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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
決戦に備えて

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星の道導


スタンと紫お姉ちゃんの調べ物の手伝いは思ったよりも数倍ハードだった。何せ、重い本を何冊も持ってあちこちを行ったり来たり。


いくら魔力とか魔法で身体能力を強化できるとは言ってもこういう地味な作業が疲れることには変わりがない。


スタンと紫お姉ちゃんが速読で次から次へと持って来た本を読んでいき、必要そうな項目をカメラで撮影。それをデータ化した上で『魔法少女協会』の職員とレジスタンスの人達が翻訳魔法と生成AIによる翻訳を校閲、修正。


それを更に必要な情報と、そうじゃない情報に仕分けていくというハイテクを駆使しているようで実はマンパワーでゴリ押ししてるだけの情報収集には脱帽だよね。

いや、即席でやってることなのに既に魔法とAIを併用して高速で翻訳する簡易システム作ってるのは本当にどうやってるんだろう。


多分『魔法技術研究所』のエンジニアとレジスタンスの魔法研究者の人達が死に物狂いで一晩で作ったとかそういうヤツ。


現場からの無茶苦茶にいつも答えてくれて本当にありがとうございますという気持ちは忘れてはならないとは真白お姉ちゃんから耳がタコになるほど言われた事でもある。


「めっちゃ疲れた……」


それを二時間手伝って、私は一旦お暇することにする。そういう約束だし、真白お姉ちゃんとの話があるのは皆知ってるしね。


忙しくしている皆の邪魔をしない程度に挨拶をして、公国であてがわれている自室に戻ると真白お姉ちゃんからのトークアプリからの通知が来ていた。


好きなタイミングで通話をかけて来て、らしい。多分、何かやりながら話をするつもりなんだろうな。

真白お姉ちゃんはマルチタスクの鬼だから、通話しながら書類作業くらいならお茶の子さいさいってね。


たまにトリプルタスクくらいしてるから端から見てると意味不明な時あるけど。手は書類作業、口は通話返事をしながら、目はスマホでメールチェックみたいなことしてるんだよ?


いやホントどうやってるのか分からないよアレは。いや、数え切るのがバカらしくなる数の障壁魔法を操る真白お姉ちゃんからすれば、3つの事を同時にこなすのなんて楽勝なのかもしれないけど、アレは下手な魔法より魔法だよ。


なんて普段の真白お姉ちゃんのとんでもないマルチタスク能力を思い出しつつ、ソファーでくつろげる部屋着に着替えて、協会から支給されている妖精界用のスマホのトークアプリの通話ボタンをタップした。


「もしもーし」


【もしもーし。音質は大丈夫そう?】


「うん、大丈夫。時間取らせてごめんなさい」


【聞きたい事があるんでしょ? 答えてあげるから気にせず言いなさい】


音質とか通信状況を軽くチェックしてから、まず時間を取らせちゃったことにお礼を言っておく。

絶対、真白お姉ちゃん忙しいハズなのに、私のために時間を作ってくれたんだからね。そういうところはしっかりしないと怒られる。


細かいけど、そういう気配りが出来ないと人の上には立てないってお父さんとお母さんにも言われてることだし、やらないとそこのお説教からになっちゃう。


【あ、その前に。この前はありがとう。おかげで最悪の事態は避けられたわ】


「この間って、パッシオのこと?」


本題に入る前に真白お姉ちゃんからお礼を言われる。この間ってことはパッシオがショルシエのせいで暴走して、真白お姉ちゃんに襲い掛かっているのを私が止めた時の事、だと思う。


でもアレは本当に対処療法的なことでその場しのぎも良いところだ。あの時それ以上にならないようにしただけで、パッシオが真白お姉ちゃんのもとを離れたって噂は私の耳にも入ってる。


お姉ちゃんにとって、物凄く辛い状況だと思う。だって、ずっと一緒にいた人に襲われて、しかもそれがその人のせいじゃなくて、それでも離れなきゃ危ないってなったら。


それが私の身に起こったとしたら、胸がきゅっとなる。他人の事を気にしてる余裕なんて私だったら絶対に無いよ。


それなのに真白お姉ちゃんは妖精界の為に女王になることを選んで、私のことにまで気にかけてくれてるんだから、本当に凄い。


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― 新着の感想 ―
身体強化できるとはいっても… 精神面の強化って、魔法抵抗とか限定的でしか無いからねぇ。 一時的に疲労感をカットできることはあっても、ある意味で痛み止めと同じで連続使用できるわけではなく、反動の弊害が大…
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