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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
公国の領主

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帝国の策


威風堂々。一言で表すのなら、その人物をそう表現します。着けている鎧や装備も、跨っているグリフォンの飾りなどの豪奢さもさることながら、何よりその態度や立ち振る舞い。


相手に臆することなく、堂々と佇む様は自らの地位の高さを理解している人のそれだと感じます。

成金のような辺りに圧力をかけるような安っぽいそれではありません。その気迫にも似たプレッシャーは真白さんが時折見せるものにも似ているように感じます。


敢えて例えるのなら、王者の気迫とでも言いましょうか。


「帝王レクス、ですね?」


「ご明察。魔法少女というのは聡いのが多いな。アリウムフルールといい、そなたといい、状況の把握能力に長けている」


そうで無いと戦いの中で生き残れませんからね。その辺の兵士よりも修羅場をくぐっている自覚があります。


それにしても帝王レクス。こうして理解して対面するとそのプレッシャーは想像の更にその上に行きます。

王というからには戦闘能力をそこまで持っていないという先入観がどうにもありますからね。真白さんからの情報が無ければ不用意に懐に飛び込んでいたかも知れません。


この人は、強い。引き連れている並の兵士を遥かに凌駕する実力者。だからこそ、こうして王自らが前線に出て来るのでしょう。


「一目見ただけで実力者を見抜くのも実力者の証。魔法少女と呼ばれる者達の強さには驚かされるばかりだ。お主たちの世界ではまだ魔法は10年程度のしか馴染みのないはずだが」


「人間というのは知りたがりなのですよ。魔法というものが何なのか、既に研究は進んでいます」


「……成程、勤勉なのだな。人間というのは」


「貪欲とも言い換えることが出来ます。人間界は争いが絶えない世界でもありますから」


戦争は技術を発展させる。皮肉にも、人間の歴史と技術は命の奪い合いから生まれ、発展していった物が沢山ある。


争いが技術の急速発展を生むというのなら、それが少なく平和が長い間続いた妖精界が思ったより魔法という技術に関して研究が進んでいない事にも納得。


人間の欲深さは恐ろしいですよ。1人の欲が数百を殺すこともあるのですから。


「私もそんな貪欲な研究者の1人です」


「ははは、魔法少女であり学者か。面白いな、そっちの世界の者達は。……名を聞こう」


「『極彩色の魔法少女 アメティア』。巷では『魔法使い』、なんて呼ばれています。お見知りおきを」


そう言って、私は遠慮なしに魔方陣を背中に背負う。勿論、攻撃用の魔法だ。ただ喋って時間を無駄にするほど考え無しではありませんから。


そちらの魔法落下弾頭とでも言いますか。良い火力ですね。その威力、そのままお返しいたしますよ……!!


放たれた魔法は帝国側の魔法をコピー、改良をその場で加えた即席魔法。弾速は少々遅いですが、火力は申し分ないです。


「ぬぅん!!」


しかし、その程度でダメージを負うような相手でもないのは明白。この世界では珍しく、剣という武器をひと振りして私が意趣返しに放った魔法をあっさりと両断して見せます。


フェイツェイさんのように術式の脆いところを見つけ出し、魔法そのものを斬り裂く技術に似ています。

恐らく同類の技術でしょう。だとすれば、帝王レクスはかなりの技巧派であり、肉体派のインファイター。


魔法の発達した妖精界ではかなり珍しい戦法ですが、私達からすれば逆に当たり前の戦術。定石は分かり切っています。


「『風よ!! 光よ!!! 稲妻よ!!』」


素早く、出来るだけ初速の速い特徴のある属性を選び、連射します。この場合、命中精度はアテにしません。とりあえず魔法の着弾点が帝王レクスの周辺であれば十分。


乱射された魔法に帝王レクスの足は止まらざるを得なくなります。止まるということは時間が稼げるということ。


時間が稼げれば稼げるほど、私の魔法『詠唱魔法』は有利になっていくのです。


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