表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】高校生WEB作家のモテ生活 「あんたが神作家なわけないでしょ」と僕を振った幼馴染が後悔してるけどもう遅い  作者: 茨木野
第3章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

84/236

84.夏の終わり、みんなで話し合い



 夏休み最終日。


 僕の部屋には、4人の美少女達が集まっていた。


 長い黒髪の美少女声優、駒ヶ根由梨恵こまがねゆりえ


 金髪の超人気歌手、アリッサ・洗馬せば


 ロシア系神絵師、みさやまこうちゃん。


 そして……幼馴染みのみちる。


『わぉ、美少女勢揃い。かみにーさま、これから修羅場? ねえ修羅場がはじまるの? しゅらしゅしゅしゅ?』


 こうちゃんがロシア語で話しかけてくる。

 この子がロシア語使うときは大抵しょーもないことなのは承知ずみなのでスルーする。


「みんな、その……ごめんね。忙しいのに」


「ううん! だいじょうぶ! 私、勇太くんのためなら、いつだって時間作るよっ!」


 由梨恵が笑顔で言う。


「……わたしだって、たとえ世界の反対側にいても、かけつけます」


 アリッサが対抗するように言う。


「あ、アタシも勇太のためなら、用事全部投げ出すもん」


 とみちる。


『こうちゃんは締め切りがあっても、かみにーさまのもとへいつでも駆けつけもん。締め切りから逃げるためじゃないよ決して』


 こうちゃんはベッドの上で寝そべり、チューペット(僕の家のおやつ)を啜りながら言う。


「で? 勇太、なによ、あんたの女を集めて……」


 みちるが不機嫌そうに言う。


 彼女は僕の考えに、あまり肯定的でないのだ。


「その、これからのこと、話しとこうかなって」


「これからのことって……勇太くんがハーレム作るってヤツ?」


『おおう、由梨恵ねえさんストレートすぎるっす。まじぱねー』


 こうちゃんの隣に由梨恵が座っている。


 みちるは僕の右隣、アリッサは左隣。


「アタシは……勇太のことは好きよ。大好き。けど……ほかの、特にそこの金髪の女の子とは受け入れられないわ」


 じろりとみちるがアリッサをにらみつける。


 みちるは僕の右腕をギュッと掴む。


「勇太は渡さないわ」


「……何を言ってるのですか?」


 ぎろり、とアリッサがみちるをにらみつける。


「……それはこちらのセリフです。由梨恵さんやこうさんならともかく……わたしはあなたを許したわけではありませんから」


 ぎゅーっ、と左腕をアリッサが抱きしめる。


 ど、どっちもおっぱい大きいから……その、き、気持ちいいんだけど……その……。

『ばちばちの修羅場が展開してるぞー! ひゃー! 昼ドラー! これはワイドショーより見所ぐんばつだぜひゃっはー!』


「こうちゃん、ちょっと黙ってようか」


 由梨恵がこうちゃんをだきしめて、後ろから口を塞ぐ。


「……第一、あなたはユータさんを傷つけたじゃないですか? 一度振った分際で……よくまあもう一度好きと言えたものです」


「…………」


 みちるがぎゅっ、と唇を噛み締める。

 目を伏せて、震える。


 彼女にとって深い心の傷であることを……僕は知ってる。


「アリッサ。それはもういいんだ」

「ユータさん……」「勇太ぁ……」


 アリッサは不満そうに、みちるは涙目で僕を見る。


「みちるは十分苦しんだし、もうこれ以上苦しんでいるみちるをみたくない」


「……あなたが、そう言うのでしたら」


「うぐ……ぐす……勇太ぁ……」


 きゅーっ、とみちるが僕の腕を抱き留める。

 

 僕は彼女の腰に手を回して、抱き寄せる。

 アリッサは頬を膨らませると、ぐいっ、と僕を力強く抱き寄せる。


 そのまま正面から、アリッサが僕を強くハグしてきた。


 わ、わわっ!

 む、胸が! 顔に……!


 や、柔らかい……しかも、なんだこのいいにおい……。


『ラッキーすけべ来たぁああああ! さすがラブコメ主人公ゥうううう! そこにしびれるあこがれるぅううううう!』


「はいこうちゃん、おかしですよー、あーん♡」


 由梨恵がこうちゃんの口に、クッキーを入れて黙らせる。


「……ユータさんは渡したくありません!」


「アタシだって渡したくないわよ! 返しなさいよ勇太を!」


 ぎゃあぎゃあ、と僕を挟んで怒鳴り合う美少女達。


「もうっ。ケンカはだめですっ!」


 由梨恵が間に入って、ぐいっ、とふたりを引き剥がす。


「ちゃんと話し合いしないと、前に進めないよふたりとも!」


『そーだそーだ、ここまで1663文字も書いてるのに、話がまったく進んでないぞぉ』


 こうちゃんがロシア語で何かを言っている。

 多分意味はない。


「重要なのは、勇太くんの、そしてみんなの意思だよ。みんな勇太くん好き、それはわかった。勇太くんもみんなが好きなのもね」


 でも……と由梨恵が言う。


「私たち、女の子同士での意思統一ができてない……というか、まだまだお互いのこと、よくわからない」


「そう……だよね」


 考えてみれば、僕と女子達それぞれと会う機会は多かった。


 けど、女の子同士での絡みはあまりなかった。


 それに、僕だってみんなの全てを知っているわけではない。


「これからみんなで仲良くやってくためには、もっとお互いをより深く知る必要があると思うんだ」


「……たしかに、そうですね」

「で、何か案はあるの、由梨恵?」


 みんなの注目が由梨恵に集まる。


「ふっふっふ、案はね……」


「「「案は?」」」


「わかりませんっ!」


 がくっ……!


『由梨恵ねえさんあの流れでまさかの無策とは。これが天然か……おそロシア』


 でも由梨恵の言ってることは一理ある。


 みんなとこれからずっと一緒にいたいのなら、今よりもっと深く知り合っていかないと。


「でもさ、どうするのよ。これから夏休みが終わるのよ?」


 みちるは由梨恵とアリッサを指さす。


「これから学校が始まる。それにこの二人なんて、声優と歌手よ? 今まで以上に時間とれなくなるでしょ?」


「う……確かにぃ~……収録もあるし、レッスンもあるから……ど、どうしようみちるんっ」


 由梨恵がみちるに抱きつく。


 ここの二人は結構仲良いのだ。


 抱きつかれても、しかしみちるは拒まなかった。


「それは……勇太、なんかないの?」

「そうだね……こうちゃんも仕事あるだろうし、ねえ?」


 こうちゃんはベッドに寝そべって、ソシャゲしていた。


『え、なにー?』


「うん、なんでもない」


『ちょちょ、こうちゃんも会議に参加させてくださいよっ』


 寝そべった体勢で、ロシア語で何かを言うこうちゃん。


「それに勇太だって、学校にプラスして、ラノベの仕事やアニメの仕事だって増えてくでしょ?」


『かみにーさまは神ラノベ作家で、メッチャ売れてるひとなんですぞ、みんな、覚えてるかなー?』


「僕はまあ別に……でも、みんなが時間取れなくなるのは、困るね」


 さてどうしたもんか……。


「……いっそ、みんなで住む、とか?」


 こうちゃんが、ふと、日本語でぼそっと何かを言う。


「え? こ、こうちゃん今なんて?」


 僕は立ち上がって、こうちゃんの肩を抱く。


『ひゃー♡ だめよ~♡ まだ結婚前の男女なんだからぁー♡ 押し倒しちゃだめだね、だめよー、だめなーのよー♡』


「こうちゃん!」


「……あ、えと、みんな……住む、とか?」


 住む……住む……そうか!


「みんな……一緒に住もう!」


「「「「え……?」」」」


 なんで考えつかなかったんだ!

 そうだよ、単純なことじゃないか。


「一緒に居られる時間が減るなら、一緒に住めば良いんだよ、普段から!」


「お、落ち着いて勇太……住むってどこにすむのよ?」


「……まさか、ユータさんのお家にですか?」


 ううん、そうじゃない。


 僕は……言う。


「僕が家を買うから、そこでみんな、住もう!」


「「「「い、家を買うぅ!?」」」」


 ものすっごいびっくりした顔のみんな。


「いやいやいや! 何言ってるのよあんた! 家を買うって……」


「この近くに中古の一軒家があるんだ。そこを僕が買うから、そこでみんなで住もう」


「ちょっ……! ちゅ、中古だって結構値段するのよ? そんな金……………………………………あるわね」


 みんな、なるほど、とうなずく。


「あんた、人気ラノベ作家だったわね」

「……家を買えるくらいの貯蓄はあると」


『印税がっぽがっぽ。ここで神作家要素を回収するわけですね』


 僕の銀行口座には少なくないお金が振り込まれている。


 でも僕は、それらに一切手をつけてなかった。


 ここが、使い時じゃあないだろうか。


「僕が全額出すから、みんなは住むだけで良いよ」

「で、でも勇太くん……悪いよ」


「……そうです。わたしたちも、それなりにかせいでますし、お金出します」


『それなりにってあんた、メッチャ稼いでますやん……』


 いいや、ダメなんだ。

 それじゃ……ダメなんだよ。


 僕はみちるを見る。


 由梨恵やアリッサ、それにこうちゃん。

 この三人はお金を持っている、社会的な地位もある。


 けれど……みちるは普通の高校生だ。


 稼ぎなんて、ない。


 もしみんながお金を出し合うってなったら、みちるはお金を出せなくなる。


 そうすると、彼女は遠慮してしまう。


 だから……僕が全額払う。

 女の子達はお金を払わないで統一する。


 それが……一番なのだ。


「言い出しっぺは僕なんだから、僕に払わせて。大丈夫、金は……ある!」


『おおー! かみにーさまかっけー! ひゅー素敵ぃ!』


 僕はみんなを見渡す。


「一緒に住もう。それで……よりみんなを、理解しよう。ね? どうかな?」


 僕は女の子達を見渡す。


「はいはーい! 私は賛成! だって楽しそうだもん!」


 由梨恵が誰よりも先に、笑顔で手を上げる。


 ぴょんぴょんっ、と飛び跳ねて……楽しそうだ。


『こうちゃんも賛成ですね。かみにーさまとのラブラブライフ……あこがれるぅ……! ……決して実家だと、親や姉たちが小言うるさくて、自堕落に過ごせないからじゃないよ? ほんとだよ?』


 こうちゃんも手を上げる。

 目をそらしているのはなんでだろうか?


「……わたしも、ユータさんが、そうしたいというのなら……我慢します」


 アリッサはちょっと否定的みたい。

 ちらっ、とみちるを見て言う。


 みちるのこと、あんまり好きじゃないからかな。


 でも……これから、好きになって欲しい。

「みちるは?」


「うう……うう~~~~~~~~!」


「僕は……君にも来て欲しいな」


「あーーーーもうっ! ずるいわよ! あんたにそんなお願いされたら、断れないじゃないっ!」


「じゃ、じゃあ!」


 みちるは顔を赤くして、腕を組み、そっぽ向きながら言う。


「アタシも、参加するわっ」


 よし、これで決まった……!


『神作家……第三章、美少女4人同居編、スタートです!』


 こうちゃん、どこ見ながら言ってるの?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

★新連載です★



↓タイトル押すと作品サイトに飛びます↓



『キャンピングカーではじめる、追放聖女の気ままな異世界旅行』

― 新着の感想 ―
おそロシアてロシアを悪く言う言葉じゃなかったけ?
[一言] 「おそロシア」の後に脳内で「僕らは目指した〜シャングリラ〜♪」が流れてしまった…。 異世界ではなく現代社会の日本でもし勇者がいたらこんな感じなんだろうなぁ。 普通、こんな主人公クズじゃん…
[良い点] 1663文字使って何も進展してないは笑った。 [気になる点] 特に [一言] 面白すぎる
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ