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嘘に紛らせ、さらに手を汚す準備をして


 1月27日の夜。


 授業が終わり帰宅すると、美咲は、準備を始めた。七瀬を殺す準備。


 殺し方も、もう決めている。スタンガンで行動不能にし、ロープで絞殺する。ナイフで刺した方が早いのだろうが、それだと、返り血を浴びてしまう。


 五味や六田のときはすぐにシャワーを浴びて洗い流せたが、それは五味の家を殺害現場にしたからだ。


 今はもう、五味の家を殺害現場として使うことはできない。そのため、絞殺という出血量の少ない殺害方法を選択した。


 七瀬を誘い出す方法も考えている。その布石として、昨日、彼に、LOOTでこんなメッセージを送った。


『まだ公表されてないけど、洋平の死体が見つかったみたい。私の家に、刑事が聞き込みに来た。あんたも気を付けて』


 もちろん嘘である。


 洋平の遺体を警察が見つけたかどうかは、美咲には分からない。ただ、少なくとも、美咲の家に刑事が聞き込みに来たという事実はない。


 美咲のメッセージを見た七瀬は、相当慌てたようだった。


『刑事に余計なことは言ってないよな?』

『そもそも、村田を呼び出したのも徹底的にやったのも、五味君なんだから、俺は大丈夫だよな?』

『刑事は、俺に関して何か言ってたか? 俺に関する物を現場で拾ったとか』


 そんな、保身以外の何物でもないメッセージが、何度も何度も送信されてきた。


 七瀬に、洋平殺害に関与したことに対する後悔や懺悔の念は、欠片もない。あるのは保身のみ。それがよく分かって、美咲は、七瀬に何の情も抱かずに殺害の計画を進めることができた。


『大丈夫。刑事には、上手いこと言っておいたから』


 そうメッセージを送った後に、自分は七瀬の味方だというメッセージを再度送信した。


『五味は、あんたを可愛がってたからね。だから、絶対に私が守ってあげる。五味が死んじゃった今は、あんたは、あいつの忘れ形見みたいなものなんだから』


 その直後に、七瀬から、感謝と媚びが入り混じったメッセージが複数送信されてきた。


 メッセージを見て、美咲は、完全に七瀬を自分の下に置けると確信した。五味が、彼を従えていたのと同様に。


 美咲は、今回のLOOTのメッセージを削除するように指示して、七瀬とのやり取りを終わらせた。すぐに、自分が七瀬に送ったメッセージも削除する。


 理由をつけて美咲が呼び出せば、七瀬は、間違いなくそれに応じる。確信して、美咲は、彼を殺す行動を開始した。


 時間はかけられない。可能な限り手早く殺し、可能な限り早く死体を始末する。

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