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第49話 おとなしく寝てなさい

今回も、いつもより、少々長めです、

 しばらく、姉さんの側に付き添った後。


 一旦、僕も、教室に戻ることにした。


 教室に戻ると、教室中から注目を受けるが、それには構わずに、教壇の先生の所に行き。




 「先生、すいませんでした」


 「ああ、で、大丈夫だったか?」


 「とりあえずは、大丈夫です」




 先生にそう言った後、自分の席に着くと、隣の透也から。



 「まあ、その様子だと、大丈夫そうだな?」



 と聞かれたので、



 「軽い貧血だったから」



 そう答えると、”それは良かったな”と言ってくれた。


 透也の方も、心配してくれたみたいなので、僕は嬉しく思った。


 その後は、大人しく席に着いて、ロングホームルームを受けて居た。




 ****************




 一学期の最後のホームルームが終わると、その足で、保健室に向かった。



 「ガラッ」



 保健室の扉を開くと、中には瑞希先輩と、由衣先輩がいて、姉さんの荷物などを持ってきてくれてた。




 「あ、優くん」


 「姉さんの荷物を持って来てもらって、ありがとうございます」


 「ううん、いいよ、そんな事。

それよりも、良かったね、大した事じゃなくて」




 そう言う、由衣先輩は、むしろ僕の方を心配している。


 僕が、由衣先輩と話をしていると、横の方から姉さんの声が聞こえてきた。




 「ゆうくん、ごめんね、心配かけて・・・」


 「いいよ、そんな事、もう具合は良いの?」


 「うん、大分(だいぶん)楽になったから、もう返ろっか」 




 姉さんは、ベッドの傍らに立っていて、カバンを持っていた。



 「それじゃあ、優くんも来た事だし、返ろう」



 僕が来たのを見た、瑞希先輩がそう言ってきた。


 こうして、僕達は、帰ることになったのである。




 ***************



 帰りは、心配になった僕が、姉さんに始終付き添っていた。


 姉さんが、”もお、大丈夫だから”とムクれても、僕は姉さんの横に居て、姉さんの後ろから腕を廻して支えていた。


 そうして、二人が家に帰ると、僕は姉さんに、




 「姉さん、今日は、部屋でユックリと寝てね。

それと、今日だけは、勉強は休んでよ」


 「え〜、もう大丈夫だから、いいでしょ」


 「ダメです、今日はおとなしく寝てなさい」


 「は〜い〜」




 僕がそう言うと、姉さんは渋々と部屋に向かった。



 ・・・



 「コンコン」


 「姉さん、もう良い?」


 「入って良いよ」




 しばらく経ってから、姉さんの部屋に行ってみた。


 部屋に入ると、姉さんがパジャマに着替えて、ベッドに寝ていた。


 僕は、ベッドの(かたわ)らに行くと、姉さんの枕元に座る。




 「姉さん、大人しく寝てるね」


 「もお、ゆうくんは心配性だよ」




 姉さんは頬を膨らませながら、そう言った。



 「でも、姉さんが無事で良かったよ」



 僕が心底、安心した様な表情でそう言うと、



 「ゆうくん・・・」



 そんな僕の表情を見た、姉さんが、驚いた顔で僕を見た。



 「ゆうくん、ありがとう・・・」



 そして、姉さんが感謝の言葉をつぶやく。


 それから、少しの時間が経って、姉さんが、



 「ねえ、ゆうくん、お願いだから、頭を撫でて欲しいの・・・。

そうしたら、ゆっくり眠れるから、ねっ・・・」



 そう言って、可愛らしく、おねだりしてきた。


 甘えてくる姉さんに、微笑みながら(うなず)くと、姉さんの頭を撫で始める。


 姉さんの頭を撫でてつつ、感触のいい髪に指を通して行く。


 姉さんの頭を撫でている内に。



 「すー、すー」



 姉さんが眠りに着いた。


 姉さんは寝てしまったが、僕はその感触の良さに撫でるのが止められなくなって、そのまましばらく撫でていたのだった。



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