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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
合流

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3組の謁見者


「まぁ座れ。長話になるだろうしな」


「はぁ……」


連れて来られたのはレジスタンスの建物でも休憩所みたいなスペースのテラス席。レジスタンスの建物は小高い崖の上に建てられている旧ミルディース王国のお城のすぐそばに建てられているから、見晴らしが凄く良い。


沖縄は大きな山とかこういう切り立った高さのある地形が凄く少ないから個人的には少し珍しい風景だ。


「お前がこっちに飛ばされてしまって以来、調べさせてもらった」


「調べるってなにを?」


「お前がどういう人間か、さ」


お互い席についたところで番長さんが突然口にした、私の事を調べたという言葉にドキリとする。

私自身に後ろめたい話は特に無いけど、こんな風に言われた誰だってドキッとする。それに、私には無くても私の両親には後ろめたい話があった。


「教科書を読めば全教科で満点。手本を見せれば可能な限り再現して見せる。那覇の神童とまで呼ばれてたと知った時は驚いたぞ」


「止めてくださいよ……。普通に黒歴史なんで」


大人が勝手に持ち上げて大騒ぎしていただけだ。別にどうってことはないって。別に子供ながらに難しい研究とか成果を出したわけじゃないんだ。


言われた通り、見た通り、イメージ通りに頭とか身体を動かすのが得意なだけ。別に天才でも神童でも無いと思っている。


中学レベルの勉強とスポーツなんて見ればわかるというのが私の感想。それが他の人のヘイトを呼んでるのも分かっているけど、私にとっては本当にそうなんだよね。


流石に難しい論文とかプロのスポーツ選手の動きをそのまま理解できるわけじゃない。そのレベルになると出来るのは劣化コピー。


私の感覚から言えば、やれと言われたことをやってるだけだった。その結果が子供にしてはやたらと出来過ぎてしまっていただけで。


「あと5年もしたら、その辺にいる人と変わらなくなりますよ」


「10で神童、15で才子、20過ぎれば只の人、か。まぁ、否定はせん。お前の模倣の特異性は伸ばすのが難しそうだからな」


「……なんで知ってるんですか」


「協会の調査能力と私個人の洞察力をナメてもらっては困るな。一癖も二癖もある魔法少女達を育てなきゃいけないんだ。それに、才能を見抜く力は嫌と言うほど鍛えさせられた」


お前の才能と似たようなものさ、と番長さんは笑う。多分、集めた資料とかの中に私がどんな絵を描いたとか、どんな作文を書いたとか、どういうフォームで走ったとかの映像とかそんなのがあったのかなって思う。


見る人が見れば、有名な人の猿真似だ。何処かで見たことのある著名な人達の技法や動きを見よう見まねで真似られる。

それが私の特異性。所謂才能って言われるやつ。


「模倣という特異性は埋没しやすいからな。活かすところが難しいし、時間が経てば経つほど周囲も経験を積んで行くから差が無くなって行くんだ」


「社会に出たら通用しなくなるっていうのは薄々感づいてますよ。所詮誰かの猿真似。オリジナルが無い私に出来る事には限界があります」


「まぁその辺の活かし方は望めば後で教えてやる。今回の主題はもう少し別の話だ」


色々バレてるだろう番長さんの前では取り繕うのをやめて、フランクに話しているとどうやら話の主軸は私自身の話ではないらしい。


と、いう事はやっぱり私の両親の話かな。『魔法少女協会』からすれば、私の両親は問題のある人達だろうから。


「まさかお前の両親が元『ノーブル』の信者だとはな。流石にこれには驚いた」


私の両親は3年前、『魔法少女協会』が壊滅させた魔法テロ組織『ノーブル』の信者だった。


今は『ノーブル』自体が無くなったから、別の方向に進んでるけどね。どっちにしたってロクでもないっていうのが厄介な話なんだけど。


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