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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
蛮族エルフと解けない誤解

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欲に溺れた守り人


だから、何さ?


「妬み僻み、わざわざ伝えてくれてご苦労様。生憎、そんな言葉はもう言われ慣れてるんだよね!!」


ドドンッと続け様の2発。憎まれ口を叩いていたファルベガに炸裂する光の弾丸を撃ち込む。


もう散々言われたことだ。耳にタコが出来るほど聞いた言葉だ。


聞くのが嫌になって、そこから逃げ出したくらいには嫌だと思った。


「そもそも、今それ関係ある?自分のためだけに誰かを傷付けるような人に何言われたって何とも思わないし」


でもどれだけ言われても今はへっちゃらだ。だって、私には親友(リュミー)がいる。


「人の気持ちが分からないのなんて貴女もそうでしょファルベガ。わかる人なら自分のために他の人が傷付いて良いなんて思わない」


沖縄に帰ればお婆ちゃんもいるし、ピットお爺ちゃんもいる。チナちゃんもリベルタさんもリリアナさんもいるし、スクィー君もピリアだっている。


友達はいる。確かに取り繕ってようやく出来た友達ばかりだ。でも、それは私が変わろうとした努力の結果だと思う。


「友達いないのはファルベガ、貴女の方じゃない。友達も仲間もいない人の僻みなんて鼻で笑ってお終いだけど?」


敢えて見るからにバカにした風に笑う。意趣返しっていうんだっけ?


ガツンと言い返したら、ファルベガは面白いくらいに真っ赤になって震えている。

へへっ、人の黒歴史に土足で踏み込むからだよ。


気に食わないのはお互い様。私は貴女が気に食わないし、貴女は私が気に食わない。


やり方も性根ってやつもね。


「この私を、バカにしたわね!!」


「っとぉ!?」


地面が割れるようにして障壁が湧き上がって来る。明らかにスピードの上がった障壁の移動スピードに壁の弾丸を撃ち込んで防いだあと、森の中へと逃げ込んだ。


「ムカついたからって挑発し過ぎたなぁっ!!」


思わず思い切り言い返しちゃったけど、やり過ぎた感バリバリある。


ファルベガは怒った方が強いタイプらしい。はちゃめちゃだけど、はちゃめちゃ過ぎて飛び込む隙もないや。


どうしようかなぁと追って来る障壁を弾丸で撃ち落としながら考えるけど、妙案は浮かんで来ない。


再生能力の高い、ファルベガ特有のスライムみたいな障壁魔法は高火力広範囲で吹き飛ばすのが多分1番効率が良い。


あとはこちらが一方的に攻め続けて、防御に徹させて牙城を崩して行くか。


特にファルベガは攻めっ気の強い性格だから、守りに入ると少し弱い印象がある。

我慢が出来ないタイプなんだよね。耐えて耐えて反撃っていうのが苦手で、少しの隙でも手が出てしまうから、こちらも誘いやすい。


さっきはそれで上手くいったけど、今はそんなことは全部無視されるんだろうなぁ。


怒らせ過ぎた。完全に。


高火力広範囲の攻撃も、私の魔力の残りを考えると難しい。まだまだ修行不足だと実感する


もっと効率良く使えたと思う。さっきまでの猛攻で魔力を消耗し過ぎたし、あそこで倒しきれなかったのは私の未熟さだ。


やっぱり、私は何にも出来ない。いつも詰めが甘いんだよね。


そう思った瞬間、ガクンっと膝から力が抜ける。魔力が、変身が解けたことにすぐ気が付いた。

でもやれる事はない。枝から枝に飛び移ろうとした瞬間のことで、私はそのまま真っ逆様に地面に落ちて行く。


それを追いかけて来る障壁。地面にぶつかっても、障壁に捕まっても、絶体絶命のピンチって奴だった。


「大将!!」


「ブラザーメモリー!!」


そんなピンチを救ってくれたのは盗賊達を逃すように頼んでいたブラザーメモリーだった。


ギリギリの低空飛行は危険だって言ってたのに、それをしてでも私を助けてくれたことには感謝しか無いね。


「ごめん、大口叩いたのに倒せなかった」


「んなこと言ったら俺は役立たずだぜ。とにかく逃げるぞ!!」


偉そうに言っておいて魔力切れからの変身解除なんて大バカもいいところ。


だけどリベルタさんはそんなの気にもしない様子で森の木々の中を飛び、スピードが乗って来ると上空へと飛び出した。



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