に鬼になる。母は強いが王はおっかないのだ。まさに最強である。


「泣いて喜んでる人ばっかりだったし、それだけで成功って言って良いと思うけどね」


「不満があれば最初の時点で出て来るだろうしな。少なくとも大衆の指示は得ているだろう」


私から見ても喜んでくれている人が多数だったと思う。だから、あの演説は成功だったと言って良いとは思う。

ただ、それでも不安になってしまうものだ。こんな経験、誰だってしたことない。これも私が最初から王族として生活していたら変わっていたのだろうとは考えるけど、それは無駄だ。


考えた方がいいタラレバと、考えるだけ無駄なタラレバがあるけど、これは考えるだけ無駄なタラレバ。


始めてのことで湧き上がる不安が私の心を苛んでいるだけに過ぎない。これは私が弱く、経験が少ないこうなっているだけなのだ。


そう頭ではわかっていても、中々胸の中の不安は収まる様子を見せない。


「はぁ、パッシオがいてくれたらなぁ」


「とうとう普段言わない本音が出て来たな」


「やっぱり無理矢理でも探し出して引きずって来た方が良いんじゃないのかなコレ」


好き勝手言うなぁ。だってこういう時にいつも慰めてくれるのはパッシオだったし。千草達はお尻叩くだけで慰めてくれないし。


弱音を吐いている人に正論ぶつけるのは基本的に悪手ですぅ~。正論は正論なだけで最善手でも最良でも無いんです~。


「お前が言うか。基本的に正論パンチする側だろ」


「真白ちゃんはノンデリ側じゃん」


「酷くない???」


正論パンチする側はともかく、ノンデリ側は酷いよ? ノンデリってあれだからね? ノンデリカシーってことだからね? 私そこまで配慮が無い側じゃないと思うんですけど?!


文句を言いながらぶー垂れていると、最終的に千草から「そこまで言えるなら元気だな」と言われて放置された。

酷い姉だとは思わない? こうして妹が不安がっているのにフォローの1つもしてくれないなんてさ。


「言ってろ。メンタルはお前の方が強いだろ」


「やーい、メンタルぺらぺら」


拳骨された。ゴッて音して猛烈に痛い。割と本気でやられた。くそー、暴力姉めぇ。


なんてじゃれながら時間を過ごす。あーだこーだ言っているけど、こうやって一緒の部屋で話し相手になってくれているのが千草と要ちゃんが私のことを気にかけてくれている証拠ではある。


緊張と疲れ、パッシオがいなくてイマイチ本調子じゃない私の様子を見ている。もとい、変なことをし出さないか監視しているのだろう。


「とりあえず、茶でも飲もう。私たちも少し疲れたしな」


「人混みの中の警備も大変だったよ」


「では、お茶の用意をいたしますね」


休憩として、息抜きにお茶を飲もうと千草が言うと、各種調整や片付けで部屋にいなかったハズの美弥子さんがスッと現れて、お茶の準備を始める。

相変わらず忍者みたいな人だな。


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― 新着の感想 ―
真白ちゃん、デリカシーが無いとか、鉄面皮とか酷い言われようですねぇ(笑) でも「パッシオ〜(泣)」って、しょうがないにゃあ。
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