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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
決戦に備えて

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地獄から帰って来た者


「……せめて神の許可をいただいてからにしてください。世界のルールというものが繊細だという事はお二人もよくご理解くださっているはずです」


悠さんに圧をかけられてとうとう閻魔大王が譲歩する。悠さんに頭が上がらないというのは本当のことらしい。


実績と言うのは『世界を救った実績を持ってる』ということだろう。世界を救う手段を取る時にどういう事が重要なのかを最も知っているのは一度世界を救った経験がある英雄だけだ。


それをした張本人、本物の英雄。それが悠さんだとしたら、そりゃ頭も上がらないだろう。閻魔大王は地獄の裁判長であり魂の管理者。世界が滅べば真っ先に大変な事態になる神の1柱とも言える。


世界の危機を未然に防いだ本物の英雄と神。格としては違えど、意見できる立場の上下は割と状況によって変動するだろう。


人は時と場合によっては神を凌駕する。様々な地域の神話などで見られる話だ。きっとアレらの神話は100%嘘ではないのかもしれない。


「そう言うことなら天香さんと天照さんが好きにやれって前に言われてます」


「その、好きにやれとは……」


「さぁ? それを言ってからもう何年も会ってないんで」


悠さんの言葉に閻魔大王はがっくりと肩を落とす。どうにも天香と天照という2柱の神は奔放なのだろうか。


いわゆる英雄を育てた神ともなれば格が相当に高い。その2柱が弟子に好きにやれと言うのはもはや他の神々に対して最強の免罪符のようなものか。


アバウト過ぎてどこまでを好きにしていいのかがわからないが、上位の神の好きにやれを上手く汲み取らないといけないのは相当に恐ろしいだろう。


神の世というのも随分と世知辛いモノだ。まるで人間社会の縮図のようで若干、閻魔大王がいたたまれない。


「そう言われると弱いですね。あの方々の好きにやれは本当に好きにやれということでしょう」


「あの人達ならそうだろうな」


「あの2人なら本気で好きにやれって事だと思うよ」


郁斗さんと悠さんの無慈悲な宣告により、とうとう閻魔大王は完全にガックリと項垂れた。本当に奔放な神々なようだ。

相手にしなければならない他の神やその配下がいたとしたら相当大変だろうな。現場判断でガンガンに物事を推進させるタイプはスピード感があって優秀な反面、周りを披露させるからな……。


そういう人はバランス感覚が大事なんだ。周囲に気配りをしながら物事を進められるくらい優秀じゃないと反感を買って大変なことになるからな。


「なんと言うか、私が言うのもなんですけど、大変なんですね」


「君は面識が無いようだけどね、仕事で相手にするとなると正直胃が痛い方々だよ」


特に閻魔大王のようなタイプの思考をする人からすれば仕事を引っ掻き回されて精神衛生上よろしくないだろうな。

見るからに既に胃が痛い思いをしていることだろう。


「分かりました。好きにやれと言うのなら私も好きにやらせていただきましょう」


「では――」


「ただし!! もちろん簡単にはやらせません。実力と精神性を見させていただきますよ」


腹を括ったらしい。やぶれかぶれとも言えるが一歩前進と言えるだろう。とにかくチャレンジ権を得られるところからがスタートラインなのだから。


挑戦さえさせてもらえればどうにでも出来る。少なくとも閻魔大王は挑戦はさせてもクリアはさせないような陰湿なことはしない。


真正面から受け止めれば何とかなる可能性は十分あるだろう。


「ってことは試練か」


「ま、妥当だよね。郁斗もそうだったし」


「神の与える試練を超えて見せれば、望みの力を与えましょう。それで良いですね?」


勿論、答えはイエス。私と要は首を縦に振って、神の試練とやらを受けることにする。苛烈なのは最初から覚悟している。

今さら引く理由は一つも無い。


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