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18 私じゃ無理なの。

「 ひな、なんでおるん?」

「 学校午前中で終わったけぇ、さっきまで、商店街で買い物しとった。」

「 ほうなん」


ひなのやつ、さっきから、不機嫌だな。

なんでだろ?


「 私、向こうへ行くよ。お邪魔したら悪いし」


ひなは、トレイを持って踵を返した。この場にいたくありませんって、言ってるみたいに感じるんだけど。気のせい?


「 待って」

「 何ですか?」


ひなさん、むっちゃ拓人さん睨んでるし。敵視してんの?ってなくらい恐い顔なんですけど。睨まれてる筈の拓人さんは、ビビってる様子は、微塵もなく、自然体で、話しかけけてますよ。


「 夕陽の話を聞いてほしいんだ。」


ひなは、俺に視線を向けると、仕方ないといった感じで、ため息をついて、席に座る。


「 いきなりごめんね。友達は大丈夫?」

「 いえ、一人だから。大丈夫です」

「 ひな、こっちは、」

「 知っとるよ、林原さんでしょ。あん時( あの時) 夕陽を助けてくれちゃった人でしょ。その後、色々あって、お付き合いしとる。そんなとこでしょ?」


むぅ、相変わらず察しがいいな。まあ、こっちとしては、話が早く進められてありがたいんだけど。

拓人さんは、苦笑いしながら、話を進めた。


「 そこまで、わかってるなら、改めて自己紹介しなくてもいいかな。服部さん」

「 ええ」


失礼します。と言って、ひなは、俺の隣に座る。

本当ひなのやつさっきから不機嫌だな。

拓人さんに向ける態度が刺々しい。



「 で、夕陽の話って何?」

「 えっとね。俺の本当の家族に会いたいけど、拓人さんについてきてほしい。って話したんだけど、母さんがついてくって言ったら、僕は、ついてく必要ないよね。って言われた。」

「 なんでついて行かんのです? 」

「 えっだって、赤の他人がついてくのは、変だろ。」

「 はあ?!」


ひなが、プルプルと震えてる。ヤバい、ひな火山が噴火する。


「 赤の他人って! なんでそんな事言うん。 意味わからんし。いーい? こいつが、いっちゃん先に ( 一番先に) 家族以外で、ヘルプ頼むの私だったの。こいつが広島の生まれ故郷離れてしもうても、その関係は、変わらんかったの! 困った時に、相談にのるの私の役目だったん。 異世界から戻ったこいつを助けたんも私。 じゃけ、また私にその役目が戻ってくる。そう思ったん。ほいじゃに、知りあって一ヶ月かそこらで、あなたにその役目盗られてしもうたんよ。 さっき二人を見た時、もう私じゃ駄目なんじゃって思った。 私は、こいつを支える役目は、終わったって」


両目に涙を貯めて、ひなは、一気にそうまくし立てた。

ひなが、拓人さんに対して刺々しい態度だったのは、ひなのたち位置に、あっさりと入り込んだ、拓人さんに対して、嫉妬心からくるものだったんだ。

ひなは、手元のコーヒーを飲んで、気分を落ち着かせると、話の続きをする。



「 だいたい、夕陽の秘密まで知っといて、赤の他人いう事があろうか。完全な当事者じゃない。それで、ついて行かないのは、おかしいじゃろ。それとも、彼女の親に会うのが怖いんかい?」

「 うっ!」


拓人さん、言葉を詰まらせてるって事は、図星だな。


「 図星か、アホらし、堂々としとりゃええじゃないですか。」

「 ひな~、そこまでにしといてや。」

「 あっうん。ついあのバカ仁と話す感覚で言ってしもうたわ。林原さん、私からもお願いします。夕陽のお願いきいてあげてください。夕陽は、林原さんに全幅の信頼を置いてるんです。」

「 まいった。わかったついてく。ついていきます。」


拓人さんから、いい返事がもらえ、俺とひなは思わずハイタッチをしてしまった。



「 じゃ、いぬるね。 (帰るね。)」

「 気をつけてね 」

「 林原さん、夕陽の事お願いしますね。もし泣かしたら、承知しませんよ。」

「 わかってる。」


ひなは、俺達に手を振って去っていった。ひなの表情は、どこか晴々とした表情だった。





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