第53話 お疲れのお姉さん
「はあ、まだ、暑いなあ」
時間的には、もう夕刻になるが、真夏の今、まだ日差しは強い。
僕は今、夕食の買出しに向かっている。
姉さんが予備校に行っているので、僕が代わりに作らないといけない。
まあ、姉さんの受験に協力する事には、異存は無いけど。
とりあえず、協力できる所は協力しよう。
家事も、洗濯以外は、出来る所は自分でやるつもりだ。
さすがに、洗濯だけは、姉さんの下着を扱う訳にはいかないので、それだけは、姉さんにお願いするしかないが。
今日の夕食は、冷やし中華にしよう。
暑いときは、アッサリした物が良いだろう。
そんな事を思いつつ、スーパーへと買出しに向かった。
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家に帰り、夕食の支度をしていると。
「ガチャっ」
玄関のドアが開く音が聞こえた。
どうやら、姉さんが帰ってきたようだ。
夕食の支度を中断すると、僕は、玄関の方に姉さんを出迎える。
・・・
「姉さん、お帰り」
僕がそう言うと、姉さんが、
「ゆうくん、疲れたよ〜」
そう言いながら、ヘロヘロになっていた姉さんが、倒れ込むように僕に抱き付いた。
倒れ込む姉さんを受け止めると、ノースリーブの白いワンピースを着ていた姉さんの、露出してる皮膚が火照っていた。
まだまだ、外は暑い様だ。
「ほらっ、早く入って、涼んでよ」
早く入って、涼むよう僕が言うが、
「疲れたよ、ゆうくん運んで、お願い・・・」
僕に抱き付いた状態で、甘えてくる姉さん。
しょうがないので、姉さんを驚かせるつもりで、姉さんの背中と膝裏に腕を当てると、
「よいっしょと」
「キャッ!」
姉さんを持ち上げて、お姫様抱っこした。
「ゆうくん・・・」
姉さんが、僕の頬に右手を当てながら、僕を見詰める
そんな姉さんに、微笑みかけると、僕はそのまま姉さんを居間まで運んだ。
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姉さんをお姫様抱っこしたまま、居間へのドアを器用にあけると、僕は居間へと入って行った。
姉さんをソファーまで運び、ソファーに下ろそうとした時。
「ねえ、ゆうくん、そのままで、ゆうくん座って」
「?」
「・・・私を抱っこしたまま、ゆうくんが座って、ねっ」
姉さんが、自分を抱いたまま、僕が座るように、おねだりしてきた。
そして僕が、ソファーに腰を下ろすと、僕の膝の上で姉さんが、横座りする形になった。
「ゆうくん、冷たくて気持ち良い〜」
姉さんは僕の首に抱き付くと、しばらく、冷房の聞いた台所にいて冷えていた僕の頬に、頬ずりをし出した。
「姉さん、夕食の支度があるんですが・・・」
「ねえ、もう少しだけ、このままで、ねっ、お願い」
そう言って、姉さんが、僕の膝から降りようとしない。
結局、仕方がないので、しばらく姉さんの好きなようにさせていたのであった。




