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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
合流

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初めての仕事


「退屈だねぇ」


二国間会議が始まってから少し時間が経った私達は与えられた持ち場で周囲の警戒をしながら、完全に暇を持て余していた。


「仕事だぜ大将。姐さんに聞かれたら拳骨じゃ済まねぇって」


「スバルの言い分も分からんでもないがな。だが、任せられた職務をまっとうしなくては。私達には実力もなければ実績もない。コツコツとこういうところで忍耐力を付けないといけないぞ」


「2人は大人だなぁ」


私とリベルタさん、リリアナさんの3人はレジスタンスの基本的な支給装備に身を包んで、今絶賛開かれている二国間会議の警備の仕事をしていた。


正直、これが立っているだけの仕事で退屈で退屈で仕方がない。


でもこれが大事な仕事だというのもわかる。私よりも世知辛い大人の世界を知っている2人からも仕事っていうのはそういうものだ。


と口を酸っぱくして言われ、私は何とか警備の仕事を続けられていた。


「それにしても、凄い厳重だね」


「そりゃそうだ。王族が3人、しかものそのうち2人はわざわざ公国から出張って来てるお客さんだ」


「外から招いた偉い人に何かがあったらこっちの責任だからな。本気にもなる」


連合で編成された警備部隊を仕切るのは私達に指導をしてくれている『激流の魔法少女 アズール』こと諸星 碧さんだ。


今回の警備の仕事も実践経験の一つとして私達に与えてくれた仕事だったりする。


つまり、ここで何かをやらかせば私達が碧さんのメンツを潰すことになる。


退屈な仕事とはいえ、適当にやるわけにもいかず緊張感を保ったまま直立不動で警備を続けるという仕事は初仕事にしてはかなりキツい仕事だと思う。


ただ、こんなことで根を上げてるようじゃまだまだ半人前以下ってことだと思う。


碧さん達なら文句は言うかもだけど、ひとつの異変も見逃さずに仕事を遂行してみせるんだろうな。


「私と2つしか歳違わないはずなんだけどなぁ」


「経験が違うのさ。私なんてスバルの何倍生きているのに先生達の足元にも及ばない。修羅場を潜った数が違えば、否が応でも大人になっていくのだろうな」


碧さんの歳は聞いたらなんと19歳。まだ成人してないどころか私の2つ上なだけ。


それだって言うのに凄く人が出来ていて、私の子供っぽさが恥ずかしくなって来る。


真白さんとまだ会ってない千草さんや要さんは20歳。紫さんと舞さんが同い年の17歳。


あの最強の炎魔法使いの『絶炎の魔法少女 シャイニールビー』である朱莉さんはまさかの歳下の16歳。


現役魔法少女で最も優れた狙撃手と言われている『綺羅星の魔法少女 ノワールエトワール』である墨亜さんは更に歳下の14歳なんだとか。


まだ会ってないとは言え、きっと墨亜さんも大人びているに違いない。

凄いなぁ。ホント、自分がちっぽけに思えて来るよ。


「あんま他人と比べるもんじゃないぜ。大体あの人らは指折りの天才達なんだろ?凡人の俺らは憧れるくらいにしておくのが良いぜ」


「とは言え、その天才達に啖呵を切ったんだ。求められていることはやらないとな」


全くもってその通りで。


自分から言い出したことだ。文句を言わずにやるしかないか。


それにしても大きな会議だと感じる。人間界でよく国際会議がなんちゃらかんちゃらとかニュースで見てたけど、全くそれが何なのかをわかってなかったちょっと前の私はニュースを見ても「へー」としか思えなかった。


こうして、開催されたその場所にいて、しかもそれに関するお仕事をしているなんて、半年前の自分に言ったら驚かれるに違いない。


二国間、とは言ってるけど実際は人間界と妖精界の2つの世界を跨いだ会議でもあるし、魔法少女協会、レジスタンス、スフィア公国の3つが話し合う場。


人の出入りもかなり頻繁で会場の入り口ではボディーチェックとか手荷物検査なんかを受けるための長蛇の列が形成されてた。


あの辺を魔法で効率化出来ないものかと思うけど、実は魔法と物理と科学のトリプルチェックなんだとか。


技術の進歩が早過ぎて付いていけない感じが既にしている。技術屋さんが凄過ぎる。


まぁその凄い人達と知り合いなんだけどさ……。

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