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入学日の学校

剣士と唯のクラスは1年2Hだ。

あらかじめクラスはプリントに記載されていたので玄関前でごった返すことなく上履きに履き替え教室へと向かう


蘭高の校舎は三つあり、北舎 中舎 南舎に分かれている


校舎は横長構造でそれぞれ四階建てとなっている

空からみると田んぼの田のような形となっている


1年の教室は北舎の一階に配置されている

1年の玄関は北舎の東の端なので直線に歩くだけだ


玄関から1〜9の順に並んでいるので2Hの俺達はそれほど歩くこともなく教室に到着


教室のドアの前で剣士は立ち止まり自分の制服を確認する


簡単にチェックしよしっと顔をあげると唯が呆れた顔でため息をついていた


そして唯がドアを開け中に入るそのあとに続くように剣士も入る


教室にはクラスのほとんどがいるが立ち話をしたりしているグループもいるので席はところどころ開いている


黒板に出席番号で並べた座席表が書かれている


2Hは横6縦7の計42人だ

剣士の席は廊下側から数えて三番目の一番後ろだ

唯は俺の斜め前みたいだ



自分の席と唯の席を確認して剣士が自分の席に移動していると三人ぐらいの女子に呼び止められた

「あのちょっといいですか?」


控えめな声で言って頬が少し赤くなっている


「なに?」

呼び止められる理由を考えながら答えた


そこで剣士はあることに気がつく


俺の田舎オーラがばれてバカにしにきたのではないか


剣士の頭では都会の人は田舎の人をバカにすると思い込んでいるのでばれたことについて考える


(はぁ〜あんたあんなド田舎から来たの?汚な)


(少し離れてくれませんか?)


………………………………


「あの〜大丈夫ですか」


三人の内の誰かに言われ我にかえる


剣士はどんどん被害妄想を考えていたので会話していることを忘れてしまっていたのだ


「ああ 全然大丈夫ですよ 覚悟してきたんで」


慌てていたせいで剣士が考えていることがわからないと意味不明な言葉で返してしまった


案の定三人とも不思議な顔をしたがスルーしてくれたみたいだった


「あの お名前は?」



「へ? 名前?」

悪口を予想していた剣士は呆気にとられ変な声を出してしまった


「はい」


「えっと 名前は鈴城剣士」

………………………………


予想外にも普通な会話で、名前の他にも好きなものや嫌いなものなどの質問攻めにあった


剣士が質問に答えていると朝のHRを知らせるチャイムがなる


そこでようやく女子に解放され自分の席につく


そして朝のHRが始まり担任の先生が色々話している


剣士は先ほどの女子がなぜ自分にあんな質問攻めをしていたのか考えていた



田舎オーラが珍しいから話しかけられたかと思ったがおそらく違うその理由なら出身について質問するだろうがひとつもなかった


剣士があれこれ考えていると担任の先生が



「これからのお隣の席の人とはなにかと協力する機会があると思います。なので簡単に話し合いましょう  はい机くっつけて」


剣士は考えるのをやめ机を隣とくっつける


隣のひとは小柄な女子でとても顔も綺麗なのだがその顔には表情がなく人形みたいだ


髪は肩に掛かるか掛からないかの長さでとても日本人らしい

でもなぜか目が青だ


不思議に思って目ばかりみていると


「生まれつきなの」


と彼女が答える


「そっか 綺麗な目だね」


見慣れてなかったせいか思ったことをそのまま言ってしまった


「ありがとう」


まったく表情をかえず彼女が礼を言う


「私の名前は桜葉(さくらば) 春花(はるか)


いきなり自己紹介をしてくれたので剣士も慌て自己紹介する


「俺の名前は鈴城剣士よろしく」


剣士が軽く手をあげ会釈すると


「これで私達のやるべきことはすんだわね」


そう言うと机を元の状態に戻した


「あのこれから呼ぶときなんて呼んだほうがいい?」


呼ばれ方にこだわる人もいるのでいちよう聞いてみた


「はるか」


春花は前を向いたまま答えた


「じゃあ俺も剣士でいいから」


剣士がそういうと春花はわかったと言う風に小さく頷いた


他の人達も隣通しでのあいさつが終わり先生がHRの終了を告げる


それからは入学式などの形式的なものばかりであっというまに放課後になった



終わりのHRが終了して唯に帰ろうと声をかけようとした時、朝と同じように女子に囲まれてしまった


「あの鈴城くんちょっとお話ししませんか?」


朝より多い女子の集団を剣士は断りきれず彼女達の気が晴れるまで話すことになってしまった



そして剣士は話をしてる間ずっと待っている唯になんて謝罪しようか考えるのだった



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