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第53話 お疲れのお姉さん

 「はあ、まだ、暑いなあ」



 時間的には、もう夕刻になるが、真夏の今、まだ日差しは強い。


 僕は今、夕食の買出しに向かっている。


 姉さんが予備校に行っているので、僕が代わりに作らないといけない。


 まあ、姉さんの受験に協力する事には、異存は無いけど。


 とりあえず、協力できる所は協力しよう。


 家事も、洗濯以外は、出来る所は自分でやるつもりだ。


 さすがに、洗濯だけは、姉さんの下着を扱う訳にはいかないので、それだけは、姉さんにお願いするしかないが。


 今日の夕食は、冷やし中華にしよう。


 暑いときは、アッサリした物が良いだろう。


 そんな事を思いつつ、スーパーへと買出しに向かった。




 ****************




 家に帰り、夕食の支度をしていると。



 「ガチャっ」



 玄関のドアが開く音が聞こえた。


 どうやら、姉さんが帰ってきたようだ。


 夕食の支度を中断すると、僕は、玄関の方に姉さんを出迎える。



 ・・・



 「姉さん、お帰り」



 僕がそう言うと、姉さんが、



 「ゆうくん、疲れたよ〜」



 そう言いながら、ヘロヘロになっていた姉さんが、倒れ込むように僕に抱き付いた。


 倒れ込む姉さんを受け止めると、ノースリーブの白いワンピースを着ていた姉さんの、露出してる皮膚が火照(ほて)っていた。


 まだまだ、外は暑い様だ。



 「ほらっ、早く入って、涼んでよ」



 早く入って、涼むよう僕が言うが、



 「疲れたよ、ゆうくん運んで、お願い・・・」



 僕に抱き付いた状態で、甘えてくる姉さん。 


 しょうがないので、姉さんを驚かせるつもりで、姉さんの背中と膝裏に腕を当てると、




 「よいっしょと」


 「キャッ!」




 姉さんを持ち上げて、お姫様抱っこした。



 「ゆうくん・・・」



 姉さんが、僕の頬に右手を当てながら、僕を見詰める


 そんな姉さんに、微笑みかけると、僕はそのまま姉さんを居間まで運んだ。




 *****************




 姉さんをお姫様抱っこしたまま、居間へのドアを器用にあけると、僕は居間へと入って行った。


 姉さんをソファーまで運び、ソファーに下ろそうとした時。




 「ねえ、ゆうくん、そのままで、ゆうくん座って」


 「?」


 「・・・私を抱っこしたまま、ゆうくんが座って、ねっ」




 姉さんが、自分を抱いたまま、僕が座るように、おねだりしてきた。


 そして僕が、ソファーに腰を下ろすと、僕の膝の上で姉さんが、横座りする形になった。



 「ゆうくん、冷たくて気持ち良い〜」



 姉さんは僕の首に抱き付くと、しばらく、冷房の聞いた台所にいて冷えていた僕の頬に、頬ずりをし出した。




 「姉さん、夕食の支度があるんですが・・・」


 「ねえ、もう少しだけ、このままで、ねっ、お願い」




 そう言って、姉さんが、僕の膝から降りようとしない。


 結局、仕方がないので、しばらく姉さんの好きなようにさせていたのであった。



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