友達
「酷い目にあったわ……」
赤味の強いピンクの髪をぼさぼさにされて、げんなりしているピリア。
改めてみるとピリアの出で立ちは結構派手だ。濃いピンクの髪色に水色の瞳。服装も派手でとにかくよく目立つ。
こう、悪役お嬢様?言い方は悪いかも知れないけど、印象としてはそういう雰囲気が近い。
口が悪くて目つきも悪くて取っつきにくい。まさに見た目も性格も悪役令嬢っぽいけど、こうして話してみれば普通に優しい良い人だ。
ただとにかく語気が強いからなぁ。素直じゃないのもね。
「友達の事を酷く言うからだよ」
「別に、子供の頃から知ってるだけよ。元々住んでいたところから連れて来てもいないのにわざわざついて来る変わり者よ」
「ちゅー!!」
「ぎゃーっ?!」
自業自得だね。素直に友達だって言えば良いのに、なぁんで否定するかなぁ。そんなことしたって良いことないよ。
でもそんなことを言っても、離れないでいてくれるスクィー君は良い子だね。物凄くいい友達を持っていると思うよ。
大体、本気で嫌がっているならピリアの性格的にはもっと強い口調と行動で振り払っているんじゃないかな。
今日会ったばかりだから何を知った気になっているんだと言われればそうだけど、きっとピリアはそういうタイプだ。
そうしないって事はピリアも本心からそんなことを思っていないって事だと思うしね。
「ねぇねぇ、良かったら一緒に遊ぼうよ。私、夕方まで暇なんだ」
「奇遇ね。私もそのくらいまで暇よ。スバルってばどん臭そうだし、一緒にいてあげる」
「うん、ありがとう」
これは翻訳すると「私も時間があるし、昴の事が心配だから一緒に遊ぼう」だね。ふふふっ、私の目は誤魔化せないよ。
素直じゃないんだからもう~。と思いながらピリアの手を取って屋台街に繰り出す。
「なんか、不本意な受け取り方してない?」
「私にとっては都合が良いよ」
ジトっとした視線を向けて来るけど、知らない知らない。素直じゃないのが悪いのだ。
繋いだ手だって振りほどくわけじゃないしさ。
こうして友達になったんだし、図太く行く方が私は良いと思ってる。特にピリアみたいに素直じゃないタイプは特にね。
チナちゃんとスクィーくんもじゃれつきながらついて来ている。あっちはあっちで仲が良い。こうして気の合う友達が出来たのはホントにラッキーだ。
「……良い性格してるわ」
「よく言われる!!」
「はぁ~」
えらい大きなため息吐かれたけど知らない知らない。だって実際よく言われるからね!!とにく私はこの街を知らないから案内して欲しいけど、どうなんだろ?
さっきポロっと言ってたけど、ピリアとスクィーくんはトゥランの街の出身じゃないっぽいし。
ま、もしそうだとしても一緒にいるだけで楽しいからいっか。
ルンルン気分で屋台街を進みながら周りの景色をきょろきょろと見回す。とにかく人も物もたくさんで、私が知ってる都会のレベルは那覇市止まりだからこうも大都会。
しかも異世界の大都会となると目に映るもの全部が新鮮で気になってしまう。
「ぐぇ」
「よそ見しながらちょろちょろするんじゃないわよ。全く、スクィーですらもうちょっと注意して歩いてるわ」
「へへへ」
腕を引いて通行人にぶつかりそうだった私を注意してくれる。やっぱり優しいなぁ。
へらへら笑っていると気持ち悪いと一刀両断された。
うーん、辛辣。でもまぁ、冗談だってわかるし全然私は気にしない。だってピリア笑ってるしね。
「ピリアとスクィーくんはどこから来たの?」
「それを言われたらスバルこそどこから来たのよ。妖精、じゃなさそうだけど?」
「あー、うん。妖精ではないかな。私もよく知らないんだよね」
「そんなことある?」
あはは、流石に人間ですなんて言っても妖精界では通用しないしね。全部が全部話すには事情が複雑すぎるし、ピットお爺ちゃんからはむやみやたらに話さない事って釘も刺されてるんだよねぇ。
人間界の事を知ったことでこっち側のトラブルに巻き込んじゃうかも知れないって言われた。あと私の事を守るためなんだってさ。
ふーん?って感じ。




