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第65話 二学期初日の朝

 ある日の朝。



 「(スースー)」



 僕は、布団の中で、微睡(まどろ)んでいた。


 もう朝になった事には気付いたが、そんな事には構わずに眠っている。



 「(スースー)」



 そうして、また二度寝をしようとしていた所、”ガシャリ”と部屋のドアが開き。



 「ゆうくん、朝だよ、起きなさい〜」



 それから、姉さんの声が聞こえた。


 何だろ? 夏休みなのに?



 「ゆうくん、今日から、学校でしょ」



 姉さんの言葉で、僕は気付く。


 はっ! そうだ、今日から学校だった。


 姉さんの言葉に、僕はのろのろと起き出す。



 「ふふふっ、やっと起きたね、ゆうくん」



 寝ぼけた様子の僕を見て、姉さんが笑う。



 「ほらほら、寝癖が付いたままだよ〜」



 上半身だけ起こした状態で、ボンヤリしていると、姉さんが僕の(かたわ)らに座り、頭を撫で出した。


 姉さんの細くて柔らかい指が、僕の髪を()く様に撫でて行く。


 その感触の心地良さに、身を起こしたまま、眠り込もうとしていた。



 「ほら、もう、ご飯の準備が出来たから、おいでよ」



 しばらく僕の頭を撫でると、そう言って、姉さんが手を止めた後、立ち上がり、部屋を出て行った。



 「もう少し、撫でて欲しかったなあ」



 僕は、自分の頭を名残惜しそうに撫でると、姉さんが出て行ったドアを眺めていた。



 ・・・




 *****************




 「ふあ〜」



 大アクビを出しながら、僕は、台所に入った。


 テーブルには、既に、皿に盛ったサラダと目玉焼きが乗っている。



 「ゆうくん、今、入れるからね」



 そう言いながら、姉さんがアイスコーヒーをグラスに入れてくれた。



 「ゆうくん、まだ、眠そうだね」



 僕の顔を見て、姉さんが苦笑した。


 僕の顔を見て、しばらく思案すると、何かを思いついたのか、”ポン”と手を叩いた。


 そうすると、姉さんがおもむろに、僕に近寄ると、顔を接近させる。


 姉さんとの距離が次第に縮まって行く。



 「(・・・姉さん、何をするつもり?)」



 姉さんの顔がドンドン近づいて行き、そして、



 「(ムニュ)」



 突然、姉さんが、僕の両頬を摘んだ。




 「痛ててて、姉さん、痛い、痛い」


 「どう? 目が覚めた♪」




 そう言って、姉さんが舌をチロリと出した。



 「さあ、食べましょ、遅れちゃうよ」



 姉さんが、冷えたコーヒーが入ったポットを持つと、グラスに注いでくれた。


 僕は、そんな姉さんを見ながら、引っ張られた頬を撫でている。



 「ごめんね、チョット強すぎたかな」



 姉さんがそう言いつつ、ポットをテーブルに置くと、僕の頬を優しく撫でてくれた。


 姉さんの手の感触に、頬に残る、痛みが次第に薄れて行く。


 そうやって、僕は、姉さんの手の感触を味わっていたのであった。



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