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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
合流

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二国間会議、開幕

リアンシ様はショルシエによるクーデターにより、姉と慕っていたプリムラ様を喪い、僕はそのクーデターと帝国の侵略により多くの友と家族。国を失った。


一度、多くのモノやひと際大事なものを失ってしまった経験がある僕らはハッキリ言って臆病なのだろう。


大切なものを守れなかった自分の弱さと、失った時の痛みの強さをよく知っているから。だからこそ、心の底から大事なものを。絶対に失いたくない大切な人を。


そういうものを自分達の中で定義してしまうことを避けていた。


もちろん、理由自体は他にもたくさんの、色々な要素が組み合わさって、今の今まで僕らはそういうものを避けて来たわけだ。無意識レベルでね。


「情けない話だよ。大切なものを作ったら無くしてしまうかも知れないから、そうならないように自分と他者との間に一枚壁を作って踏み込み過ぎないように、踏み込まれ過ぎないようにして来た自分がさ」


「紫ちゃんはそれを超えて来たと?」


「超えて来た、というよりは無かったかのように振舞われたよね。割と最初から僕のそういうところを見透かされてたし、僕自身が彼女のそういうところを気にいってしまったってのがね。惚れた弱みとでも言うのかな」


あぁ、確かに紫ちゃんならそういうことをするかも知れない。年功序列を重んじるには重んじるし、基本的に丁寧な物言いで大人しそうな子に見えるんだけど、そこはやっぱり碧ちゃんと朱莉と義理の姉妹のような関係性があるだけに、根はかなり気が強い。


特に身内に近い人達には割と容赦がない。時折、真白でさえ言い負かす気と口の強さは折り紙付きと言っていいだろう。


逆を言えば、身内認定されないと彼女のそういう側面は見られない。成程、リアンシ様からの強引なアプローチに折れただけなのかとばかり思っていたけど、案外、紫ちゃんもリアンシ様に気を許すのが相当に速かったみたいだ。


それは言い換えれば実は彼女がリアンシ様を気に入っていて、短期間であっさりと身内として受け入れていたことを指す。


多分、無意識な話だと思う。この話を本人にしても「は?」と不機嫌そうに言われるに違いない。


「似た者同士ってことですか」


「君らも大概だろう。見るからにお互い好き合っているのはわかっているハズだ。なのにいつまでも手をこまねいていて、見ているこっちがヤキモキする」


「……色んなところで同じことを言われるなぁ」


人と一歩距離を取りたがるクセと言い、身内と判定すればそれをあっさり取り払ってしまうところと言い、リアンシ様と紫ちゃんは似ているところがなくもない。


同じような価値観を持つ人と一緒にいるのは居心地の良いものだ。だからこそ、似たような人同士が一緒に行動していることが多いのだと、僕は思うわけだけど、それは僕らも同じだと指摘される。


色んな人に、色んな場所で言われ続けて来た事もついでに言われた。それには苦笑いで誤魔化すくらいしか僕には出来ない。


「とっくの昔に、自分でも誤魔化しきれない領域に来ているだろう?君も、彼女もだ。君達の関係は主従も友情も、とっくに飛び越えて愛情のそれだ。全く隠しきれていないし、お互い受け入れてるくせに、肝心の進展は何時まで経っても無し。周りから苦情も出て当然だろう」


ぼろくそに言われるとはこの事だ。全く以て反論の余地も無いところが僕の苦笑いを助長させる。


そんなに酷いか。いや酷いから言われてる。


ただどうにも難しい。先に進んで良いのか、という疑念は常について回る。

言い訳がましいのはわかっているつもりさ。だけど、それでも。


彼女にはずっと夢を追っていて欲しいんだ。その姿が最も彼女らしく、その姿にこそ、僕は。


「僕も焚き付けられた側だから偉そうなことは言えないけどね。こういう時は男が腹を括るものだろう。そしたらきっと、彼女はついて来てくれるんじゃないのか?」


「それが困るんだよ。彼女には、彼女のやりたい事をし続けていて欲しいんだ。僕と一緒になったら−−」


「バカか君は。そこは欲張れよ。それが出来ないほど君達は立場の弱い存在じゃないだろ」


今までと同じように自分達がどうして頑なに一緒にならないのかを口にすると、初めてそれを真っ向から否定された。


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