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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
決戦に備えて

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青くて碧い


「でもまぁ結構なことじゃないか。肩の荷が降りたんだろう?」


一通りウチの事を弄ったあと、仕切り直すように翔也さんはウチの状態について話をして来る。

鼓にも言われたけど、そんなにパッと見てわかるもんなのか。ただウチの態度や顔に出てるだけなのか。


「そんなウチわかりやすいか?」


「あぁ、良い顔になった。というより戻った、かな」


直接聞いてみると分かりやすいらしい。多分、調子が落ちてる時の様子がわかりやすいんだろうな。

それが戻ったから相対的に調子が戻った判断がしやすいってかんじなんだろうよ。


「どうだい? 昨日言われたことは少し納得が出来た?」


「一応、ある程度はってとこかな。もうちょっと詰めていきたいところだけど、それを頭で考えるのは止めようと思った」


「良いね。碧は行動で示すタイプだからね。その方がきっといい結果になるよ」


全部が全部納得出来たってわけじゃない。まだそれで良いのか? って疑問はある。あるが、一旦それは保留にしていい疑問だってのはわかった気がする。


頭で考えてんのが悪い。というか、ウチに合ってない。


どうも頭でっかちになる。頭の中で情報を処理し切れないからパンクした結果がつい最近のモチベの低さの原因だったんだろうなと認識させられたよ。


なにせ現場に出てその辺のことをいっぺん放り投げたら、まぁ自然に身体が動くこと動くこと。


鈍ってる気がしていた勘もよく働いていた。妖精界にいた時はいつものメンツの中で活動していたから、どうしてもそっちを意識していたけど、そこから一旦離れたのが功を奏したんじゃねぇかなってのがウチの持論。


「やることは決まった?」


「いんや、全然。ただ、やらなきゃいけないことはハッキリした気がする」


カクテル片手に上機嫌そうな顔をしているお袋の質問には我ながら変な答えを返していると思う。

肩の荷は降りた、がやるべき目標みたいなのが明確になったワケじゃない。


どっちかというと悩むだけ無駄だと言う答えの一つが3年かけてようやく出た。って感じだ。喉に刺さった魚の小骨が取れた感じだな。


だからこそ、そんなもののせいで取り返しのつかないことを引き起こした不甲斐なさには本当に申し訳なく思う。

特にサフィーリアのことについては完全にウチの責任だ。ウチがしっかりしてれば少なくとも最悪の事態は避けられたハズだ。


まずはそこをどうにかする。手段とか方法とか、そんなものを考えてどうこうするんじゃなくて、ウチがどうにかする。これはケジメだ。


「目の前にある、守らなきゃいけないもんを守る。取り戻さなきゃならねぇもんを取り戻す。まずはそこからだ」


「ええやん、ええやん。らしくなって来たわ」


物事をシンプルに考える。それだけの話だったのを小難しく考えてた。


街を守る。人を守る。仲間を守る。友達を守る。家族を守る。


シンプルで良い。堅苦しい信念だとか、身の丈に合わない目標だとかは全部ゴミ箱に叩き込んだ方がウチには良かった。ただそれだけの話。


「だから言っただろ? 目の前にある大事なものを守り続けることの方が難しくて、何よりも大事だってね」


「役割に固執してた気がするぜ。確かに3年前は役割云々じゃなくて、とにかくがむしゃらだった。目の前にあることに集中してたわ」


一旦戦いが落ち着いて、目の前にあったクソでかい標的が無くなって、なんか色々求められることも増えた。

それはそれで悪くないが、それでウチが迷ってちゃあ、な?


「なぁ、お袋」


「なぁに?」


「リーダーのウチが目の前にあることだけに集中してんのは、あんま良くねぇかな?」


ただ、やっぱ引っ掛かるのはそこだ。もっと視野を広くして、あれもこれもやった方がいいんじゃねえのかとは心の隅でやっぱり思う。

もっとでっかい何かを持っておいた方が、世の中の為になるようなことをしなきゃいけないのか、とかな。


「何言ってんの。アンタが目の前にあることに集中してくれるから、周りは他の事に集中出来るんでしょ? アンタがいなきゃ、あの子達の夢は始まらないのよ」


「……そっか、そうだよな」


ウチがいなきゃ、他のヤツらが夢を追えない。確かにそうかもな。ウチが一番身近なモノを率先して守ってくれるから、アイツらは外に目を向けられる。


それに気が付けただけで、ウチのやることってのはハッキリしただろ。


「うし、あっちに戻るわ」


「は? 今から戻るん?」


そうと決まればさっさと戻る。今は妖精界の方をどうにかしねぇとな。こっちのことは任せるぜ。

それを伝えるとお袋は大笑い。翔也さんは嬉しそうに頷いて、鼓はぽかーんとしている。


ちょっとやらなきゃいけないことも出来たしな。ウチらの中の決めごとを破ることにはなるが、必要なことだと思う。


真白に頼み込んでやってもらうしかないだろ。『優しさ』のメモリーの中、サフィーリアの姉のテレネッツァと直接話をするには、『花園』とやらに行くしかねぇからな。


「んじゃ、行ってくる」


そう言って、ウチは自宅を後にした。やることは盛りだくさんだぜ。


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― 新着の感想 ―
「碧ちゃんはリーダーなんかじゃないのです。あなたは大将であってリーダーじゃないのです。」(笑) 「リーダーは真白に任せて、碧は大将でいればいいのです。」 テレネッツァの場合、(憑依して)碧についてい…
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