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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
決戦に備えて

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地獄から帰って来た者


さて念願の雪女の力を使うコツを聞けたことだし、集中してやってみますかぁ。

イメージは自分から力を放つってより、自然そのもの。


自分と雪山が同じになるみたいな、そんな感じかな。


「お」


感触は良い感じだった。雪山にある湖が全面凍結するみたいなイメージで作った氷はとても小さいけど形成することが出来た。


とても小さい、手のひらサイズというより小指サイズ。コップに入れる氷にもならないようなサイズだけど確かに出来た透き通った綺麗な氷が確かにあった。


「あ、こっちも出来たわ。発動が凄い早いわね。こんだけ早いなら貴女がバンバン連射しまくってるのも納得出来るわ」


「私も出来たけど、純度が高いね。硬くて丈夫そう」


お互いに氷が生成出来たみたいで、それぞれの氷を見せ合う。氷魔法で作った氷は見慣れたもので青白く光っているようにも見える。なんというか作られた物感が強い。


対して雪女の力で作った私の氷は自然物感が強い。天然氷の見た目に近いんだよね。ゆっくり凍った自然の氷は純度とか密度が高くて融けにくいんだってね。


だから昔の人は夏場の食材の保存とかに重宝したとかなんとか。氷は自分の事に身近だから少し調べたけど、こんなところで理解に役立つなんて思っても見なかったなぁ。


「使い分けられたら本当に便利そうね」


「問題は私がそんなに器用なことが出来るかって話ですよ」


「そこは訓練あるのみよね。得意でしょ? 訓練」


「いやまぁそうだけどね?」


本音を言えば訓練しないで出来た方が良いよ。そりゃ楽な方が良い。そんな簡単に行くわけないのはわかってるけどね。


漫画とかアニメの主人公みたいに覚醒!!フルパワー!!で大勝利!!なんて現実的にはあり得ないわけで。


地道な努力がいつだって身を結ぶってヤツだよ。天才とか、ブレイクスルーっていう壁をぶち破って一気に成長することはあるけどね。

ようは今の私はその壁をぶち破らなきゃいけない段階だ。それまではじみーな努力ってわけですよ。


今回はその地味な努力に時間制限がついてるから厄介なんだけどね。急ぎながら、着実に地味な努力をしなきゃいけないって矛盾だよ。


「とりあえずコツは掴めたわね」


「とりあえずね、大体ここから長いんだよ」


初手でコレだからね。ここから先はひたすらトライ&エラーを繰り返すしかないんだよ。


これが地味なんだよ。今まで散々やって来たから良いけど、やらなくて済むなら済んだ方が精神衛生上良いに決まってるよ。


やるけどね。やらない選択肢なんて無い。めんどくさいってよりは早くこの壁を越えたい焦りが私の心の中の正体だ。

こんなところで時間を使っている暇はないって焦り。でも基礎をおろそかにするとどうなるかもよく分かっている。


千草の、皆の足を引っ張るのは一回だけで十分だからね。


「良いわね。顔つきがらしくなって来たじゃない」


「どゆこと?」


「いつもの貴女らしくなって来たってこと。そういう貴女のことを応援したくて、ずっと力を貸して来たんだから」


気合を入れ直す。とそれを見て雪女さんは嬉しそうにこっちを見て来る。私のこういうところが好きらしいけど、そういうところってどこ?


私はいつもこの調子だと思うんだけど。


「仲間のためにそうやって頑張るところ。雪女ってほら、生まれてから死ぬまで一人だから、憧れだったのよ」


ずっと1人、か。それは確かにキツいかも。雪女だったら当たり前なんだろうけどさ。雪山で死ぬまでたった1人、かぁ。

やだなあ。1人ってやっぱ寂しいじゃん。皆とわいわい出来た方が良いよね。


「仲間とかいなかったの?」


「雪女同士で一緒にいることは無いわ。1つの雪山に雪女は1人。人と会う時はそうね、雪山で遭難した獲物、くらいかしら」


そういう横顔は少しもの悲し気な雰囲気だった。


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― 新着の感想 ―
”獲物“っていっちゃうところが(笑) 妖怪としての雪女は、山の神に統括されていて、”隠れ里“以外では雪女同士が出会うことはないらしい。 現在風に言うなら”量産品のペットロボット“みたいなもの。 行った…
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