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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
勇名

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竜を操る者


「今日も情報収集を頼むわ」


「お任せください。アカリさんもお気をつけて」


次の日の朝、早速行動を始めた私は眠くてむにゃむにゃしているメルを今ではメル専用の抱っこ紐と化しているバックに入れ、ヴァンに指示を出す。


リオはフードの中で寝てるわ。ヴァンは起きて来たけど、ゼネバは爆睡。全く、忙しいっていうのに肝が据わってるというかなんというか。


文句を言っても仕方ないのでさっさと飛び立つ。

こういう時、飛べるというのは大きな利点よね。障害物や遮蔽物を考えなくても探し物が出来るから。


ただ、本来こういうのが得意なのは同じく自前の翼を持つフェイツェイや高い視力を持つノワールだ。


あいにく、私は飛べるけど視力は並だ。細かく小さなものを見つけるのはあまり得意では無いけれど、探しているのはドラゴンの痕跡。相応に大きなモノのハズだから問題は無い。


「ママ~、眠い~」


「バックの中で大人しく寝てなさい」


「むぅ~」


バッグの中で眠いとぐずるメルを宥めながら、『コウテン山』の麓やその近辺を中心に痕跡を探す。


仮にスカーが例のドラゴンだとして、里から飛び出したと言ってもそれほど遠くには飛んでないと思っている。


ドラゴンはその巨体のせいでとにかく悪目立ちする。上空遥か高く飛んでいても地上からは大きな姿として人々の目に映る。

スカーが里を出たのは私が彼をボコボコにしてからさほど時間が経っていないハズだ。


つまり昼間の内に飛び出したことになる。仮に昼間に旧ミルディース王国領内の真上を飛行していたのならかなり目立っている。


昨日ヴァンとゼネバが集めてくれた情報の中には昼間に空を飛ぶ大きな生き物の目撃情報は無い。


ドラゴンは妖精界ではもう見かけなくなった生き物だ。ドラゴンが表舞台から姿を消して以来、妖精界の人々はドラゴンの姿を知らなくなり、昔いた絶滅した生き物かおとぎ話の怪物みたいな扱いを受けている。


でも散々言ったようにドラゴンは悪目立ちする生き物だ。明るい昼間に大きな生き物が空を飛んでいたとなったら、たちまちどこかで噂になっていてもおかしくない。


それこそ、ヴィーゼの街はドラゴンに襲われたとされている。それが事前に目撃されてたかも知れないならそれこそ噂になっても良い。


それが無いって事はスカーは旧ミルディース王国領内の真上を飛行していないって事だ。

比較的山に近い、『コウテン山脈』を沿うように飛んだんじゃないかと私は思っている。


「って簡単に言うけど、それでも範囲は相当に広いのよね」


街での情報収集はヴァンとゼネバに任せているけど、夜に行われた襲撃だ。目撃者は元々少ない。街での情報収集には限界がある。


今日収穫が無ければ明日からはヴァンとゼネバにも外の探索をしてもらうかと思った時、『コウテン山』から離れた山の裾野の一画。そこが焼け焦げているのを見つける。


割と広範囲だ。かなり激しく戦ったと見える場所は辺りを完全に焼き尽くしていた。


「随分派手にやったわね……」


草花や木どころか、地面や岩まで焼け焦げ、砕けている。相当激しい戦闘行為が行われたのは間違いない。

軍隊とかでは無いわね。恐らく1対1の戦い。片方は恐らくスカー。もう片方は、小型ね。人に近い体躯だと思う。


参考になるのは足跡などの痕跡だ。ドラゴンの足跡は大きいし分かりやすい。尻尾を引きずる跡も残るし、地面に食い込ませた爪もその証拠だ。


対する人間大の大きさの相手は二足歩行ってことくらいかしら。靴を履いてるみたいだし、文化的な種族。

街に住むような妖精や魔族ね。


「戦況は、スカーが優勢だったのね。流石にその辺の有象無象には負ける程弱くはわよね」


辺りに散らばる装備の残骸を見つけて、私はそう判断する。かなり損耗していて、ドラゴンの堅い外殻を削ることも攻撃を防ぐことも殆ど出来ていないように見える。


血痕は残っていないのを見るに、血が出ない種族。ってことは相手は妖精か。


落ちている装備品や証拠になりそうな物品を持って来ていた袋に詰め、服のフードを叩いて寝ているリオを叩き起こす。仕事よ、仕事。


「なうなうなぁ~(まだ眠いんだけど)」


「文句言わない。匂いを追うわよ」


「にゃう~(はいよ~)」


叩き起こされて不満げなリオが装備品から匂いを嗅ぎ取り、その匂いを追う。この先に何かあれば良いけどね。


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