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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
決戦に備えて

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地獄から帰って来た者


「ふぅん……? で、アンタ達は?」


問題なのはリベルタとリリアナだ。この2人は昴にくっ付いて来た側だ。敢えて悪く言うのなら昴の金魚の糞。

ただ流されてここに来ただけなのなら、こいつらは本当にただの金魚のクソだ。


昴の仲間である以上、仲間がクソでは話にならん。つまるところ、こいつらの回答こそが真に重要な問答であったりする。


「俺は、大将に性根を叩き直されたクチです。恩返しとして、大将がやりたい事を手伝いたいという気持ちも勿論あります」


先に口火を切ったのはリベルタだ。鳥人族であり、筋肉質な体つきと飛翔能力がウリのリベルタは元々街のゴロツキだった上に、どうにもビーストメモリーの被害者だったらしいな。


それを昴が救った。まさに恩人だ。恩返しをしたいという気持ちは義理堅い性格のリベルタにとっては最優先事項ではあるんだろう。


だが、それでは足りんな。己の覚悟が無い奴に強くなるのは無理だ。皮肉なことに人というのはエゴで強くなるものだからだ。

利己的な、自己中心的な我が儘なヤツほど強くなる。残念ながら世の中っていうのはそういう風に出来ている。


それをどれだけ理性と理論で武装し、破滅的な思想に染まらないかが重要だ。

わかりやすいのは真白だな。他者のためと動いているが、その根底にあるのは自分の理想とする世界にしたいという強いエゴイズム。


世界の平和が結果であって、もし一歩間違えれば真白は悪の大総帥だっただろう。


その汚いエゴイズムと言う名の覚悟を見せてくれなければこいつらに先は無い。


「でも、それ以上に友を失う痛みを知っています。俺のダチは殆ど死んじまった。……それ原因の一つは俺の不甲斐なさにあります。それをもう誰かに味わって欲しくねぇ!! 誰かのダチを知らねぇ誰かが助けたって良いはずだ!!」


「それも、アンタが勝手に言ってることじゃないの?」


「俺が勝手にやることだ。だけど、それでいい。感謝されたいわけじゃねぇ!! 俺がもう嫌なんです。俺は、俺が納得したいから大将に着いて行く。そのためには力が必要です」


自分が味わった悲しみを他の誰かに味わって欲しくない。まさにエゴイズムだな。そんなこと誰かに決められることじゃない。

誰かの悲しみはその誰かのだけのモノだ。良いも悪いもその人が決めることであって、勝手に誰かが口出すことではない。


「俺は、ダチを救いてぇ。自分のも誰かのもだ」


それでも、リベルタはそこに口を出すし手を出す。そこに感謝されたいとか評価されたいという思いは無く、ただ自分が嫌だからという気持ちからの行動。


人によってははた迷惑な、勝手な話だ。知りもしない他人がしゃしゃり出て来たところで不快に思う人も結構いるだろう。


面白い覚悟だよ。そんな奴を見るのは初めてだ。


「アンタは?」


「……私は、お2人に比べればそんなに強い感情は無いかも知れません」


最後にリリアナの話を聞く。顎で指されて、少し尻込みがちではあるものの前置きをしながら自分の気持ちを口にしてくれた。


「私の種族、エルフは酷く閉鎖的で、排他的な種族でした。昴さん達が来るまで他者を寄せ付けず、外界を拒み。外からやって来たものを何も考えずに敵や穢れたモノだと言って排除し続けて来ました」


「こっちのエルフはそんな感じだったのか」


「ハイ。魔法ですら禁術として使うことを罪深いこととし、とても原始的と言うか種族としての発展を拒んで来た種族でした」


妖精界のエルフもまた変わっている。エルフは(ユウ)さんと(ハルカ)さんとしか会った事が無いからな。


あの2人もだいぶ特殊なエルフと言うか、エルフと言うよりゴリラという表現の方が正しいフィジカルモンスターだったが、こっちのエルフはまさかの原始人か。


聞いているぶんだと縄文や弥生時代のような生活をしていたのではないだろうか。魔法が発展した世界で魔法を禁じていたというのも考えると、かなり原始的な狩猟生活をしていたのだと思われる。


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― 新着の感想 ―
闇堕ちした真白ちゃんが独裁者になった世界ってどんな世界なんだろうね? 国民全てが真白の愛玩動物状態で、生も死も無く何も考える必要すらないディストピア…とか?
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