表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
決戦に備えて

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1563/1723

星の道導


【そう仮定すると国が三つに分けられたことにも説明ができるわ】


「それも何か理由があるの?」


【だって、三つに分ける意味がないじゃない。民族は元々一致団結していて、宗教も同じ、山の峰で三つの地方に分割されているとは言え、わざわざ分けるより最初から一つの大国で十分だと思わない?】


それは確かに。国が分かれる理由の大半は民族、文化、宗教だ。妖精界は種族間の生活様式の違いがあっても建国時点で民族同士の仲は良いし、文化も言語もそこまで変わらない。宗教だって一緒。


東日本と西日本の文化の違いより多分差異がない。それなのに国が3つに分かれてる。しかも仲たがいとかしたわけじゃない。

仲良しこよしの姉弟が領土を3等分しただけというよくよく考えてみればそんなことある?


【国を3つに分割したのはリスクの分散よ。1つの国だったら、中枢一つを落とされただけでお終い。ミルディース王国がそれだった】


「ズワルド帝国は、乗っ取られてるみたいなものだし」


【でもスフィア公国が残ったわ。3つの分割は成功してると言えるわね】


『獣の王』ショルシエによってミルディース王国は滅ぼされて、ズワルド帝国は中枢に浸食されている。

3つに国を分割していなかったら今頃妖精界はとっくに滅びていた。


先見の明ってやつがある人がいたんだろうな。リスクマネジメントは完璧だったってわけだ。


【妖精界は常に『獣の王』を仮想敵として見据えていた。長年続き過ぎた平和でそれにほころびが生じていたとしても、根本的にこの世界の戦争の相手は国でも特定の民族でも宗教でもない。たった一つの巨悪に全力で立ち向かうための軍事力】


「……妖精界 VS ショルシエってこと?」


歴史とかから見て行けば確かにそうかもしれないけど、実際はそうじゃない。未だに納得の出来る答えというか、説明が続くばかりで回りくどいなと感じてしまうけど、これはいつもの真白お姉ちゃんのやり方だから黙っておく。


話せることを全部話したうえで、真白お姉ちゃんの意見を最後に言う。

それに対して私がどう思うのかをしっかり考えて答えを出せ。


お互いに時間を作りやすい姉妹だからこその時間の掛かるやり方だ。今は質問をするだけで、我慢をする。


【そう。この戦争はそもそもに旧王国と公国の同盟対帝国とショルシエの利害の一致じゃないわ。最初から敵はショルシエ一人だけ。帝国の軍と戦う必要はなに一つも無い】


「でもそれじゃあ、スタンのお兄さんがどうしてショルシエと手を組んで、私達と敵対しているの?」


【さぁ?】


「さぁ、って……」


あんまりな答えに肩を落とす。そこに関しては全然具体的な話をしてくれないのはズルくない?


呆れる私に真白お姉ちゃんはケラケラと笑っているけど、どうせこれにも理由があるんだろうなと思う。

大体真白お姉ちゃんが具体的な話をしない時は確信出来る情報とかが無い時だし。


【帝王レクスについて言えることがあるとすれば、あの男はタヌキよ】


「タヌキ? そんな可愛い感じじゃちっともないと思うけど」


【そうね、全く可愛くないわ。なんなら怖いくらい】


ショルシエと手を組んで旧王国を滅ぼし、公国を攻撃したズワルド帝国の帝王レクスがタヌキだって言ってみたり、今度は逆に怖いって言ってみたり。


なんだか意味ありげな言い回しだけど、今は深く突っ込まないでおく。今はその話じゃないからさ。


「とにかく、お姉ちゃんは帝国軍とこっちの同盟軍での全面戦争をするつもり自体がそもそもないってこと?」


【そういうことね。その辺は上手くやるわ。戦争、戦争って皆は言ってるけど、実際の戦いはもっとコンパクトになると思う。被害は最小限に努める。そのための作戦を各方面と調整しているわ】


私が想像するような、一般的な軍同士の大規模な戦いをそもそも行うつもりはない。それが真白お姉ちゃんの答えの一つだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ