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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
あの世とこの世

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幽世


「言えなかった理由の一つにさ、真白ちゃんには伝えられないなってのはあったんだよね。ほら、特に3年前のあの子だとさ」


「あー、本人的にも色々あった時期だしな」


皆に伝えなかった理由は思い返すと色々と細々とした懸念とかがたくさんあって、その中の一つに当時の真白ちゃんには伝えるのは憚られた、っていうのがある。


何せ3年前は私達以上に、真白ちゃんが劇的に変化した時だ。

周りの環境もそうだし、自分自身についてもそう。とにかく、良くも悪くも変化変化変化。


常に真白ちゃんの取り巻く環境や真白ちゃん自身が大きく変化していて、逆を言えばとても不安定な時期だったと思う。


一歩間違えれば、深みにハマって一生出て来られないかも知れない。

今、改めて思い出すとそんな危険と常に隣り合わせだったのが真白ちゃんだった。


そんなあの子に更なる重荷を背負わさることになるかも知れない。


ほら、あの子ってば物事の善し悪しに凄い敏感というか。倫理的に少しでもNGだなって思うことは絶対にしたくないし、させたくないってタイプだから。


一本筋が通ってるとも言えるし、融通が効かないとも言うけど、とにかく当時の真白ちゃんに私が『繋がりの力』で生き返った結果、人間じゃなくなってしまった。


なんて伝えたらどうなるか。


「真白は一生負い目を感じるだろうな。責任感は誰よりも強い」


「でしょ?私はそんなの嫌だったからさ。友達だもん、負い目とかそんなのあったらギクシャクしちゃうし」


どんなに私が大丈夫だと言っても、真白ちゃん自身は自分を絶対に許さない。

それで私の命が救われてるんだとしてもね。


私を元に戻すために自分のやりたい事を捨てることくらいならしそう。

基本的に極端なんだよね。0か100か、白か黒か。


周囲の人やどうにもならない現実にならともかく、自分の事となると一つの妥協も許さない。


そんな性格だから心配して周りに人が集まると言えるし、その必死さがカリスマ性と才能を活かす一助にもなっている。


「とは言え、確かにそれはどう伝えるか悩むな」


「まあ、朱莉ちゃんとも話したんだけど、一応真白ちゃんにとっても良いことが無いわけじゃないから、言い出すならそこを切り口にしていこうかなと思うんだけど」


「ん?朱莉には話してるのか?」


あ、やっば。


口を滑らした瞬間、千草からのツッコミが入って、思わず表情が固まる。


そんなリアクションをすれば、何か裏があるとバレるのは当然で怪訝そうな顔をした千草はすぐに思い至ったみたいで、ずいっと私に顔を近付けて来る。


「まさか、朱莉も何かしでかしてるんじゃないだろうな」


「ナナナナナナ、ナンノコトダカ……」


「知ってる事は全部吐け。要1人の問題だって言うならまだ穏便に済ませるつもりだったが、朱莉も何かを隠していると言うなら話は別だ。お前達、結託して私達に隠し事してるな?」


一度出たボロを見逃してくれるほど、千草は残念ながら優しくない。


真白ちゃんが自分に厳しく、身内に優しいなら。千草は自分に厳しく、身内にも厳しいのだ。


私1人が皆のためを考えて自分のことを隠しているならまだ千草的にはギリギリOKだったんだろうけど、朱莉ちゃんと私で結託して隠し事をしていた。


そうなると話は別らしい。


ごめん朱莉ちゃん、先に怒られておくから、後で朱莉ちゃんもめっちゃ怒られといて。


結局、私は『雪女』として、朱莉ちゃんは『竜』として、人間から徐々に変化しつつあることを千草にゲロった私は、千草に正座をさせられ、烈火のごとく怒られることになる。


おかしいな。最初は私と同じルーツの力を手にするって聞かない千草を意地でも止めるための話し合いだったのに、私達が隠し事をしていたことについてお説教される話にすり替わってる。


「全く、お前達と来たら……。無茶ばかりをする」


「千草だってこれから同じことするつもりのくせに……」


「黙ってるのとは訳が違うだろ。私は全部話して、筋は通すさ」


最終的に、私はぐうの音も出すことが出来ずに千草に丸め込まれたのだった。

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