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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
決戦に備えて

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地獄から帰って来た者


「ふぅ~」


猛吹雪の雪山の中で息を吐きながら集中する。吹雪を完全に止めること。私に与えられた試練はそういう試練だ。

暴走しつつある自分の力を完全にコントロールしろってことなんだろうけど、これがまぁ、当たり前に難しい。


「はっ!!」


気合を一発。出来るだけコントロールを試みても、現実は厳しいってヤツだ。精々、吹雪が止んだのは半径50mくらいの範囲だけだ。


そこから先はやっぱり猛吹雪のまま。私の周りだけが、雪が降っていないっていう変な状況が出来上がってるだけ。


これがもう何回目かな。ちょっとずつ範囲は広がってるとおもうんだけど、これじゃあ全然時間以内に間に合わないよぉ。


「ふふふ、苦戦してるわねぇ」


「そういうならコツの一つくらい教えてよ」


「そんなこと言われてもねぇ。貴女、息を吸う方法を親に習う? 雪女にとって、このくらいはそれと同じよ」


近くに作った雪のベットの上に寝転がっている私のルーツらしい雪女さん。名前は無いらしい。妖怪に名前なんて無いんだってさ。


そんな彼女に雪女の力の攻略方法を聞いてみてもこれなんだよねぇ。雪女からすればこんなものは序の口ってことなんだろうけど、私にはてんでだ。


だからどうにか色々やってはみているんだけどねぇ。元々ただの人間だった私に人外である雪女の力をコントロールするっていうのはやっぱ難しいもんだんだよね。


「種族の差って大きいんだね」


「そりゃそうでしょ。鳥の身体になったからって飛べると思う?」


「理屈ではわかるんだけどさぁ。絶妙に魔法とは違うってのがやっかいだよね」


「確かに。私も魔法で氷作ってみろって言われても出来る気がしないものね。お互い頑張ってみる?」


いいね、それ。やってみよう。そんなこんなで始まった、お互いの力で氷を作ってみよう選手権。出場者は二名。作れたら優勝ね。


こんなことやってる場合じゃないのは重々承知なんだけどさ、出来ないからってムキになるとこういうのってドツボにハマりそうじゃん?


ちょうどいい喋り相手もいるしさ、雪女の力についてお喋りついでにヒントあったら良いな的な?


「ところでさ、妖怪ってなんなの? 魔物とか魔獣とは違うの?」


「藪から棒ねぇ。うーん、私はそういうの詳しくないけど、魔物とは近いんじゃない? 魔獣は別物って感じがするわね」


「へぇ、魔物の仲間なのかな?」


「括りで言えばそうなんじゃない? 人間と別種族だし」


分類学ってやつだよねぇ。でも似てるだけじゃ仲間ではないんだっけ? 雪女だって見た目だけなら人間とそっくりだけど、人間ではないしね。


魔獣はここ最近、魔力を得た普通の生き物って感じだから、それとは全然違うのか。犬の魔獣がいたとして、遺伝子的には普通の犬と変わらないって話を誰かしてたと思う。


そういう話をするのは大体紫ちゃんだから多分紫ちゃん。次に真白ちゃんだよね。


「普通に人間界で生活してたの?」


「その人間界とか妖精界とかの括り、知らないのよねぇ。生きてる頃に人間とか別の生き物に会うこと自体数えるくらいだし」


「あー、冬しかいないし雪山だから」


「そうそう。夏は冷やした洞窟の中に隠れてるし、冬はたまーに遭難した人間の精気を吸うだけだし」


人間界とか妖精界以前の話かぁ。彼女にとって、世界とは雪山だけでそれ以上は無かった。それが良いか悪いかは今の話には関係なしね。


「てか、精気ってなに?」


「詳しく話した方がいいなら話すけど……。一応、雪女って淫魔系統の種族よ?」


「え」


衝撃的新事実に固まる。え、雪女ってえっちなんですか?


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― 新着の感想 ―
精気=男の性的なアレ(笑) まあ、そうだよねぇ…。(伝承の雪女も若い男を性的な意味で襲っていたからねぇ。) とはいえ、サキュバスだったら対魔物の戦闘には役立てなかったから、よかったのかも。 「嫁入り前…
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