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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
合流

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二国間会議、開幕


「会議も佳境ってところか」


後ろに見えるミルディース城を見上げながら、ウチは何気なくポツリと呟いた。


二国間会議は2日間の日程を予定している。こっちはともかく、公国は国の主人を長時間不在にさせているわけだからな。


しかも平時じゃなくて帝国との戦争状態でだ。あまり長時間の不在はしたくない。

それは公国もウチら側もよく分かっている。


この2日だけの再会になっちまったな。この後はまたウチら魔法少女は各地に散り散りになってそれぞれの役割を遂行することになる。


「お姉様は良かったのですか?」


「ん?」


「会議です。お姉様は魔法少女のリーダーですのに、2日とも席を外さずとも、せめて今日だけでもご参加されても良かったのではないかと」


「言っただろ。小難しい話し合いには向いてないんだ」


会議の警護のために周囲を警戒していたウチの隣にいるのはサフィーリアだ。


この時間は休憩のはずなんだが、手持ち無沙汰らしくウチの隣で同じように警護にまわっている。


そんなサフィーリアにとって、ウチが会議に参加しないことが不思議で仕方がないらしい。

それを周りが許容していることもな。


「身体を動かしてた方が性に合ってるし、魔法少女側からも人材を出さないと周囲との釣り合いが取れねーだろ」


「まとめ役が欲しいと?」


「分かってるじゃねーか。適材適所だよ。何も会議に参加してるから偉いわけじゃねぇんだ」


サフィーリアも理屈はわかってるハズだ。ただまぁ、釈然としないんだろ。


何も知らないヤツから見たら、ウチだけハブられてるようにも見えるしな。

バカならウチが魔法少女の中でも弱いとか雑用係とか、そういう勝手な印象を持つのは予想もつく。


案外そういう短絡的な思考をしてる奴は多いもんだ。人間界のSNSなんて、そんな考えの浅い連中がトラブルを起こしては炎上して大騒ぎしてるしな。


「なんか変な話でも耳にしたんだろ」


「そんな、ことは……」


「ほっとけよそんな奴らは。どうせ面と向かってこっちに突っかかることも出来ねぇ連中だ。相手にするだけ無駄だぜ」


SNSは顔が見えねぇし何処にいるかもパッとじゃわからねぇ。安全地帯から投げた石に当たった相手をバカにして笑うのはさぞや楽しいことなんだろうよ。


ウチはわかんねぇけど。


妖精界もその辺のところは変わんねぇんだろ。簡単に言っちまえばただの妬み僻みだからな。そういうのは大抵文句の割には大した努力もしてねぇし、相手にするだけ時間の無駄だよな。


ウチだって才能があるかって言われりゃ微妙だけどよ。何人も本物の天才を見て来て分かるのは、本物はそんな連中には見向きもしねぇってことさ。


「お姉さまは悔しくないのですか」


「んー?まぁ、そのレベルの嫌味は今まで散々言われて来たからなぁ」


諸星 碧としても、魔法少女アズールとしても嫌味やら勝手な悪口なんてのはしょっちゅうだったしな。


諸星家に関係の無い、親戚ですら無い連中に連れ子のクセに偉そうにするなとか言われたこともあるし、魔法少女アズールとしてはネットの掲示板とかSNSで1番弱いくせにリーダー面してて何様?とかな。


部外者のクセによくもまぁ好き勝手言えるもんだぜ。身内に言われるならまだしもなぁ?


と言ってもその手の勝手な批判とか炎上目的のデマとかは他の面々もそこそこ経験してる。有名になるってのも考えもんだよな。


「慣れよ、慣れ。大丈夫だよ。陰口叩いてる時点でマトモにケンカ出来ねぇって言ってんのと変わんねぇからな」


「そういうものなのですか?」


「真正面から文句言えないヘタレに何が出来んだよ」


真面目で才能もあるサフィーリアにはちっとわかりにくいことかもな。何にしたって、そのレベルの連中は無視に限るぜ。

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