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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
決戦に備えて

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地獄から帰って来た者


「へぇ、やるじゃん」


千草の戦いを見て、隣にいる悠はまぁまぁ獰猛な笑みを浮かべていた。ったく、相変わらず上昇志向が強いというか、喧嘩っ早いというか。


ひと言で表すなら戦闘狂だな。誰彼構わずケンカを吹っかけるわけではないが、強い『剣士』とは特段戦いたがる傾向があるのが高嶺 悠という存在だ。


「手を出すなよ」


「そんな野暮なことはしないよ。あとで楽しむけど」


「お前なぁ……」


念のために釘を刺しておくと、後でというこたえが返って来る。後ではやるのな。と呆れと千草への同情も含めて肩を竦める。

こうなると梃子でも自分の意見を変えないからな。疲れているところ悪いが、千草には後で悠の相手もしてもらおう。


千草にとっては残念ながら、悠の方が天狗より恐ろしく感じるだろうな。コイツは戦神にも剣の才能を認められるほどの生粋の剣士。


一撃必殺を信条とする高嶺流の剣術も加わって、とにかく苛烈で半端な防御だとそれごとぶった切られる。


見た目が大人しそうな見た目に反して、その戦闘スタイルは鬼より荒いと評価されるくらいだ。油断した瞬間に首が飛ぶ、なんてことはザラなんだよな。


それで死んだ敵が何人いたことやら。まぁそのせいでエルフになっちまったわけだが。


「お、凄い。高嶺流の剣術の派生形だ。うんうん、魔法少女らしくド派手な技だね」


「分かりやすく必殺技、って感じだな。個人的にはナンセンスだが、全体的にあの世界はあの戦い方がトレンドだからな」


「私は実戦的だと思うね。ほら、細かな攻撃の合間を縫うように大技が入って来る。何度もやられたらいつかは一撃必ず貰うよ。魔力量が豊富だからこその戦術だね」


魔法少女の戦闘スタイルは魔法が主体で体術は補助的な部分が強い。千草はどちらかと言うと体術よりの戦闘スタイルだけど、それでも魔法が主体なことは変わらない。


身体強化、攻撃魔法、武器を強化する魔法、足場を作る魔法。細かい魔法を数えたらキリがない。

そういうことを無意識レベル操れること自体が高い技術を持っていることの証明なんだけど、何より感じるのは魔力量の豊富さ。


少なくとも悠よりは全然多い。エルフって言えば魔力豊富で魔法の使い手って思われがちだけど、高嶺家の血に流れるエルフの血筋は残念ながら魔力はさほど多くない。


だからこそ、高嶺流の魔法が生み出されたんだろう。とにかく剣術を含めた高嶺流の魔法は燃費が良い。


超人的な体術を駆使しながら、少ない魔力をやりくりし、それを攻撃に全ぶっぱしている高嶺流と、数多の魔法の中に光る高レベルの体術。どちらが正しいかは人による。たらればの話だろう。


今のところは悠の方が強いだろうがな。コイツの剣そのものが魔法みたいなもんだ。なんで魔力を乗せてないただの斬撃が飛ぶし鋼鉄を切り裂くんだよ。イカレてるだろ。


「それにしても天狗かぁ。こりゃあ長引くよ」


「だろうな。ある意味、千草にとっては幸運だがな」


「負けなきゃね」


千草のルーツは天狗。しかもあの『鞍馬の大天狗』だって言うんだから流石に度肝を抜かされた。


俺らのルーツが無名の鬼とエルフだった中。まさかの超有名な存在がルーツとは、アイツも大概持ってるヤツだよ。

生まれながらの主人公、ってところかな。アイツは自分の事をモブだと思ってるが、んなわけあるかと言いたい。


どうにも周りにいる連中がそれ以上の主人公っぷりを発揮しているのが原因っぽいけどな。そればっかりは環境か。

俺らの中だと明確な主人公は悠しかいなかったからな。リーダーは自然とコイツだった。


昔のことを思い出しながら、千草と天狗の戦いを見る。今のところ千草が一歩優勢だが、すぐにひっくり返るだろう。

天狗はとにかくお節介焼きなんだ。高慢ちきで自己肯定感がマシマシの人によっては苦手な種族なんだが、とにかく教えたがりで世話焼きな一面もある。


あの天狗はすぐに自分の役割を理解した。自分が転生した己を更に鍛え上げ、高みに昇らせるための試練だという事をな。


そうなったら天狗は徹底的にやる。それこそ、牛若丸がいずれ平家を圧倒出来るだけの天才武将、源義経になるくらいスパルタにな。


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