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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
千夜祭

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獣の正体


【パッシオの気持ちも、わかるよ。大事だから、これ以上傷付ける可能性が1%でもあるなら消えちゃった方がいいって】


自分も、同じ状況になったら同じことをするかもと漏らすのは墨亜だ。


あの子のおかげでパッシオは私に傷付けることなく、お互い無事でいられた。

あそこで私がパッシオに殺されていたら、事態は本当の意味で最悪だっただろう。


どうにも、墨亜は未来を視る力を手に入れたらしく、そのおかげで私とパッシオの件も認知はしていたらしい。


ただあまりにもショッキングな話なうえに墨亜自身も自分の能力が正しく作用しているかの確証がなく、紫ちゃんにだけ相談していたそうだ。


そのおかげで最悪は免れた。でも、その後のことについてまでは視えてなかったらしく、現状について申し訳なさそうにしている。


「未来を視て解決策を得ることは出来なさそうか」


【うん、まだ全然コントロール出来なくて。5秒くらい先のことを一瞬わかるくらいで……】


それだけでも破格の能力だ。スナイパーの墨亜には特に相性が良いだろう。


何せ避けた先は相手の動きが先に分かっているのならそこに先んじて銃弾を発射すればまさに必中の狙撃者になれる。


超超遠方を見ることもそこに弾丸をワープさせる『固有魔法』の獲得もある。

墨亜はの成長は私達の中でも群を抜いているのは確実だ。


ただ、それでも完璧ではなく、状況打破には至らない。


「墨亜の『固有魔法』でショルシエを直接叩ければいいんだけどね」


「そんな簡単ではないからな。逆にこちらをリスクに晒すのは愚の骨頂だ」


墨亜の目も弾丸も何処までいっても魔法。探知能力の高い人がいればあっさり見つかって場合によってはそこを起点にカウンターをされる可能性は十分ある。


実際、帝国の城の中を見ようとすると結界に阻まれた上に兵士によって魔法を発見されて騒ぎになりかけたらしい。


「とりあえず、やるべきことをやろうと思う。凹んでる場合じゃないよね」


【……真白さん】


どうすればいいかわからない。けどジッとしてるわけにもいかない。

とにかく動いて、それから考えるしかない。私としてもパッシオのことを考えていたって仕方がないのだ。


一旦忘れて仕事に没頭していれば、なんとかなるかもしれない。


逃げと言われたら、その通りだ。でも時には目を背けて別のことに没頭するのも必要だと割り切る。


「各自、思うところはあるだろうが真白の言う通り、やれることをやろう。幸い、今回の件について全くの打開策が無いというわけではない」


雰囲気を引き締めるように番長から喝の入った言葉が投げかけられる。


そうどうにもならないとは言うものの、糸口が全く無いというわけではない。

まだ確証も無ければ、確実性も有効性などなど検証や調べなければならないことが山ほどあるというのが問題なのだけど。


【『繋がりの力』、か。個人的には王家に伝わる特に役に立たない力だとばかり思っていたんだけどね】


【ですが、私の賭けがパッシオさんの暴走を止めたと思われるのも事実。調べる意味はあります】


リアンシさんは疑問を含めた声音で、その隣で話している紫ちゃんが今回の事件の糸口について仮説を口にする。


そう『繋がりの力』。これでパッシオと私を繋げたあの時にパッシオの暴走は解除出来た。

つまり『繋がりの力』には妖精の暴走を止める力があるということだ。


【公国の蔵書などを更に調べて見ました。先ほどスタンさんの言う通り『獣』と『妖精』が併記されてたことはありませんでした。それ以外にもとある時期から突然現れた言葉があります】


紫さんとスタン君はこの1週間、ずっとこの件の調べ物をしてくれていたらしく、『繋がりの力』とは何なのか。


というのを調べていたらしい。確かに魔法でも科学でもない不思議なこの力は何で何故暴走に対して効力を持っていたのかは気になるところだ。


【それは『王』という言葉です。『獣の王』とは別に妖精界の『王』という言葉と共に妖精という言葉が文献に出てくるようになって来たんです】


まだ仮説に過ぎない。でもそれに縋るしか今は方法が無い。

紫ちゃんとスタン君の話に私達は真剣に耳を傾けていた。

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― 新着の感想 ―
5秒前のことがわかるだけでも戦闘では破格の能力ですね。 例としては、『光を見て光を回避する』ことが可能であるということ。(普通の人間は光を認知した段階で光線兵器は命中しているので回避できません。) ア…
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