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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
合流

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獣道


自分の推理が合っているのかはわかりません。むしろ不安しかなく、殆どは私の思い違いではないのかとは思わないわけではありません。


ですが、ことが起きてからでは遅いというのも事実。私は私なりにこの疑問に感じた部分を追求するのは決して悪手ではないと考えます。


まずは動かなければ。


碧お姉様からは慎重に、と口を酸っぱく言われていますから、深追いするつもりはありません。


それでも追求出来ることは追求してみようと思います。


「来た」


そう思ってやって来た次にドゥーシマン氏が来ると思われる場所を遠目から眺められる場所に陣取ると、ドゥーシマン氏がやって来ます。


遠くから見ても分かりやすい体格と風貌は監視がしやすいです。

こうして自分でやって更にわかりますが、彼が監視の目を偶然にも振り切ったと考えるのは難しいのでは。


どうやって彼が監視の目を振り切り、裏路地へと進んだのか。それがわかるだけでも収穫があると言えるでしょう。


そうして遠目から注視していると、ほどなくしてドゥーシマン氏の大道芸が始まります。


その芸の内容は見事なもので、様々な道具を駆使しながら次々と芸を披露していきます。

魔法を使わずに芸を披露する大道芸ですが、ドゥーシマン氏のそれは見事なものだとここから見ても感じます。


間近で見ている観客の人達はよりそのパフォーマンスの高さを鮮明に感じているでしょう。


最前列で見ている子供達の笑顔が眩しく映ります。これだけのパフォーマンスを見せるドゥーシマン氏が、人を笑顔にすることが出来る人が。


その裏で何か良からぬことをしているのかも知れないと考えることは無粋なことなのかも知れません。


そうあってほしくはないと思います。ただの私の思い違い、それで済んでくれるに越した事はないのですから。


「……終わりましたか」


そのうち芸が終わり、拍手を受けたドゥーシマン氏が一礼すると見物料として彼の被っていた帽子に次々とお金が入れられて行きます。


投げ銭やおひねりと言われるものですね。


路肩でやる見せ物ですから、基本的に料金は定められていません。

入れる人は思い思いの金額を、ドゥーシマン氏の大道芸にその人がどのくらいの価値を払うかはその人次第。


相場程度のお金を入れる人もいれば、相場より大きな額を支払う人もいます。少ない方もいますし、見るだけ見て立ち去ってしまう人も多くいます。


これが、路肩での見せ物で稼ぐ難しさです。お客が多く居ても全員が同じくらいの金額を支払ってくれるわけではないし、そもそも相場自体がその時々で全然違うのです。


基本的には思っているより低いと考えた方がいいでしょう。


だからこそ、私は日に5回ほどの芸を熟すだけで済ませているドゥーシマン氏に疑問を抱いたわけですから。


ひと通り投げ銭がされるとドゥーシマン氏は道具をササっと片付けて次の場所へ動き始めます。


問題はここからです。彼の動きをよく見て、行動パターンを把握していきましょう。


私からすれば、ここからが本番です。


「大通りを移動するなら、時間が釣り合わない。裏路地を移動するなら、その理由。どっちにしても収穫がありそうです」


魔法を発動し、宙に放ちます。最近習得したこの魔法は水のレンズで視界を広げる魔法を応用したものです。


限定的な効果ですが小さい上に360°見渡せるので、こういった時に重宝する魔法です。


真白姫さま発案だと言いますから本当にあの方の幅の広さには驚きますよね。


「いた」


魔法を発動し、人混みを移動しながらドゥーシマン氏の跡を追跡します。


最初は大通りをまっすぐすすんでいた彼でしたが、裏路地に入ろうとしているところです。

やはり、何か理由があって裏路地に入っているのはこれで確か。


追いかけて何をしているのか、もう一度しっかりと確かめてーー。


「ーーッ!?」


その瞬間、魔法との接続がプツリと途絶えて見えていた景色が消えました。


魔法が破壊されたのです。これは何かがある。そう決定的な確信に至るものでした。

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