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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
合流

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二国間会議、開幕


「この度はお集まりいただきありがとうございます」


会議を開く場所はレジスタンス本部ではなく、ブローディア城内にある大会議室だ。


何せ本当に大所帯だからね。とにかく関わる人が多い。警備の事も考えると城であるブローディア城は最適だった。


「今回お集まりいただいた理由は他でもありません」


一応、この会議を呼びかけたのは私と言うことになっているので取り仕切るのは私の仕事。


顔見知りばかりではあるけれど、公私混同は避けて仕事モードで対応していく。


「未だ、旧ミルディース王国そしてスフィア公国に対して軍事的圧力を含めた侵略行為を止めないズワルト帝国、そして『災厄の魔女』に対抗するための具体的な対策を話し合うためです」


メンツはいつも通り、なのだけど肩書きを見るとそうそうたるメンツと外からは呼ばれることだろう。


私達魔法少女は間違いなく人間界最強クラスの実力者しかいない。


最強の炎使いであり、竜の里からの代理人も務めるシャイニールビー。


魔法使いや賢者とまで称され、今ではスフィア公国領主の婚約者のアメティア。

最速の魔法少女、クルボレレ。そして真広と私。


協会側からは会長の番長。魔法技術研究所からは所長の東堂さんが出席している。


妖精界側からはレジスタンス団長のパッシオ。副団長兼参謀のカレジ。


スフィア公国からは公国領主のリアンシさん。私と真広の祖母であるノーヒリスお祖母様。


以上が会議の場にいる面々だ。他にも補佐官として雛森さんやシンセールさん、ヴァン君やゼネバ君といった人材も控えている。


大所帯、かつ皆が皆かなり上の立場の肩書きを持った人ばかりだ。クルボレレが緊張からか微妙にカタカタと震えているのが気になるけど、今のところはそっとしておこうも思う。


「主な議題としてレジスタンス、公国、魔法少女協会の連携の確認、強化、今後の作戦の計画などと考えています。皆さま、どうかよろしくお願いします」


軽い開幕の言葉を口にして拍手を受けてから着席する。はぁ、流石に緊張するわね。

多少の場数は踏んでるし、顔馴染みばかりとは言えこの会議の重要性は今まで経験して来たものとはわけが違う。


文字通り、世界の命運を担う会議となるだろう。必ず成功しなければ。


「まずはお互いの状況、帝国や『災厄の魔女』と戦う目的について理解を深めたいと思います。スフィア公国からお願いします」


「公国の状況、ね。レジスタンスよりはマシ、人間界側よりは悪いってところかな。絶賛、公国は帝国と戦争状態だ。先日も帝国から直接首都を攻撃される事態が起きた。ただ、防衛能力に長ける都合上、軽微な被害で済んでいるし、帝国も攻めあぐねているみたいだね」


まずは足並みを揃えるためにお互いの真意を把握し、互いの立場の尊重、目的が違うことによる不和の事前の解消に努めようと思う。


この中で最も情報共有が出来ていないのはスフィア公国であるため、最初に表明してもらうのはスフィア公国領主のリアンシさんが適切と考え、まずは彼に自国の都合というものを話してもらう。


「ただ国民全体の世論って言うのかな。それに関してはあまり戦争には積極的ではないかな。勿論、帝国に攻撃を受け、戦争状態に突入し始まっていることはある程度の理解はあるようだけど、元々温和な気質の国民性だ。戦争、という初めての状況に戸惑っている国民も多い」


「直接の兵力共有等は難しいと?」


「というよりは、向いていないと思う。元々兵力で考えると三番手で王国よりも低かったくらいだ。帝国の暴挙が始まってから増強は続けているけど、元々の運用が治安の維持とか国土の防衛とかよりは、自然災害の対応が多いくらいでね。正面切っての戦力で考えると君達の期待に応えられるかは微妙なところだ」


ふむふむ。確かに公国は樹王種という巨大な樹木から伸びる根を活用した防衛システムを平時から活用していると聞く。


樹王種の根を通じて常に哨戒機や偵察機を飛ばし続けているようなものだ。自然とそのための戦力を用意する必要性は低くなってしまう。


公国は自国を守るには向いている兵力を揃えているが、他国の軍を追撃したり真正面から戦闘に入るという経験そのものが少ない。

というよりは想定していないのでしょうね。帝国から攻め込まれることはあっても、帝国に攻め入る必要は公国には無いわけだし。


「帝国や『災厄の魔女』と敵対し、それを打倒したい理由としてはシンプルに兄弟国であるミルディース王国の滅亡を招いた帝国と『災厄の魔女』を看過することが出来ない。個人的な理由がないわけじゃないけど、妖精界の三大国の領主として、帝国の暴挙と『災厄の魔女』の所業は絶対に許してはならない」


この会議のテーブルに着いてくれた理由は国家として非常に真っ当なものだろう。三大国として世界平和に寄与する必要性と私利私欲で暴虐の限りを尽くす個人を許すことは出来ないという立場の改めての表明は私達の共通事項とも言えた。


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