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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
合流

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屈せぬ光、変わらぬ白


「勝負あり!!」


パッシオの宣言により、勝敗は明確に決した。


私がこの試験で全力を出したか、と言われれば否だ。絶対にクリア出来ないモノをクリアして見せろというのは、不平等だし試験の意味を成してないしね。


ただし、ギリギリクリア出来ないだろうラインまでは実力を出したことは間違いない。


私は彼女を負かすつもりで試験を行った。その結果がコレだ。


「……はぁ、はぁっ」


肩で息をするルミナスメモリーは体力的にも魔力的にも限界だ。


よくここまで自分を追い込みながら、120%の実力を出し切った。

素直に称賛する。彼女の気持ちの強さが、この結果を手繰り寄せたのだから。


「お見事。まさか本当にやって見せるなんてね。そこまでの覚悟を見せられたら、否が応でも認めるしかないわ」


「はぁー……。じゃ、じゃあ」


大きく息を吐いて、呼吸を整えて。彼女は自分が掴み取った結果がどうなのかを待っているようだった。


見るからにわかるのにね。がむしゃらだったものだから、自分が何をしたのかよく分かっていないのかもね。


若いなぁ、なんて周囲から見たら大して歳も変わらない私が言う言葉じゃない。


自分で自分の発想にくすりと笑いながら、この試験。勝負の結果を伝える。


「貴女達の勝ちよ、メモリースターズ」


「ーー!!」


そうすると彼女達は声にならない声をあげて、もう疲れ果てて動かすのも億劫だろう身体を跳ね飛ばしながら、抱き合って揉みくちゃになっていた。


ルール上、圧倒的に有利だったのは彼女達だし、私は全力を出したわけではないし、この頬の傷が有効打かと言われれば微妙なところなんだけど。


こと今までの戦いの中でも大きな怪我は数える程しかなかった難攻不落の障壁使いを自信を持って自称する私に、たった2ヶ月間しか経験のない子達が傷を付けた。


大金星とさせても十分だろう。本気で私と他の魔法少女が模擬戦をした時、私にまともなダメージを与えられる人は果たして何人いるのやら。


「た・だ・し!!」


喜び、健闘を讃えあい、テンションはうなぎのぼりの彼女達を前に笑ってから、彼女達に釘を刺すこととする。


勝てたからといって、調子に乗ってもらっちゃ困るからね。まぁ、そういう子達じゃないのはよくわかったけど。一応、ね?


「これからみっちり鍛えてあげる。身体も精神も、勉学も徹底的にね。自分達がやると言ったのだから、泣き言は許さないわ」


「「「は、はい!!」」」


腕組みをしてそう伝えると、ビシッと気をつけをしてから3人とも大きな返事をする。


その様子をけらけらと笑いながら野次馬していた組が近付いて来て、声をかけてくる。


「お前らぁ、真白のはガチだかんな。脅しじゃなくマジもんのスパルタだ。覚悟しとけよぉ?」


「無論、言い出しっぺの私も協力しよう。協会の施設を思う存分使うからな」


笑いながら私の肩に手を回して、昴さん達を脅すのは碧ちゃんだ。

全く、誰がスパルタよ。かなり厳しくいくのは間違いないけどね。鍛えるんだもの、半端なのは私が許さないわ。


番長もやる気満々。碧ちゃんだって、後進を育てるのは得意なクセに人のことばっかり言うんだから。


「さて、貴女達の今後の育成方針は後で詰めるとして、もう少し私の小言に付き合ってもらうわ。よく聞きなさい」


覚悟は見た。ただし、彼女彼らの思い描いている理想と私達が直面している現実には恐らく凄まじい差があることだろう。


踏み込むと決めた以上、3人に退くことは許されない。半端な介入ほどトラブルを招く以上、この選択には0か1しかないのだ。


「恐らく、貴女達はコレから嫌というほど現実を見せ付けられるわ。それこそ、精神を病むくらいには残酷な現実が待っていると言っていい。再三言ったように、踏み込むと決めたのなら逃げ出すことは許されないし許されない。どんな現実も、受け止めなさい」


起こってしまったことは変えられない。飲み込むしかないのだ、無理矢理にでもね。


きっと、これからはそういうことがたくさん起こる。事態が進めば進むほど。

仲間達の中で命を落とす者達だって現れるかも知れない。


そういう現実が目の前に迫っている。それだけは理解していてほしい。


「悔しかったら強くなりなさい。そのためには幾らでも手を貸すわ。……頼んだわよ」


「「「はい!!!!」」」


返事を聞いて、この堅苦しい空気はお終いだ。さて、まずは3人の治療からね。

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