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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
あの世とこの世

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幽世


「で、次に言う事なんだけど。これは私の口から言う事では無いわ」


私の両親と要の両親は私達の選択を尊重してくれ、受け入れてくれた。これで少なくとも私達が生活して行く上での懸念の殆どは払しょくされたと考えて良いだろう。


その上でもう一つ。私が個人的に抱えている懸念事項。


婚約者である五代さんとの意思の共有を行わなくてはならない。


「席、はずそっか?」


「いえ、要さん。ご両親の皆様も是非残っていてください」


婚約者二人の話になる。非常にプライベートな話になるのは間違いなく、要が気を利かせて席を外すことを提案するが、それを止めたのは他でもない五代さん本人だった。


意外、と思ったのは私だけではないと思う。五代さんは人の気持ちや感情に機敏で、その観察眼はお義母様にも認められている。


私には優しく寄り添ってくれるような人だ。魔法少女として、日々危険と隣り合わせだったり、高名になったことで魔法少女としての活動の一挙一動がマスコミに報じられてしまうような日々の緊張感もある。


指導もあるし、諸星家の者としての生活も抱える私はストレスと負荷に塗れていると言って良いだろう。


五代さんはそれをとても良くサポートしてくれている。最新の人体工学に基づいた疲労回復の方法やトレーニングの内容。

心身のリラックスの方法など、お義父様の下に就いてから得た人脈を駆使して色々と集めて、提案してくれたりもしてくれるんだ。


勿論、私と接する時の対応は紳士的そのものだ。本人はそれを苦にしていないと言うのだから根っこから優しい人なのだと思う。


そんな五代さんが少ない人数とは言え、敢えて衆目に晒されることを選ぶのは珍しい事だった。


「良いの?あなた達のプライベートな話でしょう?」


「むしろ聞いていて欲しいんです。ご両親と親友の要さんが保証人のようになってくれれば、私の覚悟は深まりますし、もし間違えた時に叱責していただけます」


「そう」


お義母様にも指摘を受けるも、五代さんには五代さんの考えがあるらしい。それを聞いて、お義母様はなら何も言う事はないといった風にすぐに口を噤んだ。


そうして、私達は向き合って話をすることになる。


不安で押しつぶされそうだ。きっと悪い事にはならないとは感じている。ただし、それとこれとは話が違う。

不安なものは不安なんだ。戦いではそんなことはないんだがな。それ以外では私も年相応というわけだ。なんならそれ以下かもな。


「あんまりダラダラ前フリばっかりするのも格好が悪いし、率直に言うね」


ソファーに座る私に対して、五代さんは席を立ち、私の前に片膝で座ると左手を取って私を見上げる。


それだけで、要がわっと色めきだった声を上げたが私は既に何が起こるのかさえ考え付けられる余裕は消し飛んでいた。

本気で何が起こるのか、全く分からずただただ真剣な表情をする五代さんを見つめ返して。


「千草さん。僕と、結婚してください」


その言葉と共に、ポケットから不意に出された婚約指輪を見て、私は呆然とする以外に出来る事は無かった。


「千草、返事返事!!」


「――え?あ、その……」


呆けている私を要が小声で大声を出すという器用なことをして私の意識を浮上させるも、当の私は完全に気が動転してしまってまともな言葉が出てこない。


こんなことは初めてで、どうして良いかわからず右往左往していると五代さんに左手の薬指を持たれて、もう一度私の目を見つめて来る。


「僕の覚悟を、君に示させて欲しい。君が何者になろうと君のそばに僕はいる。君が何百年と生きるかも知れないその生涯の中で、唯一の伴侶にさせて欲しいんだ」


「ご、五代さん……」


「僕と、結婚してください」


戸惑う私を他所に、五代さんは努めて優しく私に聞いて来る。そうしてどうにか頷いた私の左手の薬指に、ダイヤモンドが煌めく婚約指輪がはめられた。


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― 新着の感想 ―
[一言] こいつぁすげぇ!お幸せに
[一言] 偉大過ぎる婚約者
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