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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
決戦に備えて

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青くて碧い


鼓が言いたい事も分かるけどな。ようはウチらはその辺の女子高生どころか魔法少女。さらにそれどころかその辺の社会人以上に忙しなく仕事をしてるってのは世間からして異常だよなぁ。


周りの大人とかが出来るだけウチらに負担をかけないように頑張ってくれているだが、どうやったってウチら自身がやらないとどうにもならないってことが多くてな。


替えが利かないってヤツだ。こればかりは代替のしようがないからな。リモートにも限界ってのはあるし。


「アンタら友達おるんか? ちゃんと遊ばんと大人になってから歪むで?」


「自分だって歳変わんねぇだろ」


「ちゃうちゃう。そもそも遊べてるんか? って話や。うちはとてもじゃないけどあの仕事量で遊びに行くなんてとてもじゃないけど無理やで?」


そう言われると弱い。正直、遊びになんて行ったのいつ以来か。協会と家を行ったり来たりしてるだけだし、妖精界に行ってからなんて休みらしい休みなんて無いしな。


友達は、いないわけじゃないとは思ってるがクラスメイトとどっか遊びに行くなんて小学生以来殆ど記憶にねぇなぁ。


そう考えると魔法少女になってからマジで遊んでねぇかも。いや、遊んだことはあるぜ? 魔法少女の他の面々とかと隙間時間に遊んだ事とかはちょくちょくあるけど、夏休みとかはよくよく考えるとあってないようなもんだったなぁと思う。


ウチの中で、長期休みの間に毎日遊びまわるなんてのは創作の中のイメージでしかない。


「なぁなぁチビちゃん達。お姉ちゃんってどんくらい家に帰って来るん?」


「ねーねはたまに!!」


「ぱぱはまいにち!!」


屈んでチビ2人にウチがどのくらいの頻度で家に帰っているかを鼓が聞くと物凄く正直に答えてくれた。


いや、一応家に帰れるなら帰ってるぜ? ただ帰る時間が夜中になって、成也とみなもに顔合わせるタイミングがねぇんだよな。

朝になって顔を合わせて、学校行って協会行って家帰って寝るみたいな感じだ。


「そりゃアカンやろ。姉ちゃんが家に帰らんってどんな不良やねん」


「いや、別に家に帰らねぇからって不良ってわけじゃ……」


「外聞の話や。毎日毎日夜遅くに家に帰って来る姉ちゃんがいるなんて噂になったらどないすんねん。なんも事情を知らん人がその話聞いたらとんだ不良娘や。下手すりゃそれで虐められんねんで?」


「それは、まぁ確かに……」


ウチの周りにいる人は当然大半の人がウチが魔法少女をやってることは知ってるし、めちゃくちゃ仕事が忙しいから帰りが遅くなるのは仕方ないと思ってる。


ただ何も知らない人が見聞きしたらどう思うかって視点は抜け落ちてた。例えば事情を知らない別の親御さんが、成也かみなもの口から「お姉ちゃんは夜遅くに帰って来る」なんて話を聞いたらどんな想像をするか。


大抵の人はあんまり良い想像をしないだろ。その上姉が未成年だとか学生だってわかったら確かに不良にしか見えないかも知れねぇ。


「遊びが無いのも不健康やで。本部の大人達は何してんねん。子供は基本的に遊ぶもんやろ」


「ウチらが特殊なだけで……」


「だったら尚更福利厚生はしっかりせなアカンやろ!! 世界規模の最高戦力を日常的に小間使いしてどないすんねん!!」


言い返すことも出来ない。ノンの施設の廊下でこんなことをやってるから時々通り過ぎる協会関係者と思われる大人が物凄く申し訳なさそうにしてるのがまた色々と物議を醸し出しそうだ。


「落ち着けよ。別にウチはそこまで現状に文句はないからさ」


「うちには文句がある!! 今日は全部忘れて遊ぶで!! チビちゃん達も一緒や!!」


「あ、お、おい?!」


成也とみなもを両脇に抱えてノンが生活してるスペースの出口へずんずん進んでく。勝手に決めるなよと思いつつ、言い出したら聞かない雰囲気には何を言っても無駄そうだ。


「ノン!! また後で来てやるから待ってろな!!」


「ぎゃう」


「すまんなぁ!! 総大将借りてくで!!」


だからその総大将ってのやめろって。


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― 新着の感想 ―
福利厚生は大事だけど、魔法少女の絶対数が不足しているから仕方ない面もあるよね(笑) 一般人を魔法少女に改造する方法も技術も(公的には)無いんだから。(人体実験した組織はあるけど。) 経理などの一般職を…
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