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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
旧王都

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世界の穴


「派手なこと考えるねぇ。定石もへったくれも無いったらありゃしない」


翌日、早速行動を実行に移した私達は世界の穴という事情を知るごく少数の人員と共にその穴周辺へとやって来ていた。


取り囲むようにではない。陣形や作戦としては一点突破の突撃に当たる。ま、元より相手は陣形もへったくれもない魔物だ。私達の目論見は別にある。


「最大火力の一点突破。皆、用意は良い?」


「勿論」


「OKだ」


「問題ありません」


そばにいたパッシオとアズール、サフィーリアさんから返事が、他の面々からも手を上げたり頷いたりのリアクションがあった後、全員が一気に魔力を練り上げる。


惜しみの無い最大火力で一気に世界の穴の正面まで向かう。シンプルで何の捻りも無い作戦だからこそ、あの捻くれた魔女とその眷属達の意表を付けると言うもの。


「「『固有魔法(インヘアレントマギカ)』ッ!!」」


私とアズールの魔法少女2人が『固有魔法』発動のために声を張り上げたのを合図に一斉に魔法が発動する。


その光景は端から見たら壮観か、震えあがる程恐ろしいものか。何にせよ、目の前の魔物たちを吹き飛ばすには十分な火力。


「『花園の(フルール・ウィ)(ンクルム)』っ!!」


「『深き紺碧(ディープ・ア)の大海(ズール・モレ)』ッ!!」


「『ローズスパイカー』ッ!!」


「『勇雷剣』っ!!」


「『猛き(ステルク)渦潮(シュトローム)』!!」


私、アズール、パッシオ、カレジ、サフィーリアさん。五つの強力な魔法が世界の穴近辺を一斉に襲い、魔物達をあっという間に蹴散らす。


世界の穴、その目の前まで一気に出来た道に真っ先に飛び込んで行くのは、待機していた美弥子さん、グリエ、マーチェの3人。


勿論美弥子さんの使い魔の雷燕と狼雷の2匹も一緒だ。


彼女達は大技を放った反動で一瞬だけ動きが遅れた私達の代わりに、魔法から辛うじて逃れた残党や、集まって来た他の魔物達を素早く抑える。


遅れて合流した私達も魔物達を一掃するために戦闘を始め、一気に世界の穴の前まで進んだ。


「いきなり出て来てとんだご挨拶ね!!」


「あら、ジィオ。貴女1人で大丈夫?」


するとショルシエの分身体の1人、2本尾のジィオが顔を出す。1人釣れたのなら成功だ。


ジィオくらいまでなら抑え込める。


魔物達が蹂躙されたところで出て来たジィオに私が対応。残りの面々で多数いる魔物達の処理を任せる。


ジィオが出て来た時点で目論みの大半は成功だ。やはり、この場に現状最も脅威となるだろうベンデはいなかった。


いるのなら昨日マーチェの言っていた通り、最初から彼女がいるはずだ。


ベンデ不在で多数の戦力を配備しておくということ自体は別に不自然ではなく、牽制と考えるのが定石だけど、相手はあのショルシエ達。


自分だけで対応出来るなら、雑魚なんて用意しない。3年前の戦いで大量の雑魚がいたのは『大海巨鯨 リヴァイアタン』の復活のための時間稼ぎをするため。


なら何故今回は多数の戦力を用意したかと想像すれば、ベンデ並みの実力者が不在であり、それで尚且つ足止めをしなければならないからだと、私達は最終的に判断した。


「エナもどこかに隠れてるかしら?あっちの方が一度戦ってるだけあって慎重ね」


「アンタ、私達をナメてるの?」


「ナメてるなんてとんでもないわ。考えに考え抜いて、勝てると思ってるだけよ」


煽ってあげるとジィオの姿がブレて私に襲い掛かる。だが、生憎そのくらいのスピードなら対応可能だ。


こちとら最速の魔法少女が身内にいる。半端なスピードだけならすぐ捕まえてあげる。


燃える障壁で牽制したと同時に雷属性を帯びたキックを叩き込む。1発では当然済まさず、2発3発と蹴り込む。


「っぅ……!!」


「おおかた、警戒した私達がある程度の戦力で来たのを魔物との挟み撃ちでもしようか、ってところだったんでしょうけど、アテが外れたわね。最大戦力で来てあげたわ」


「こんっの、王都の守りはどうでもいいってわけ?」


「まさか、私の障壁で街ごと覆ってるわ。こっちに来てから調子が良いの」


ジィオ達の目論みとしては旧王都『サンティエ』の守りを気にして、私達が出て来るのは後って感じだったんでしょうね。


確かにサンティエの守りが今も堅牢さを維持している理由は常にレジスタンス参謀のカレジが駐在し、一定の戦力があるからだ。


同じく団長のパッシオもいれば特にだ。逆を言えば、パッシオやカレジの強さに依存しているとも言える。


それに重要な拠点の守りを固めるのは当然。守りが強ければ強いほど反撃するまで耐えられるからね。


だから、戦力が増強出来てもすぐに攻撃に回すなんて事は中々無い。

普通は人員の足りないところに回すし、王国崩壊以来ガタガタになった防衛力の立て直しの方が急務だもの。


ただ、定石ばかりではショルシエとその眷属達に後手になり続ける。

無理して攻めて大失敗は論外だし、サンティエが落とされても意味がないけど、今のサンティエは障壁で覆われている。


最初に張った時より更に堅いモノをね。


だから今回は攻める。ここを取り返せば人間界との直通ルートの完成だからね。


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