表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
決戦に備えて

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1615/1723

罪と罰


この事はまだ言えない。確証も無いし、下手に藪を突いてとんでもないことになるよりはまずは確認をしてからだ。


それもこれもひと通り落ち着いてからにはなるけど、ピリアが精神的に大きく傷ついている時にやることじゃない。


真白さんはそれに気が付いたんだろうな。だから話を理由を付けて切り上げたんだ。ピリアから有益な情報は得られなさそうだという事実もあるだろうけど、細かな情報は絶対に手に入るはずなのに、ましろさんはピリアの心を優先した。


凄いなって思う。状況の大局を見極めながら、敵だった女の子の容態まで気にかける人の器は私が想像するよりずっと大きいんだろうなと思う。


「情報を制限することが、洗脳の手段のひとつなんだっけ?」


「みたい。あと孤立させたりとか、わざと失敗を経験させてそれを周りの人達のせいだって言うのも手段のひとつだってね」


「……ははは、全部心当たりある。ホント、バカだなぁ」


力無く、ぼすんとベッドに身体を投げ出して寝ころぶピリア。笑うしかない、って感じなんだろうな。


自分で決めて来たつもりのことが、ショルシエにコントロールされていたって知れば知るほどキツイと思う。


でも、気が付けて良かったと思ってる私もいる。私は、ピリアと戦うつもりだった。戦って、勝って無理矢理連れ帰るつもりだった。

それが本人の意思にそぐわなくても、絶対に連れ帰ってやるって考えだったから。


それが幸か不幸か、ピリアの方から戻って来た。私からすればラッキーなことだ。だって望んでいた2人の友人の内の1人が傷だらけになっても正気になって帰って来てくれた。


正直、少しだけ肩の荷が降りた気分だった。サフィーリアさんだって連れ戻さなきゃいけないけど、サフィーリアさんについては碧先生の方が意欲的だと思うし、確実だと思う。


私の比重が大きな仕事は確実にピリアを無力化して連れ帰る事だったから、それが実質すでに解決したのだから肩の荷も下りると言うものだ。


だからと言って、最終決戦を欠席するつもりは無いけどね。サフィーリアさんだって必ず連れ戻すし、ショルシエのことは一発殴ってやると決めている。


私の友達に好き勝手しやがって、という気持ちは拭われたどころかむしろ増したまであるしね。


「本当になんで気が付かなかったのかしら。絶対、どこかで気が付けたはずなのに」


「その違和感を感じさせなくしたりするのが洗脳ってことなんじゃない?」


「私の方だってショルシエを利用してやろうって気持ちだったのよ? ショルシエを利用して、ミルディース王国の王座を横取りしてやる、みたいな感じだったもの。よくよく考えれば、ショルシエがミルディース王国の王座を狙っているみたいなのも思い込みよね。ホント、どうかしてた」


小さな違和感に気が付かないように誘導していくうちに、大きな違和感にも気が付けなくなる。それが洗脳。マインドコントロールという人心掌握方法、らしい。


宗教とかもこういう手法を使っているのを、私は見たことがある。


「……私の親もさ。やってたんだよ」


「やってたって?」


「人の洗脳。私の親、宗教やってたの」


魔獣信仰団体『ノーブル』。3年前、S級魔獣『大海巨鯨 リヴァイアタン』を復活させて、人間界を滅茶苦茶にしようとしたあの『ノーブル』だ。


私の両親はその発足メンバーの中にいた。最初は人を襲う恐ろしい魔獣を荒神として祀って鎮めようとしていた日本らしい宗教観の元に発生した、小さなグループだったらしい。


ただ、それは急速に大きくなり過ぎた。沖縄は小さな島に対して自然がひと際豊かだ。そのせいで魔獣被害は日本の中でも大きかったみたい。

日本人の宗教観にもマッチしたのも原因の一つだと思う。とにかく、短期間で『ノーブル』の規模は一気に大きくなった。


そうしてからだ。両親がおかしくなっていったのは。


規模が大きくなった結果、人をまとめるのにルールとお金が必要になった。いや、もしかすると最初からお金集めが目的だったのかもしれない。

真意は発足メンバーにしかわからないだろうけど、巨大な組織には厳しいルールと膨大なお金が必要なのは間違いない。


そのため、両親を含めた『ノーブル』の発足メンバーは上納金を集めるようになった。


最初は500円だった上納金はやがて1000円になり3000円になり。あっという間に万を超すようになった。

中には一人で何百万も納める人もいた。


こうやってお金を集めるために、両親はどんどん様子がおかしくなった。人を操り、お金に溺れ、権力に縋る様になっていった。


あの様は、今思い出しても恐ろしい。人は、あんなに簡単におかしくなれるんだと、幼いながらに思ったんだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
身内に実例がいたら怖いだろうね。 『ノーブル』自体、ショルシエの分体が操っていた組織なのだし、真白ちゃんの家族を傷つけた張本人だから。 昴ちゃんも色々な問題を抱え込んでいるから大変です。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ