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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
合流

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屈せぬ光、変わらぬ白


しなりながら迫る光の鞭とヒット&アウェイを徹底したブラザーメモリーの空中からの強襲のコンボは中々に強力だ。


予測が難しい動きをする鞭に加え、視覚の外から急降下して襲って来るのだから、並の者ではジリジリと削られていくことになるだろう。


「おりゃ!!」


光の鞭かブラザーメモリー、どちらかの動きを阻害しようと動くと片方がすかさずそのカバーに入る連携も十分に機能している。特に接近戦を強いられるブラザーメモリーに対してのカバーは的確で、必要とあればブラザーメモリーを光の鞭で捕らえ、空中に放り投げることすらある。


シルトメモリーもただ茫然と立ち尽くしているわけじゃない。盾から放つ魔力のビームを中心にルミナスメモリーの壁役になったりなど、地味だが確実に仕事を熟していた。


確かに言うだけのことはあり、彼女達は想像よりは断然戦えている。想像よりは。


「のわっ?!」


「つ?!ブラザー!!――うわっ!?」


空中からの接敵を試みたブラザーメモリーを障壁で叩き落し、振るわれた光の鞭を障壁を利用して逆にこちらの都合の良い動きへとコントロールする。


咄嗟に盾からビームを放ったシルトメモリーの攻撃は障壁で受け止めて終わりだ。


「そろそろ少し本気を出してあげる」


「……なんだ、これは?!」


「冗談だろ?!」


やったことはいつもと変わらない。数えるのも馬鹿らしいほどの花びらのような小さな障壁を展開し、縦横無尽、好きな時に好きなタイミングでタイムラグは殆ど無しで障壁が様々な形で構築される。


私のいつも通りの戦い方。


「これが、『花びらの魔法少女 アリウムフルール』……!!」


視界を覆い尽くす量の無数の障壁の数に私の事を知らないだろうシルトメモリーとブラザーメモリーは驚きの声を、人間界で聞いたことくらいはあるらしいルミナスメモリーはその事実を確認して戦慄の声をあげていた。


彼女達に対応出来る数では無いのは明白で、ここからは私の独壇場だ。


「シルトの盾に隠れて!!」


「おう――、ぐえっ!?」


既にシルトメモリーの近くにいたルミナスメモリーはともかく、離れた場所に叩き落されていたブラザーメモリーが障壁で殴られ派手に吹き飛ぶ。


防御もままならずに直撃したため、彼はこれで意識を失うか少なくともすぐに戦闘に復帰できるだけの余裕はないだろう。


こういう細かい部分で咄嗟に防御や回避行動をとれるかどうかが素人と玄人の差、というものね。


「ブラザー!!」


「シルトは防御に集中して!!気を抜いたら終わるよ!!」


「くっ!!」


障壁に無防備な状態で殴られ、気絶したのだろう。地面に転がり動かないブラザーメモリーを見て、シルトメモリーが声を荒げるがルミナスメモリーは冷静に対処を求める。


大したものだ。普通なら駆け寄ってしまいたくなるところを冷静に、いや容赦なく損得で判断出来ている。


優しいように見えて、案外そっちが素かな。意外とドライなのね、なんて思いつつ盾と光の壁を張り、防御態勢を取る二人を無数の障壁で囲い込む。


「どどどどうするんだルミナス?!」


「一歩も動かないで!!」


さっきまでの拮抗なんてあっさりと何処かに吹き飛ばされてしまってスルトメモリーは挙動不審になっている。


意外ね、戦闘経験がありそうなのはそれこそスルトメモリーだと思っていたんだけど、このぶんだと1番経験が浅い方こそ彼女の方だ。


どうするのか判断しかねてしまっている彼女に対して、ルミナスメモリーは視線を上げ、突破口を見つけるために必死に目と頭を動かしているようだ。


「合わせて!!」


引き金を引いて、無数の光の弾丸が彼女達の右手に撃ち込まれる。合わせて、スルトメモリーの盾のビーム。


当然、障壁でそれらは防ぐのだけど、盾のビームが光弾に触れると炸裂し、周辺に漂っていた障壁を無理矢理押し除ける。


感応するタイプの炸裂弾。器用なことをする。あの一瞬で魔法を作ったのか。


空いた包囲網にルミナス達は躊躇いなく突っ込む。当然、そこに障壁が襲い掛かるのだが。


「盾に乗ってビーム!!」


「うぇっ?!」


「早くっ!!」


なんと、彼女は防御のための盾に乗り、地面に目掛けてビームを放たせる。

反動で浮き上がった彼女達は光属性の壁と盾のビームを駆使しながら上へ上へと行くではないか。


「なんて無茶苦茶な……!!」


人のことを言えないだろと何処かからツッコミを入れられそうだが、私だってあそこまでめちゃくちゃなことはそうそうしない。


「しっかり捕まって!!」


「わわわわわっ?!」


【必殺!!】


高く飛んだ彼女達から眩い光属性の魔力の輝きが見て取れる。

盾ごと突撃するつもりのようね。いいわ、受けて立ちましょう。


加速する彼女達を見据えながら、私は障壁の操作を始めるのだった。


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