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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
勇名

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竜を操る者


崖の陰。人ひとりが入り込める隙間のような空間に足を運ぶと、そこにあったのは地面に描かれた魔方陣だった。


さっきこの中に入って行った真面目そうな男の姿は無い。と、いうことを考えるとこの魔方陣の効力は簡単に想像がつく。


「転移魔法の魔方陣、か。こんなところにわざわざ仕込むなんてね」


人目の少ない。それどころか人が訪れることは無いような山奥に隠すようにして設置された転移魔法陣。

何のためにそんなものをこんなところに仕込むのかは、これを利用している連中が何処に所属しているかを考えれば特に難しくもない。


「侵攻の足掛かり、ってところかしらね」


これを利用しているのはズワルド帝国の兵士だ。設置したのも帝国と見てほぼ間違いない。


何のためにと聞かれたら、この旧ミルディース王国領内に再度侵攻するための足掛かりや工作行為を行うためのモノ、としか考えられない。


今回、こいつらは実験用の魔物を捕らえるためにこっちに出張って来ていたみたいだけど、見つからないとタカをくくってくれていて助かったわ。

おかげで情報とあっちが好き勝手する手段を一つ減らすことが出来るんだから。


考えるのも程々に、さっきの真面目そうな男が戻ってくる前に転移魔法陣を破壊する。


これでこっちの足掛かりは潰せたわね。ただし、一個あるって事は二個三個あるハズ。潰して回る必要がありそうね。

真白達に合流もしてこの事を伝えたいけど、魔方陣を壊して回る方が先かしら。悩ましいわね。


「さてと、じゃあ帰りますか」


「かえるかー」


魔法陣を破壊したし、捕虜という荷物も増えた。ここは一度ヴィーゼの街に戻って情報をまとめた方が良さそうね。


「くっ……!!」


コイツから色々話を聞く必要もあるしね。









「帝国の者が旧ミルディース王国領内にそのようなものを……」


「まだ予想だけどね。他にもあっても不思議じゃないわ」


ヴィーゼの街に戻り、捕まえた男を引き渡してからエースさんに事のあらましを説明する。


スカーと何者かが戦った場所で手に入れた装備品が何かについても、やっぱり帝国関係者の装備品の残骸であることがすぐにわかった。


剣を咥えた蛇の紋章が帝国の国章らしい。こっちで言うところの国旗の役割かしらね。こっちで国章って言うとまた別の物だからややこしいんだけど。


「アカリさんはヴィーゼの街を襲撃したドラゴンのような存在も帝国の仕業とお考えで?」


「ちょっと違うわね。帝国の連中がドラゴンを使ってヴィーゼの街を襲わせた、が正解だと思っているわ」


「……申し訳ありません。私にはその差が何なのかが分からないのですが」


他の人からすれば、結局は全部帝国が悪いってことになるんだけど、その中にドラゴンを一緒くたにされてしまうのは、個人的にはかなり迷惑な話だ。


だからここは敢えて、ドラゴンと帝国は全くの別グループである事を主張させてもらうわ。一応、ドラゴンサイドに属している身だしね。


「帝国には、正確には帝国に味方しているヤツの一人に厄介なヤツがいるのよ。そいつは他者を意のままに操る魔法を使うことが出来るわ」


「な、そんな非人道な魔法が?!だとすれば、帝国は捕虜を――」


「待ちなさい。まだ説明途中よ。私達が『隷属紋』って呼んでいる魔法はあんたが考えてるほど便利で万能な魔法じゃないのよ」


『隷属紋』について説明しようとしたところで、エースさんが早合点するけどそんなに悲観というか、劇的にヤバくなるものじゃない。


警戒するに越したことはないけどね。それでもこっちに対抗手段は用意出来るし、『隷属紋』はそんなに便利使い出来る魔法でもない。

強力な魔法なぶん、制約も多いことを説明すると、エースさんはホッと息を吐いていた。


「そうですか。そう都合の良い魔法でもないのですね」


「そんな魔法あってたまるかってのよ。私達も確かに苦しめられた魔法だけど、そのぶん対策は幾つも用意している。ドラゴンについては私が対応するから、アンタには他の事を手伝って欲しいのよ」


「他の事、ですか?」


あれもこれもやりたいこと、やらなきゃならない事が多過ぎる。私の身体は一つしかないわけだし、少しくらい周りに肩代わりさせるのはバチは当たらないでしょ。


「旧ミルディース王国の王都に知り合いがいたら、真白って人とパッシオって妖精を探すように伝えて。私の仲間なの」


王都に向かうか悩んだけど、ヴィーゼの街を離れるのは良くなさそうだし、連絡だけで良いから情報交換の手段を確立した方が良いでしょうね。


もう真白達が王都にいればいいんだけど。連絡がつくまではこっちでどうにかするしかないわね。


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