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第46話 試験が終わって1

今回は、華穂視点の話です。

 「キ〜ンコ〜ン、カ〜ンコ〜ン」


 「では、これで終了する」




 先生の合図で、期末試験が終わった。



 「は〜、やっと終わった〜」



 クラスの中に、安堵(あんど)の声が聞こえる中。

私は、荷物を片付け、これから帰ろうとしていた所。



 「華穂、一緒に、ドコか遊びに行かない?」



 クラスの娘が、私に(たず)ねてきた。



 「う〜ん、どうしようかな?」



 私が、悩んでいると、



 「ねえ、華穂、一緒に行こうよ」



 瑞希がそう誘ってきた。




 「ほら、由衣も一緒に行こう」


 「う、うん・・・」




 一緒に、由衣も巻き込む。


 まあ、しょうがないか、由衣をそのままにして置けないし。



 「うん、良いけど、その前に、ゆうくんに連絡しないと」



 私はそう言うと、携帯を取りだし、ゆうくんにメールを打つ。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ”これから、瑞希達と遊びに行きます、夕飯までには帰るから待っていてね”


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ゆうくんに、メールを打ち終わると、瑞希達と共に、教室を出た。




 ****************




 教室を出ると、いつも間にか、男女十人ほどの団体が出来上がっていた。


 しかし、その中に私は、蓮くんの姿を発見した。


 


 「あれ、蓮くんも、一緒なの?」


 「うん、瑞希に誘われたんだよ」




 そう言いながら、蓮くんは苦笑した。


 少し前の方にいる、当の瑞希の方を見ると、何やら意味ありげな笑顔で、こちらを見ている。


 瑞希のヤツ・・・。


 私は、瑞希をジト目で(にら)んだ。




 「あ、ほら、遅れるよ」


 「あ、うん」




 私が、瑞希に気を取られている内に、集団が先の方に進んだみたいだ。


 そんな私に、蓮くんが注意をしてくれた。


 私と蓮くんは、小走りになって、集団に追い付いた。



 ・・・



 集団が、階段を降り、下駄箱付近で渋滞していた。


 下駄箱の配置が、クラス単位で配置されているので、全校集会なんかの時に渋滞しやすいのだ。


 そうして、遅々として進まない中、待っていると。


 イキナリ、誰かに脚を引っ掛けられ、転びそうになった。



 「危ない!」



 そう思った瞬間、私は、誰かから抱き止められていた。


 一瞬、パニックになったが、気が付くと、私は、蓮くんに抱き止められていたのである。



 「大橋さん、大丈夫?」



 蓮くんが、心配そうな顔でそう尋ねた。



 蓮くんの腕は、ゆうくんよりも力強くて、とても頼もしく思えた。


 私は、いつの間にか、彼の腕の手を添えると、振り返りながら、彼の顔をジッと見詰めていた。



 「・・・大橋さん、もう良いよね」



 蓮くんは、そんな私の様子の困惑していた。


 私は、自分の状況に気が付くと、急いで彼から離れる。


 遠くからの視線に気が付き、その方を向くと、そこには、ニヤニヤ笑っている瑞希の姿が見えた。




 「大橋さん、大丈夫だよね」


 「あ、ごめんね、大丈夫だよ」




 再び、尋ねてきた彼に、私は、そう答えた。



 「ほら、急がないと」



 蓮くんが、そう言うと、すでに(ほとん)どの人間が玄関に出ていて。

残っているのが、二人だけになっていた。


 そうして、出ていた人間みんなが、私達を、生温かい笑みを浮かべて見ている。


 そんな生温かい視線を受けながら、靴を履き替えると、待っているみんなに合流した。


 外に出ると、すでに梅雨が明けているので、日差しが強くて辛い。


 私と蓮くんは、そんな日差しよりも辛い、周囲からの視線を受けると、顔を赤くしたまま、みんなと一緒に、繁華街へと向かったのであった。





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