地獄から帰って来た者
「えっちって表現止めなさいよ。別にそういうことを絶対にしなきゃいけないわけじゃないわ」
「じゃあエッチしないのに淫魔なんですか?」
「なんでそこに喰いつくのよ」「
おもいっきりデコピンをされて怒られた。いや、気にならない? これでも年頃の乙女なので普通にその話題は気になると言いますか、綺麗なお姉さんからスケベな話聞けたらそれだけでグへへってならない?
「グーの方がいい?」
「冗談なのでやめてください」
セクハラは雪女相手でもだめらしい。世知辛い世の中になったもんだよね。ちょっと邪まな感情がわき溢れて爆発しただけじゃないですか。やだなぁ、もう。
「ほんとに、私の生まれ変わりがむっつりスケベなのだけが気に食わないわ」
「失敬ですね。割とオープンスケベです」
「もっと悪い」
うーん、ダメか。千草ならこの辺りで諦めてくれるんだけど、雪女さんは中々しぶとい。
でもそろそろ雪に埋められそうだから止めとこう。72時間のタイムリミットがある中でそんなことやってるなんてバレたらなんて言われるかわからない。
どうか閻魔大王様にはこの光景が見えているなんてことだけは無いようにお願いしたいです。ホントに千草に怒られるので。
「はぁ……。精気を吸収するのに最も効率が良いのがそういうことであって、現代社会のそこらじゅうに人間がいる状況だったら立ってるだけで精気なんて勝手に吸収出来るの」
「つまり歩く18禁……?」
埋められた。
「ごめんって」
「しばらくそのままでいなさい」
本気で怒られた。15分くらいお説教されたよ。淫魔系の魔物の一種だと思う雪女に女の子が破廉恥な話題に率先して乗っかるのは色々危ないから止めなさいってお母さんみたいなこと言われたよ。
はい、大体全部私が悪いんですけどね?
「全く、本当にお調子者なんだから。千草ちゃんには同情するわ」
「いやぁ、それほどでも」
「褒めてない。はぁ、一々突っ込んでたら埒が明かないわね」
うんうん、良い感じに雪女さんも解れて来たね。これでお話もしやすくなったってもんよ。因みに勿論そんな打算は無いよ。ノリとテンションでやりました。反省も無ければ後悔なんてする気もないよ。
刹那的な生き方にこそ価値があると思わない? 因みに私は思わない。だって無責任ってよくないし。
「とにかく、現代社会で生きていくなら、人混みとエアコンがあればどうにかなるわ。そもそも精気不足で死ぬってことはほぼ無いし、あんまり気にしなくて良いわよ」
「はい、せんせー。伴侶がいた方がやっぱり良いんですか?」
「絞り尽くなければヨシ!!」
やっぱ下ネタじゃねーか。結局のところ私ら同類だよ。
こんなことをしながら実は二人ともいそいそとお互いの能力を使って氷を作ろうとしているのである。
やっぱり中々難しいねぇ。氷属性の魔法ならこんなの簡単なんだけど、これを雪女の力だけでやろうとすると途端に難しい。
魔力が混じっちゃうんだよねぇ。そうなると操作しやすい魔力に依存しちゃって結局魔法の割合が9で雪女の力が1くらいの氷が出来ちゃうんだよ。
「難しいわねぇ。ただ氷を作るだけなのに、混じり物になっちゃうのよね」
「なんだよね。やっぱ理論的にやんないとこういうのってダメなのかなぁ」
「って言っても私達って感性派じゃない? 説明されても頭が融けるだけだと思うんだけど」
やっぱ詰みかコレ。ごめん千草、俺死んだわ。ガハハハ。
笑いごっちゃないんだけどね。こうでもしないとやってられないよ。お互い感性派で似てるようで全然違う能力を使うからぜーんぜん上手くいかないんだもん。
「魔力ってどうやって引き出すものなの?」
「引き出すって言うか、水をインクの染みたフィルターに通す感じ」
水は魔力、インクの染みたフィルターが属性ね。別に体内にある魔力自体に属性がある訳じゃなくて、私って存在を通して魔力を魔法にした時にそれが氷属性として発動する。
大体こんな感じかなぁと思ってる。使える属性が多い人はこの属性のフィルターを沢山持ってる。
紫ちゃんは希少な属性を除けば殆どの属性を持ってる超天才だよ。普通に複数持ってる人でも大体2つか3つだもん。




