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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
千夜祭

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1404/1723

千夜祭


王都の中央にある小高い丘。そこに建つブローディア城の私室から見下ろす王都の景色は華やかで美しいものだった。


「……綺麗。こんなに綺麗な景色を作るお祭りは初めてかも」


「それは誇らしいね。祭りが大好きな人間よりも美しいお祭りなんて評価してもらえるなんてさ」


歴史的な街並みを他の二国より色濃く残す旧ミルディース王国の王都サンティエは今、色とりどりの花々と様々な飾り付けにより、いつにも増してその美しさを際立たせていた。


石造りの街並みとこれでもかと飾られた花達と飾りは、まさにお祭りムード1色。


ここに住まう住人達も浮き足だった様子でいて、年に一度の。


いや旧ミルディース王国領内では何年振りかと言える大規模なお祭りが始まろうとしていた。


「勝利と建国を祝う世界規模のお祭り、『千夜祭』。その中でもミルディース王国はいわゆる建国1番乗りをした国だから、そのお祭りの規模と期間が他の国より少し大きくて長いんだ」


「確か前後1日。2日分長いのよね?合計12日間もお祭りをするなんて、そこも聞いたことないくらい長いわ」


「代わりにお祭りはこの千夜祭くらいさ。人間界だと、毎日何処かでお祭りをしてるんだし、そうでもないさ」


花びらか風に乗り、街を一望出来るほど高い場所にあるここまで舞ってくる。


それも1枚や2枚ではなく、数え切れないほどだ。私の障壁とそう変わらないくらいの花びらがサンティエの街を常に舞い踊っている。


それがここサンティエの千夜祭の風物詩なのだと言う。


この美しい光景を一目見るために周辺諸国や領内の別の街から遠路はるばる足を運ぶ人も多いんだとか。


「それにしても間に合って良かった。みんな笑ってる」


「真白達の協力のおかげだよ。ミルディースが滅んで以来、『千夜祭』らしい祭りは全然あげられていなかったんだ。みんな復興や自分のことに手一杯で」


見下ろす街の通りを行き交う人々はみんな笑顔だ。本当に良かった。


旧ミルディース領内に住む人々は過去に帝国の侵略を受けたの経験からか、我慢強い人達が多いような気がする。


どんなに今が大変でも、頑張れば少しずつ復興していくことを身をもって体験して来た人達の忍耐力は本当に凄くて、どんなに辛い復興作業なども弱音を吐かずに仕事をしていることが殆んどだ。


「人間界からの、『魔法少女協会』からの支援を受けられるようになってから、復興のスピードは目を見張るものだった。おかげで前みたいな規模で『千夜祭』を開催することが出来た」


「私達だって、一緒にいる人達が笑顔の方が良いしね。でも、もっと早く言ってくれたら良かったのに」


「僕も忙殺されてたってことでここは」


『千夜祭』のことを聞かされたのは割と最近で、しかも教えてくれたのはパッシオの部下の1人だった。


そこから何とか人を間に合わせて、花や飾りを用意出来たのはたくさんの協力があったからだ。


「花屋とか職人さん達にはだいぶ無理を言っちゃったし、後でお礼をしないとね」


「真白からの直々のお願いとあったら、街の人たちは多少の無理も通すさ。何より『千夜祭』を成功させたいなんて言われたらね。職人魂をさぞやくすぐっただろうさ」


これだけの花を用意してくれた花屋の人達と、飾りを用意してくれた職人さん達。


特に職人さん達のやる気というか、ボルテージの上がり方は凄かった。

日々送られて来る試作の飾りはどれもこれも趣向を凝らした逸品で私の部屋に飾られていたりする。


もちろん、魔法少女側も色々なところで奔走していたし、レジスタンスの隊員達もたくさん協力してくれたお祭り。


「さぁ、始まるよ」


今日はその1日目。きっと1番盛り上がる瞬間をここから見届ける。


打ち上がった花火と更に勢いの増した花吹雪。人々歓声と共に、周辺諸国よりひと足先に旧ミルディース王国領内での『千夜祭』が幕を開けた。

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