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セシャトのWeb小説文庫2019  作者: 古書店ふしぎのくに
第十一章『不協和音の三重奏 〜今もまだ〝君〟への想いが消えなくて〜 箸・帆ノ風ヒロ』
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こんにちは地球 宇宙の果てから

11月紹介は去年と今年のオールスターが集まってますねぇ^^ レギュラーではない準レギュラーの方々も次々に出てきますが、秋文さんは全く登場されませんねぇ! 今回の流れは秋文さんを待つ! こちらですよぅ!

それは遥か地球から離れた場所。

そこで一人の青年がノートパソコンを持ってテーブルについた。



「かなめさん、準備できました」



 小岩井かなめは、神様より連絡がきた事をこの青年。

 石川に伝えていた。

 古書店『ふしぎのくに』より紹介があった11月作品は是非とも呼んで欲しい一作であると、とあるルートより神様からの連絡がきていた。



「本当に神様が紹介してくれる作品はどれも面白いわねぇ」



 そう言って酢昆布に手を伸ばすかなめ。ハイランダー症候群である彼女は見た目より遥かに年を取っている。そんな彼女だから分かるリアルな会社環境。



「いるのよねぇ、会社員になってまで誰かを蹴落とそうする人って……」

「どうしてですか? 同じ組織にいるなら組織の利益を考えませんか?」

「この作者さんは、色んな事を知っているのね。会社の利益より、自分の利益を考える野心家と呼ばれた人間がいるのよ。こういう人間は独立するような事は出来ないのだけれど、大抵会社では良いポストに上がれるわね。岩見さんは少しやりすぎかもしれないけど、隠れてあーいう事をする人は必ずいるわね。だから日本は世界的に見れば発展途上なのね」



 かなめは面白い事を言う。日本は発展途上国だと、世界一の技術を持つ日本がである。日本は戦に敗れ牙を折られてから、競う事をやめた。国内でけそけそと潰しあいをする岩見のような連中によってとかなめは語る。



「それに、缶コーヒー。あんまり美味しくはないのに、日本のサラリーマンの必需品みたいですよね? 石川さんは缶コーヒーって地球にいた時とは飲まれていました?」



 石川はふと考える。そういえば自分は会社に属した事はなかったが、よく缶コーヒーを飲んでいた。コーヒーとはまた別のおいしさが缶コーヒーにはある。石川は頷くと、かなめは何もないところから缶コーヒーを一つ取り出して石川に渡す。



「宇宙人と缶コーヒーは切っても切れないですからね。ふふふ。それにしても駆さん、そろそろ花蓮さんの事、気にしてあげないと悲しい事になってしまいそうね」



 石川も同じ事を考えていた。失意の中、彼女である花蓮からの連絡を無視し続ける駆だが、これは意外と起こしやすい現象でもある。

 特にその相手への気持ちが離れている場合、自分の事より優先しようとは思わなくなる。これに関しては駆がというより、人間の、特に雄は不安障害に陥りやすい。適切な判断ができなくなった事があるという人は少なくないハズだ……。



「自分も地球にいた頃、よく遊んでいた友人との関係が急に億劫になった事がありました。その時は、お金に困っていたので、自分の事で精一杯で……ははっ」



 本作はちょいちょい描写がどれもリアルである。駆は物語のキャラクターとしてはこのシーンでは随分読者は幻滅するかもしれないが、本来人間はショックを受けるとこんな反応になる。



「世良さん、とても良い方ね。こういう方は、神様やセシャトちゃんはこう言うんでしょうね! 名前のあるモブとね」



 主人公以上に、好感度が持ててしまい、主人公を助けてくれるキーパーソン。幾度となくこの手のキャラクターに関して神様達が語っている事をかなめは思い出してふふふのふと笑う。

 かなめがお茶をすすりながら酢昆布をパクりと食べる。

 そしてかなめは続いて石川に、この話をした。



「世良さんの愛澤課長との飲み会セッティングは非常に素晴らしい選択と言えるんじゃないかしら? 子供を持つ親はそこまで大人ではないけれど、子供のいない大人よりは限りなく大人ですからね」



 このかなめは相当昔の人である事を石川はかなめ本人から聞いていた。それ故、子供がいたのかを今更になって訪ねてみた。



「かなめさんにお子さんは?」

「いるわよ。もう、孫がいるんじゃないかしら?」



 ありえない事を言うかなめ、見た目だけなら石川よりも若く見えるのだ。されど、懐かしむかなめを見ているとなんとも言えない。



「子供は目に入れても痛くないものですか?」

「そうね。少なくとも私はそう思っていたかしら? とはいえ、駆さんにとってはそれはやはり、少しばかり辛い現実になるかもしれないわね」



 石川は考える。自分が駆だった場合、自分はどうするだろうか? ただ、彼のような態度はとらないんじゃないかとそう考えていた。



「世良さんの彼女とダブルデート、それでいいと僕は思うんですけどね……」



 楽しい未来、楽な未来を選択するという事が駆にはできない。悪い意味で彼は素直すぎる。石川が駆の気持ちを理解できないのは単純に、責任を背負わないまだ子供だからという事なんだろう。

 駆は自分ではどうしようもない事に関して悩み。そして、ドツボにはまっていく。日本人に多い、典型タイプである事にかなめは実に面白いなと頷いた。



「石川さん、お茶、飲みます?」

「あっ、はい。頂きます」



 濃いめの緑茶を湯飲みに入れてくれるのでそれに石川は口をつける。お茶請けは梅干しや酢昆布、塩饅頭。

 かなめの実年齢を感じさせるようなお茶請け群達。この地球から遠く離れた場所でこれら食べ物をどうしているのか石川はいまだ知らない。



「恋は盲目というけれど、駆さんの気持ちはもう花蓮さんにはないのかもしれないわね。それは仕方がない事かもしれないけれど、読者のいくらかは不快感を感じるものかしら?」



 かなめは石川に聞いてみる。古書店『ふしぎのくに』に関わるくらいの年齢の石川がどう感じるのかで、今の読者の気持ちをかなめは聞いてみたくなった。



「そうですね……僕は……なんとも言えないですね。駆の気持ちが分からない事もないし、かといって彼を肯定もできないですかね。何があったとしてもそれはそれ、気持ちの部分は決着をつけないといけないと僕は思います」



 それを聞いて、かなめは少し不味ったかと思う。主に中高生があの古書店には迷い込む、自分や駆程大人ではないが、そこまで石川は子供でもなかった。彼は諦めがついてしまう年齢なのだ。情熱的に感情的に駆の事を嫌悪するとも、彼の気持ちが分かるとも声を大にしていうような気持ちは持ち合わせていない。



「さぁ、駆さんは一番。取ってはいけない選択をここでしてしまうわね! きっとセシャトちゃん辺りなら、はっひゃーー! 盛り上がりますねぇ! とか言うのかしら?」



 セシャトの声真似をしてそう言うかなめに石川は噴き出した。あまりにも似ているその物まね。



「滅茶苦茶似てるじゃないですか……あんまり会った事ないんですけど、僕はヘカさんと欄さんと一緒にいる時間が長かったので」

「あら、その子たちは知らないわねぇ……別れ話を切り出すシーンに関しては石川君はどう思うのかしら? ここはさすがにと思う?」



 石川は三章における最大の盛り上がりポイントに関してこれまた石川はドライに返してみせた。



「恋愛の終わりは男が悪者になるべきだってどっかで読んだ事がありますね。だから、駆さんの選択は悪くないかもしれないです」



 なるほど、石川はここで駆を尊重するのかとかなめはようやく、面白いと思い始めた。この広い宇宙、同じ地球人は恐らく自分と石川しかいないだろう。

 そんな中で、同じ作品を読み、そしてそれについて語り合う、二人は別の人間、色々な考えが飛び交ってしかり……



「だけど……一つだけ」



 きたぁあああ! とかなめは表情が崩れそうになるのを我慢する。かなめは第一世代。初代古書店『ふしぎのくに』店主のダンタリアンと神様と共に作品を楽しんでいた世代、片や石川は二世代目にあたるのだ。

 新旧Web小説好きの考察回、第一回は古書店『ふしぎのくに』がオススメする最高の作品。



『不協和音の三重奏 〜今もまだ〝君〟への想いが消えなくて〜 箸・帆ノ風ヒロ』


 かなめは塩饅頭を一つつまむと半分に割ってそれを口に運ぶ。そしてゆっくりと語った。



「花蓮ちゃんの言う事は、私はよく分かるわ。どうやって生きて行けばいいか分からない。当然よね。きっと古書店『ふしぎのくに』の人達は三つの道を考えるんじゃないかしら? 花蓮さんルート、あるいは、本来のルート。そして、最後のルート……この時点では駆さんは本来のルートを選ぶのね」



 少しだけかなめは不満そうだった。子供までいたハズの彼女の考え方は愛澤課長とは違うようで……きっとスペアキーを置いて行った彼女について考えているのだろう。



「自由に生きるって言っても実は難しいですよね?」



 自由とは何か?



「そうね。石川さん、貴方も自由を選択してここに来たのよね?」

「それは自分の意思決定に従っただけです。花蓮と僕は違います。駆の言う自由は、花蓮が言う通り勝手なんです」



 勝手に生きろとそう言い離してしまった。非情な自分を取り繕ったとしてもあんまりであった事には違いない。



「素直に僕は思うんですよ。愛澤課長と駆は違う。どう考えてもおかしい。自分に酔っているとしか思えない……ってそう思います」



 こういう言葉なのだ。かなめが欲しかったのは、作品を読んで正直な気持ちを語り合う。それをするには作品がそれほど面白くなければならない。



「ですけど、この花蓮が三重奏とブラックコーヒーを飲むシーンは最高ですね! 背筋がぞわっとしましたよ」

「そうね。女のプライドをよく表現しているわ!」



あえて苦手だったそれらを食べ、自分も対等であるという姿を見せてくれる。このベタかもしれないが、このシーン、この場所で花蓮という女性の気高さを知り、ファンになる読者も多いんじゃないだろうか?



「三重奏ってそこで関わってくるんですね……なんというか胸が痛くなってきました」



 タイトル回収を何処で持ってくるのか?

 この作者はよく熟知している。作品において最大の盛り上げギミックの一つであるタイトル回収。



「基本的には最終話で使うのがミソよね。でも、ここで三重奏は始まるの……最後だと少しだけズレを感じるわよね。凄いわぁ。もうそろそろ」



 二人は地球より遠く離れた場所、太陽系の真逆にある地球と同じ惑星への不時着準備をしていた。そこに地球の技術で行こうと思えば百億年後でも不可能と言われているそんな場所へ……



「完結作はいいわね! 受信ラグがないから、最終章を不時着した後にラウンジで楽しみましょうか!」

『不協和音の三重奏 〜今もまだ〝君〟への想いが消えなくて〜 箸・帆ノ風ヒロ』

完結作の強みというものがあります。比較的にアクセスがあると最後まで読まれます。Web小説読者さんは一見さんが非常に多いので、一作楽しんでもらえるとリピーターになっていただける可能性が高くなりますよぅ! それが遥か遠い宇宙からでもですねぇ!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 物語のクライマックス部分ですね。 今回も楽しみながら拝読させて頂きました。 >こういう人間は独立するような事は出来ないのだけれど、大抵会社では良いポストに上がれるわね。 まさにこれ。岩見…
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