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セシャトのWeb小説文庫2019  作者: 古書店ふしぎのくに
第十一章『不協和音の三重奏 〜今もまだ〝君〟への想いが消えなくて〜 箸・帆ノ風ヒロ』
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作品だから許される事とか……コーヒーの飲み方とか

当方の月間紹介用の端末が悲しい事にお亡くなりになられました。

1年前としては最新式のレッツノートでいくつかの自動化ツールを動かしていたのですが、24時間365日休む事なく働いて頂き、ありがとうございました^^ そんな兼ね合いで更新が遅れた事を謝罪申し上げますよぅ!

 母屋にはセシャト以外の古書店「ふしぎのくに」ファミリーが揃いお菓子を食べたりお茶を飲んだり。

 そして今月の紹介作品を読んでいる。



「記憶喪失ものはいつの時代も伏線の張り方としては変わらんよの、どういう事なのだ? という好奇心をわかせてくれる」



 神様はトトが持ってきたチョコレートケーキをホールのままフォークで刺して食べる。普段ならこんなケーキの食べ方をすればセシャトに行儀が悪いと怒られるところなのだが、今日はめでたい日。大体の事は許されるだろう。



「どうでもいいんけど、コーヒーって体が温まるものなん?」



 駆がコーヒーを飲んで暖を取っているシーンを読んでヘカが二人に聞く。コーヒーは身体を温める効果もあれば体温を下げる効果もある。

 基本的にカフェインは体温を下げるが、代謝を上げる効果も同時に持っている。

 結果飲み方次第である。寒い日に駆が飲む一杯のコーヒーと目覚めた寒い朝に飲む一杯のコーヒーとでは大きく効果も違うだろう。



「思考はコーヒーより、先を見越せない。いい表現ですよね! 嗜好品は実に分かりやすく体が欲している。されど、思考は欲している物ではないですからね。分かりみが非常に深いです。ちなみにこのコーヒーの飲み方は体を温めてくれますよ。ミルクを入れればなおよいのですが」



 トトの補足に対してさらにヘカが聞く。



「女子高生を勝手に泊めていいん?」



 これは、よく小説や漫画、映画、ドラマ等の創作作品においてよくあるシーンである。されど、リアルな結論を述べると……


 アウト!


 未成年誘拐罪が確立してしまう。それがどれだけ善意であろうと、同性であろうと、知り合いの子であろうと残念ながら犯罪行為なのだ。



「まぁ、普通に考えれば警察に連絡せんといかんだろうの、こればかりは物語として楽しむしかなかろうな! こういう状況で未成年を善意で泊めようと思っても捕まるから気を付けるのだぞ!」



 と神様があらぬ方向を向いて言うのでヘカがあきれる。



「神様は誰に言ってるん?」



 ヘカにそう言われて神様は再びチョコレートケーキを食べ始めた。セシャトは全く母屋に戻ってこない。

 秋文を待っているのだろう。セシャトにとっては最初のお客さんであり、上客も上客なのだ。御昼ごはんまで用意して今か今かと店頭で待っている。



「神様のお話の続きになりますが、駆さんがようやく翌日に警察へとお考えでしたが、花蓮さんは後でもいいと仰られておりますね。実にここはリアルです。女性のこの判断力というか、決断力はわりと、ありえそうです」



 女は愛嬌、男は度胸という言葉があるが、実際生物学的に度胸があるのは女性である事が多い。というのは子供を守らなければならないというその本能が強いのだろうと言われている。



「まぁ、花蓮のこの考え方も児童誘拐に連れまわしまでついでくるので罪を重ねる事になるのだがの……」



 神様の感想にトトはクスりと笑う。



「神様、その心は?」

「この作者は、大人だの。年齢がというわけではない。作品の創作姿勢からツイッター上での態度等、実に大人だ。だからこやつは分かっておるだろう。これがリアルであれば問題行動であるという事をな。だが、なろう作品に触れる年齢は十代前半も多い。こやつらに変な間違いを起こさせんようにな……」



 重ねて説明するが、本作は物語としての進行であり、リアルでは絶対に警察に通報するように!



「東京ってそういえば、やたらいろんなところで脱出ゲーム施設があるん。ピクニックとかそうなんな?」



 ショッピングモール内にもあったり、専用施設があったりととにもかくにも全国的にも脱出ゲーム施設は多い。

 これら脱出ゲームは数をこなしてなぞなぞのパターンに対応できる慣れと、直観力を働かせる起点の二つが重要である。

 駆と花蓮は二人ともそこまで脱出ゲームが得意ではなく、脱出成功できなかったと記載されている。

 そしてそれは……



「ここは何処にでもいる男女カップルなんな? あのクリアできる気が全くないのにいちゃいちゃするんな? 実に不愉快なん!」



 とヘカは言うが、脱出ゲームをクリアできるのは半数くらいであり、面白そうだからと挑戦する人々も沢山いる。

 本作の主人公たる二人はその普通のキャラクターを上手く表現し、演出されていると言えるだろう。



「ふふっ、では今度僕と一緒に脱出ゲームに挑戦しますか?」

「トトさんは勝手に全部クリアしてつまらないん! この駆の嫉妬も面白んな? 嫉妬と言いながら少しだけ気分も良い反面もあるん」



 本作にとって作品の造形のレベルの高さもさることながら、文章表現の安定性を一つ推したいと思う。

 激しく冒険し飛ばした表現があるわけでもなく、そのシーン、その心情に合わせた言葉選びをされている事を評価したい。



「ここで、ハルの記憶に関して一つ分かるわけだの! ハルもまた三重奏が好きだという事だの。それも駆の言葉を待っていたかのように……の。ここまで気になる進行もなかろう」

「記憶喪失にもいくつかパターンがありますからね! 短期的な記憶喪失ですね。先ほど使っていた物が何処に行ったのかというアレです! 続いてこの自分が誰で、何をしていた人なのかが分からなくなる、但し、一般的な生活に関わる部分が損なわれていない心因性記憶障害というタイプです。一番恐ろしいのが人間としての生活にかかわる部分まで損なわれてしまう解離性健忘等というものです。ですので、ハルさんの場合は食べ物の好み等は変わらない可能性は極めて高いですね」



 この神様に生み出された『ふしぎのくに』ファミリーが勢ぞろいすると訳の分からない考察が飛び交うなとヘカはエナジードリンクに口をつける。



「コーヒーは昔薬に使われていたというんな?」

「えぇ、咳止めですね。そして、精神的な治療においてはアルコールやたばこ、コーヒー等の刺激物は時として効果的だったりします」



 これだ……

 ヘカは沢山あるお土産の中から駄菓子を一つつまむとそれを口の中に入れる。神様が母屋の椅子に体育座りして座り、トトはそんな神様の為にコーヒーや紅茶を淹れたり、そんな様子を見てヘカはトトに言った。



「ヘカもミルクティーが飲みたいん!」

「では、スリランカの……おや、ディンブラを切らしたようですので、本日は日本人好みのアッサムで淹れさせて頂きますね」



 カバンから取り出した茶葉を見せるとそれでトトは紅茶を淹れる。沸かしたミルクと合わせてそこからマレーシア風のミルクティーを差し出した。



「どうぞ、当方オススメのロイヤルミルクティーです」



 ヘカはカップを両手で持つとそれをこくりと飲みそしてこういう。



「うまいん! 腕をあげたんな! トトさん」

「恐縮です」



 偉そうな事を言うヘカだが、トトの紅茶しかまともな紅茶はセシャトが淹れたものしか飲んだ事がないので……実際味など分かってはいない。



「しかし、セシャトさん。ロイヤルアルバート、お好きですねぇ」



 コーヒー通で知られるセシャトだが、趣味はティーカップコレクション。マイセン、ロイヤルコペンハーゲンといったメジャーどころから、マイナーな物はては百均でも気に入ったカップがあれば購入している。

 そんな中でセシャトが気に入っているブランドの一つがロイヤルアルバート。形状もイラストデザインも実に攻撃的で、イギリスらしいバラをおモチーフにした高貴なデザイン。



「セシャトさんはミーハーなんな? コーヒーからチョコレート、ハルは段々掘り下げてきたんよ? ミルク入りのコーヒーなんてガキなんな?」



 それに神様とトトがピクりと反応する。ブラックでコーヒーを飲む者が大人の舌か問題はさておき……



「コーヒーは流通しているほぼ全ての豆が酸化していますから、実はミルクを入れて飲む方がコーヒー本来に近い風味を楽しめたりします。ブラックが好きなのはそもそもの本来の香りや風味を楽しみたいと思うからなんでしょうね。僕はよく旅に出るでしょう? ですから現地で作りたてのコーヒーを飲む事もありますが、全然違いますよ。そもそもお茶と言った方がいいかもしれませんね。この同じ物が好きな同士が見つかった感覚ってわかりますよね?」



 さすがにこれはヘカもよく分かった。何とも言えない一体感。駆の場合は三重奏というチョコ菓子。そしてその三重奏は今目の前にある。

 神様が作品より取り出したのだろう。本来流通以前に存在していないお菓子。



「お口の恋人ロッテに『紗々』というものがあろう? こいつをベースに作品から取り出してみたのだ。今回だけだぞっ! 喜んで食べるといい」



 そう神様に言われるので、トトは「いただきます」と、ヘカは無言で一つまみしてそれを食べる。三重奏。

 その味は……



「なんというかこれは、普通ですね」

「うん、普通に美味いんな」



 植物油を主成分にした一般流通しているチョコ菓子、トトとしてチョコレートとはいいがたい普通のお菓子、ヘカ的には普段食べるお菓子より少しだけ物がいいチョコ菓子。

 作品世界観でも三重奏の位置づけはこのあたりだろう。



「この駆やハルが美味いんという気持ちはわかるんな。子供の頃から好きだった食べ物は変わらないよ」



 ハルの記憶についても少しだけ前進したところで、三人は再び物語に没頭しようと思った矢先、青い顔のセシャトが母屋に入ってきた。



「ひーん、まだ秋文さんがこないので、私も一休みですよぅ! 三重奏頂きますね!」



 そう言ってそれを一つまみ。



「はっひゃあああ! おいしいですねぇ!」

『不協和音の三重奏 〜今もまだ〝君〟への想いが消えなくて〜 箸・帆ノ風ヒロ』もう読まれましたか? この季節に丁度よいかもしれませんよぅ? 甘いチョコレートとコーヒーを片手に是非Web小説を楽しんでくださいねぇ!

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― 新着の感想 ―
[良い点] コーヒーに関してのうんちくは、とてもためになりました。 私自身、知らない情報もあり、ひとつ賢くなりました。 まさに豆知識…… ゲフン、ゲフン。 >未成年誘拐罪が確立してしまう。 はい…
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