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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
第二回!! ダチとの故郷と俺らの度胸!!

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親父

トゥランに帰って来てから、何かと思考がこんがらがる。兄弟達がこの街にはもういない?どういうことだ。


理解が追い付かず、黙りこくる俺を見てギルのおっさんはタバコをもう一度ふかしてから詳しいことを教えてくれた。


「君ともう一人の子が怪物になって暴れた騒動が起きてから、当然私達警邏とレジスタンスの合同で調査に乗り出した。一体、何が起こったのか。君達暴走族が何かしようとしたのか、それとも別に裏があるのか。色々な事を知る必要があった」


「俺達は何も街をめちゃくちゃにしたかったわけじゃ……!!」


「分かってるさ。レジスタンが有力な情報を持って来てくれてね。君ともう一人の子はあの『災厄の魔女』の関係者によって、意図的に暴走させられたという事がわかった」


その通りだ。今の俺はスバルにメモリーを破壊してもらったからこうしてピンピンしているが、そもそもの原因は妙な女にメモリーをぶっ刺されたからであって、街に危害を加えるつもりは無かった。


そもそもに俺達は自分の存在証明のためにバカ騒ぎはしていたが、街を壊したりなんてことを考えているわけじゃない。

店を襲うなんてご法度だ。それはアイツらも分かっているし、ギルのおっさんも分かっていてくれているハズだ。


「分かってる。分かっているさ。ただ、それとは別に厄介な事実も浮上して来たんだ」


「厄介な事実?」


「あぁ。リベルタ、君は君の弟たちが魔法を使えるようになっていたことを知っているかい?」


「はあ?魔法?使えるわけないだろ俺らに。まともに学校にも行ったことがねぇんだぞ?」


ギルのおっさんはその辺は分かってくれている。俺達は暴れまわりたいんじゃなくて、そうすることでしか自己表現が出来ないバカ共だってことを。


俺達の誰だって、そんな事をしたって意味が無いのはどっかで分かってて。でもそれ以外の方法は分からないし思いつかない。

教えてくれる大人も少なかったし、教えてくれても理解できる頭も無ければ、納得できる状況でも無かった。


正当化はしねぇ。するつもりもない。ただそれだけに、ギルのおっさんが言う厄介な事実ってのが気になった。


何せ、俺の弟たちが魔法を使えるようになっていたって話らしいからな。魔法なんてちょっとやそっとで使える技術じゃねぇ。

一般人なんてちょっとした魔法を少し使えるくらいで、一丁前な魔法らしい魔法を使えるのなんて学校にマトモに通って上でエリートな連中だけだ。


「ここ一年くらいでね。ちょうどリベルタ、君が矢面に立って暴走行為をしなくなってから少し経ったくらいか。暴走族の一部が民間人に手を出し始めた」


「は?そんな話聞いてねぇぞ?」


「だろうね。その時期から、一部の暴走族が君の手から離れ始めていたのさ」


完全な初耳。アイツらの何人かが、俺が燻ぶってる間に勝手に別なことをやり始めた?アイツらがか?

あの時、俺が見る限りではアイツらに特別変化は無かったハズだ。それを隠せるような器用な事が出来る連中でもねぇのはよく分かってる。


「あの時期の君は疲れ果てていたからね。見逃していた可能性もあるけど、一番は君の腹心のような強い絆で結ばれた子じゃなくて、もっと若い、昔から君の下にいた訳じゃない比較的新顔の子達が最初に狙われたって言うのがある」


「狙われたって、誰にだよ」


「帝国さ」


「――っ!!」


思わず息を呑む。ここでその話が出るとは思わなかった。俺ともう一人の弟の話で出るならまだしも、俺達の喉元まで深く連中は入り込んでいた事実を知って、恐怖する。


アイツらは俺達を使って何かをするつもりだったんじゃないか。この間の事件はその前哨戦だったんじゃないかって考えに至る。


恐れおののく俺を見て、ギルのおっさんは黙って煙草をふかす。それ以外かける言葉も見つからないって言ってるような行動に、俺達の近くでどれだけ恐ろしいことが起きようとしていたのかはもう一度理解する。


「奴らのスパイがトゥランの街に入り込んでいたらしい。実態はまだ掴めていないが、恐らくもうこの街にはいないだろう」


「スパイ?そいつらが弟たちに魔法を教えたって言うのか?普通そういうのはもっと重要なところに……」


「そうでもないさ。もっと重要な機関に潜り込むのはスパイらしいスパイだけど、アンダーグラウンドな部分に潜り込んで、大きな事件やテロ行為を誘発させるのも立派なスパイの仕事さ」


ガックリと項垂れるしかない。俺が燻ぶっている間に、兄弟達にそんな危険な連中が近づいていたことを知って、俺は自分が情けなくなる。


俺がマトモでいれば、俺がもっと兄弟達のやることに目を光らせていれば。そんな連中が俺達に近付いて来るリスクは減らせたハズだ。


俺が作った隙が、兄弟達を危険に晒した。なんてザマだ。お山の大将とはこういうことを言うんだろうよ。

兄弟達が俺の手元を離れるわけが無い。そんな甘ったれた考えがロクでもない事態を招いている原因だってことはすぐにわかった。


作者の伊崎です。


毎年ではありますが、世間の長期休み中はお休みをいただいていますので今年もお盆休みという事で8月16日まで更新をお休みいたします。


その間、英気を養う他に作品のクオリティアップや書きだめ、プロットの再検討などを集中して行うつもりです。

特に書きだめは今後の安定更新には必須かと思われますので、いつも楽しんでいただいている読者の皆様にはお時間をお空けしてしまい申し訳ありませんが、よろしくお願いします。



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