表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
戦火の臭い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1159/1724

親友との再会


「それにしても、派手にやったわね。ここからでも見えたわよ?何とやり合ったの?」


メルドラちゃんのママをしている話を掘り下げたくはあるけど、今はその時じゃないか。


レジスタンスの本拠地で私にあてがわれた部屋のベッドに腰掛けながら、少し前までに激しい戦闘について聞き出す。


。かなりド派手な規模の戦いをしていて、周囲を監視していたレジスタンスの観測員がしばらくバタバタとしていたくらいだ。


魔力と戦闘スタイルからルビーだってわかったから、碧ちゃんがサフィーリアさんを連れてそちらに大急ぎで向かっている筈だ。


【あぁ、ショルシエとやり合ったわ】


「はぁっ?!」


かるーい口調でとんでもない敵と戦った事を告げられ、頭を抱える。


まさかの『災厄の魔女』との一戦があったと言われて、抱えないワケもない。

どうしてこう、そういう大事な事を一人でやるのか。何かあったらどうするんだという気持ちしか湧いて来ない。


いくら私達の中でもとびきりの攻撃能力を持つシャイニールビーでも、ショルシエに勝つとは安易には思ってないのは共通意見のハズだ。


【最初は帝国の小物を追ってたんだけどね。まさか大ボスが顔を出すとは私も思ってなかったわ。ちょっと危うかったけど、痛み分けってところね】


「痛み分けって、怪我してるんじゃないでしょうね?」


【大丈夫だって。私もアイツも本気の本気じゃないし。腹の探り合いってところね。むしろ、アイツは私の事をどうこうしようって思ってたみたいだから、逆に腕を斬り飛ばしてやったわ】


カラカラと冗談みたいに笑うけど、冗談ではないわよもう。


怪我も無いなら良いけど、一歩間違えれば命に関わるギリギリの戦いだったのは遠目から見ても十分分かる規模だったんだから。


はぁ、と溜め息を吐く私の声を聞いても朱莉は笑うばかりだ。全く、感性で動くタイプはこれだから。

後で碧ちゃんにこってり怒られるでしょうし、彼女が向かってることは黙っておきましょうかね。


【とにかく、一戦やり合って分かった事があるから伝えておく。メモ取れる?】


「ちょっと待って。ボイスレコーダーも用意する。そっちもハンズフリーにする?」


【あー、ちょっと人が多いから今回は伝えるだけにするわ。まずはショルシエについてなんだけどーー】


朱莉から得られたショルシエと帝国の情報は有意義であり興味深くもあった。


妖精界に関わるこの戦いが始まってからショルシエに感じてた違和感はやっぱり変わらない。


私達にとってショルシエとは傲慢不遜で自分の手のひらで他者を弄ぶことを何よりの愉悦とし、自分の手で何かをする事は積極的に避ける。


ようは引っ掻き回すだけ引っ掻き回して、それで右往左往する私達を高みの見物で眺めているような、そんな輩だ。


だけど、この世界に来てから出会うショルシエはそれとは違う。


基本は同じだ。傲慢不遜で私達を手のひらの上で転がして、それを眺めて楽しむ。

そんなところは基本的には変わっていない。1番違うと感じるのは、私達を脅威とちゃんと見なしていることだ。


3年前に戦ったショルシエはやはり、トゥリアというあくまでショルシエに極めてよく似せた分身体、という事なんだろう。


3年前のショルシエ(トゥリア)と今のショルシエは違う。そこはしっかり頭に入れなきゃいけない。


【私のところに現れた理由もバランス調整、なんて言ってたわ。ようはアイツにとって、私はこのゲームのバランスを崩すくらい強いって認識になったみたい】


「確かに今のところ知ってる分身体は全員対処可能なレベルね」


バランス調整。オンラインゲームやソーシャルゲームでよく聞く言葉だ。


ショルシエにとって、この戦いはあくまで自分が楽しむためのゲーム。

そのゲームバランスが自分の想定したもので無くなっていることを危惧して、朱莉の力を削ごう。或いは朱莉をゲームから退場させようとしたみたいね。


残念ながら、その目論見は失敗したみたいだけど。それくらい私達の力が3年前を遥かに上回っている、ということだけど……。


【だからこそ、私達に対してアンチ的な戦法を取ってくる可能性があるわ。『獣の力』とやらの件もあるしね】


「そうね。バランス調整は下方修正だけじゃない。それが難しいなら上方修正で対応してくるハズ」


【あるいは私達が全力を出せない状況を作るか。いくらキャラ性能が良くても、活かせるコンテンツが無ければ無意味だし】


そうなれば、ゲームマスター気取りのショルシエは積極的に介入してくるだろう。

今回のシャイニールビーとの戦いはその序章の可能性があるわけだ。


今後、様々な形で介入してくるなら、厄介な事になる。今まで私達が自由に動けていたのはショルシエが高みの見物を決め込んでいたからだ。


積極介入されるとなると、私達は動きにくくなるのは必須。特に私達最大の強みであるはずのチームワークは既に崩されているし。


【あと、関係あるかはわからないんだけど『獣の力』ってヤツと関わりがあるかも知れない単語を竜の里でチラッと聞いたの】


「とりあえず聞かせて」


【『獣の王』。遥か昔、まだこの世界が出来たばかりの頃に現れたバケモノ達の王様らしいわ。御伽噺の話だから、真偽はわからないけど】


ドラゴン達はこの話を信じてるみたいなのよね、と朱莉は漏らす。


『獣の力』に『獣の王』、か。私達の周りでもビーストメモリーと呼ばれるモノがあったりと、『獣』という単語には何かと関わりがある。


少し調べてみた方が良いかもね。


【マ〜マ〜】


【はいはい、わかったからちょっと待って。ごめん、メルが飽きちゃったみたいだから、後でかけ直すわ】


「わかった。ふふっ、頑張ってね。新米ママさん」


【やめてよ】


電話ばかりで構ってもらえないメルドラちゃんが痺れを切らしてしまったみたいで、やむなく電話はここで一旦お終い。


電波の受信装置を設置したから、多少なら無理矢理なやり方で双方から電話をかけられるようになっていることだけ伝えて、私は通話を切った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ