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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
第二回!! ダチとの故郷と俺らの度胸!!

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兄弟


「す、すげぇ……」


目の前で繰り広げられている戦いは俺からすると異次元のそれだった。


多分障壁魔法を使うファルベガだが、障壁を水みてぇに変形させて使う奴はみたことも聞いたこともねぇ。


鞭みたいに攻撃したと思ったら、クッションみたいに柔らかく攻撃を受け止めたり攻守一体の魔法だ。


スバルの魔法はそれに比べるとシンプルで、主体は光の弾丸とレーザー。

こっちはセンスが良いんだろうな。明らかに不利な2対1の状況でもきっちり捌き切っている。


戦うことにはまだ慣れてないって言ってた奴の動きじゃねぇだろ。

こうして見てると、変身してないスバルにすら喧嘩で勝てる気がしなくなって来る。


流石に実際は体格差でどうにでもなるだろうが、そのくらい的確に動いてる。

ポジティブでガッツで動くような性格の割には、驚くくらい冷静に戦いを進めているように思えた。


親父の方は完全にフィジカルモンスターだ。バケモノに変わっちまったからそりゃそうだが、頭がねぇ代わりに一撃一撃は1番重い。


すこしでもまともに喰らえば致命的なダメージと隙になるのは間違いない。


「なんとかしてやりてぇが……」


今は何とかなってるかも知れねぇけど、人数の差はデカい。1人で戦うスバルは体力的にも、精神的にもファルベガと親父に比べれば厳しくなっていく。


時間が経てば経つほどだ。戦闘が長引けば、そのぶんだけスバルの勝ち目は薄くなっていく。


スバルもわかっているはずだ。ただ、逃げるわけにもいかねぇって状況だから少しでもダメージを与えて有利になりたいってとこなんだが。


そう簡単にはいかねぇ。防御力はあっちの方が明らかに上だ。スバルの攻撃力じゃ、あれを突破するのは簡単じゃねぇ。


せめて、せめて2対1の状況さえ崩せればいいんだが。


俺にはどうすることもできない。飛び出したって邪魔になるだけだ。

手出しが出来ずに歯噛みするしかないってのが、もどかしいし情けない。


「どうにか、どうにか出来ねぇのか……」


悶々と悩んでも答えは出てこない。焦りと苛立ちの方が段々と強まってくると考えるのも嫌になってきて、頭をガシガシと掻き毟って叫ぶ。


「あー!!もう、やめだやめ!!どうせ考えたってしょうがねぇんだ。ダメ元でもやってやらぁ!!」


俺は頭が良くない。どっちかと言えば、身体の方が先に動く。


だったら考えて何もしないよりはとりあえず何かした方が良いだろ。

戦いの邪魔になるなら、邪魔にならないように根性出せや!!


親父を止める。大事な故郷を守る。兄弟達の無念を晴らす。

ちょっとでいい。5分でも10分でも、スバルから親父を引き離せりゃ、それで変わるもんがあるはずだ!!


「ガアアァッ!!」


「うっさい!!」


「くっ?!」


隠れていた物陰から飛び出したと同時に、スバルが強い閃光の弾丸を放つ。


襲いかかって来る親父の足止めのためだろうが、ちょうどいい。アイツらの目が眩んでる間に、路肩に転がってるゴミ箱を抱えて低く飛ぶ。


「オラァッ!!」


「ギャゥッ?!」


「リベルタさん!?」


「コイツは俺が引きつける!!その間にファルベガは頼むぜ!!おら!!こっちだクソ親父!!」


持っていたゴミ箱を閃光で目を回している親父の鼻っ柱に叩き込み、挑発する。


目は見えてなくても、耳は聞こえるだろ。こっち来いや。相手になってやるぜ。


大声を出してると、親父はそれに反応してこっちに駆け出して来る。へっ、図体がデカくなった割には脳みそはちっちゃいままみてぇだからな。

バカで助かるぜ。


「邪魔を……!!」


「させない!!」


同じように目が眩んで動けないファルベガがめちゃくちゃに魔法を操ろうとしたが、それはスバルがファルベガを攻撃することで不発に終わる。


その間に俺は親父を挑発して、どんどんと離れるように誘導していった。


「そっちは任せたぜ、大将!!」


「そっちこそ、大丈夫なんだよね!!」


「あだぼうよ!!」


心配するスバルに威勢よく返事をすると、スバルも腹をくくったらしい。

へへっ、そういう決断力は流石だぜ。


「任せたよ」


「応ッ!!」


ここで応えなきゃ、漢が廃る。やってやろうぜ、全力で!!


そう意気込んだ時、俺の服のポケットから何かが飛び出して来た。

驚く俺はそれを手に取ってニッと笑う。


「手を貸してくれるのか、兄弟!!」


それが何なのかを何故かすぐに理解出来た俺は、十分な距離を離したところで、誘導した親父と向き合う。


さぁ、今度こそタイマンといこうぜ、クソ親父。

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