第49話 おとなしく寝てなさい
今回も、いつもより、少々長めです、
しばらく、姉さんの側に付き添った後。
一旦、僕も、教室に戻ることにした。
教室に戻ると、教室中から注目を受けるが、それには構わずに、教壇の先生の所に行き。
「先生、すいませんでした」
「ああ、で、大丈夫だったか?」
「とりあえずは、大丈夫です」
先生にそう言った後、自分の席に着くと、隣の透也から。
「まあ、その様子だと、大丈夫そうだな?」
と聞かれたので、
「軽い貧血だったから」
そう答えると、”それは良かったな”と言ってくれた。
透也の方も、心配してくれたみたいなので、僕は嬉しく思った。
その後は、大人しく席に着いて、ロングホームルームを受けて居た。
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一学期の最後のホームルームが終わると、その足で、保健室に向かった。
「ガラッ」
保健室の扉を開くと、中には瑞希先輩と、由衣先輩がいて、姉さんの荷物などを持ってきてくれてた。
「あ、優くん」
「姉さんの荷物を持って来てもらって、ありがとうございます」
「ううん、いいよ、そんな事。
それよりも、良かったね、大した事じゃなくて」
そう言う、由衣先輩は、むしろ僕の方を心配している。
僕が、由衣先輩と話をしていると、横の方から姉さんの声が聞こえてきた。
「ゆうくん、ごめんね、心配かけて・・・」
「いいよ、そんな事、もう具合は良いの?」
「うん、大分楽になったから、もう返ろっか」
姉さんは、ベッドの傍らに立っていて、カバンを持っていた。
「それじゃあ、優くんも来た事だし、返ろう」
僕が来たのを見た、瑞希先輩がそう言ってきた。
こうして、僕達は、帰ることになったのである。
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帰りは、心配になった僕が、姉さんに始終付き添っていた。
姉さんが、”もお、大丈夫だから”とムクれても、僕は姉さんの横に居て、姉さんの後ろから腕を廻して支えていた。
そうして、二人が家に帰ると、僕は姉さんに、
「姉さん、今日は、部屋でユックリと寝てね。
それと、今日だけは、勉強は休んでよ」
「え〜、もう大丈夫だから、いいでしょ」
「ダメです、今日はおとなしく寝てなさい」
「は〜い〜」
僕がそう言うと、姉さんは渋々と部屋に向かった。
・・・
「コンコン」
「姉さん、もう良い?」
「入って良いよ」
しばらく経ってから、姉さんの部屋に行ってみた。
部屋に入ると、姉さんがパジャマに着替えて、ベッドに寝ていた。
僕は、ベッドの傍らに行くと、姉さんの枕元に座る。
「姉さん、大人しく寝てるね」
「もお、ゆうくんは心配性だよ」
姉さんは頬を膨らませながら、そう言った。
「でも、姉さんが無事で良かったよ」
僕が心底、安心した様な表情でそう言うと、
「ゆうくん・・・」
そんな僕の表情を見た、姉さんが、驚いた顔で僕を見た。
「ゆうくん、ありがとう・・・」
そして、姉さんが感謝の言葉をつぶやく。
それから、少しの時間が経って、姉さんが、
「ねえ、ゆうくん、お願いだから、頭を撫でて欲しいの・・・。
そうしたら、ゆっくり眠れるから、ねっ・・・」
そう言って、可愛らしく、おねだりしてきた。
甘えてくる姉さんに、微笑みながら頷くと、姉さんの頭を撫で始める。
姉さんの頭を撫でてつつ、感触のいい髪に指を通して行く。
姉さんの頭を撫でている内に。
「すー、すー」
姉さんが眠りに着いた。
姉さんは寝てしまったが、僕はその感触の良さに撫でるのが止められなくなって、そのまましばらく撫でていたのだった。




